Feb 17, 2017

相沢3回目

 ■ 3回目の相沢

3回目の相沢はとても楽しかった♪

以前の山岳会の先輩が応援に来てくれたのだった。

その先輩は、私の実力を知っている。

アイスも私より登れる。

それで、相沢大氷柱が私の今の実力に相応かどうか、良く分かるだろう。










■ リードの順番

アイスのリードは、落ちれない。

落ちれば、重大な事故につながる。

私のビレイは、かなり確実で、すでに墜落を止めた経験は10回以上だし、そのうちには、体重の自分より重いクライマーの落石による墜落も含む。

年間のクライミング日数は128日だ。

お願いだ、誰か確実なビレイを提供してくれ、という気分。私自身は確実なビレイを提供しているのに、私に逆に提供し返してくれる人がいない。

今回は転進だった。相沢は先輩は初めてだったそうなので、案内。私は、自分がリードするつもりで出かけた。

しかし、滝を見て、彼は気を変えたようだった。彼のリードに決定。まぁ、この先輩とはクライミング力で違いがあるのが分かっているので、決断は大体先輩がしてくれる。

要するに、55mのリードは、まぁ私には早いってことですね。先輩とはありがたいものだなぁと思った。

ロープは各自が持ち寄った。

■ 参考になった

先輩がリードしてくれたわけだが、このリードのライン取りはとても参考になった。

青ちゃんが最初の1ピンを入れたところまでで、彼は3ピンも入れた。

クライミングは登り出しが一番危ない。1ピン目は重要だ。ただ、あまり大きな滝で、早くに、一ピン目を入れてしまうと、ビレイヤーが後退できない。屈曲が90度近くに大きくなってしまうからだ。

かと言って、スリングで伸ばすと、1ピン目の意味がない。安全ではない。

結局、安全を犠牲にして、ロープの流れをよくするか、屈曲が大きくなるのを甘受するか、というようなことになる。

彼は、最初は弱点を突かず、強点を行ったので、強い点を行く=ランニングが多数必要。

テラスに乗り、ハングの乗越もリードした。これは、ほとんどの人がリードでは取りつかない。強点だ。

しかし、その上は、シャンデリア。シャンデリアであるということは、リードで取り付く前にベータで伝えてあった。私は相沢は3回目であるからだ。

リードラインの相談ができるのが、自分とスキルが近い先輩と登るいいところだ。同じレベルの者同士でも、リードラインの相談ができる。

氷は、リードラインの読みがほぼ9割を占める。フリークライミングは、強点を敢えていくというクライミング。しかし、アイスでは落ちられないのだから、弱点を繋ぐ。とはいえ、弱点はもっとも登りやすいラインとは限らない。もっとも、プロテクションが良いラインが弱点であるのだ。

彼はシャンデリアを見て、リードラインを変えたので、ほっとした。シャンデリアは、スクリューが効かない。結局、中間部の難しいライン取りができる部分は、弱点を行った。

その上のすでに消耗戦、持久戦となる部分も、弱点のラインを行った。要するに、力の配分が、アイスのリードでは大事だと言うことだ。

彼は、今が体力の絶頂期にある強いクライマーだ。たいていのアイスは彼はリードできる。その彼が、テラスのある上段でパンプと戦っているのである。

リードする条件としては、天候も程よく冷え、かつ冷えすぎず、寒さでパンプするのではないような日で、滝が溶けて流れている、ということもない日に、だ。

こういうことは、ベテランとばかり登っていると学べない。

ベテラン青ちゃんと登ると、誰もいなければ、当然弱点を突いて登るが、誰かがいたりすると、別に一番易しいラインでなくても登れるので、強点を直上してしまうし、悪い箇所でもプロテクションを入れてしまう。しかも、それは特に難しい様子には見えない。

相沢の2回目、私がピンクポイントでリードできるかもしれないな、と感じた日、彼は一番易しいラインを行かず、しかも、ランナウトさせ、私はビックリ仰天させられた。話が違う、という感じだ。

もっとも易しいラインである右のラインが完全氷結になることは少ないのだそうだ。欲目を出したばかりに、残念な結果になった。

先輩にどういう風にリード練習したかと聞くと

醤油樽の滝 3級、35m
南沢小滝  4級  
南沢大滝  4級+

と進んだのだそうだ。私はまだ醤油樽の滝もきちんとリードしていない。なのに、なぜ、いきなり55m?

やはり唐突感があるのと、期待が大きすぎることが分かった。

が、先輩によると、私のムーブはだいぶ洗練されており、登りを見ているとリードでも行けるんじゃないか?と思うのだそうだ。

しかし、だからと言って、いきなり55mを期待するのは、アイスでは、特に危険が大きいのだから、アブナイ思想だと思う。

■ 登る楽しさ

私が何に登る楽しさを見出しているか?というと、基本的にはラインの読み。アイスではラインを読むのが楽しい。

こうして、こうして、ここにアックスを刺せば簡単に登れる、という最も易しく登れるラインを見出すのが楽しいのだと思う。

もちろん、氷はラインによって違う。難しいラインもあれば、易しいラインもある。それが山との駆け引き感があるのだ。

そろそろプロテクションだなぁと考えるのも楽しい。なので、プロテクションが取りやすいライン、滑のアイスが私の今のグレードだ。

なにしろ、私はプロテクションを入れるという視点で、氷を見始めたのは、ここ数週間くらいだからだ。

リードすることが視野に入るクライミング力がなければ、氷を見る目は、課題にならない。

氷を見る目がない人は、氷を見なくても良いラインで登る。

■ イコールパートナーに成長してくれない人

まったくロープさえも持っていないようなクライマーだと、そもそもクライマーとは言えないし、ビレイがきちんとできない人も、そもそもクライマーとは言えない。

まだクライマー未満の人を後輩で連れて行くのは、私には荷が重い。

例えば、「どっちのロープを引きます?」という会話ができない。初心者だと、きょとんとしてしまうだろう。

「ロープ径、何mです?」「同じくらいだったら、ダブルのオーバーハンドノットでもいいですね」

という会話もできない。なにしろ、ロープ径が異なる場合はノットが複雑になる、という知識もないだろうから。なにもかもを、こちらが責任を負わないといけなくなり、そのこと自体について、自覚がないだろう…

ということで、やはり、荷が重いのである。特にアイスのリードでは落ちれないのだから。

落ちないところは登ってあげるけれど、それは、正直言ってノービレイと同じことだ。

そうしたリスクを背負って登ってくれているということが分かってくれているだけでも、良い後輩であると思う。しかし、そういう初心者は少ない。

私は師匠のアイスのリードをする機会ができたときは、アイスでのリードのビレイは、初めてだったので、保科ガイドのアイスの講習に出かけ、リードのビレイの仕方を教わってきた。それだけの責任感を持って、ビレイした。

同じことを他の人には期待できない… ただ持っているだけのビレイで登るべきクライマーなんていない。

最低限の資格は、やはり、アイスで墜落を止めたとは言わずとも、通常の日常的なクライミングでインドアでのリードのビレイ経験を積むことだろう。

■ 楽しそう

相沢では宇都宮の山岳会の人たちと会った。初心者の二人組には、こちらのパーティがリードするので、トップロープクライミングをするのをだいぶ待ってもらった。

となりのエイプリルフールを偵察に行ったら、これが私のリードにちょうど良いサイズなのでは?という滝があった。

プロテクションも良く効きそうで、良いプロテクションを見極める目も必要ない。

■ ピンクポイントは嫌い

今回のことで、よく分かったのは、私はピンクポイントは嫌いだということだ。マスタースタイルで登るカムでのクラックでも、ピンクは嫌いだった。

自分で登ったと言う感じがないのだ。もちろん、そのピンクが、自分の判断で行ったことだったら違うだろう。

吉田さんのマーズはピンクポイントだったが、それは吉田さんが判断したことだっただろう。

スタイルにこだわって登りたいのに、それができない。

ものすごくフラストレーションだ。

私の考えでは、ピンクで登った55mよりも、マスターで登った10mのほうが価値がある。







左が私の今のレベルでのリードに適しているのではないかと思える滝。

エイプリルの左。

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