Feb 10, 2017

相沢大滝 2回目

■ランナウト

昨日は、2回目の相沢大滝へ行ってきた。

リード練習(ピンクポイントでのリード)の予定だったのだが、予想外の展開で、リードで取り付くことは許されない状況になってしまった。

相沢大滝は、55mある。相方は、私のピンクポイントのために、スクリュー15本持参したにもかかわらず、7本しか打たなかった。

相沢大滝の右のラインはWIⅣ級で易しい。しかし、易しいからと言って、ランナウトが許されるのはベテランのみ。

そのグレードを初めてリードする人は、ランナウトするくらいなら、登らない方が良い。

登るのはクライマーだ。ランナウトするかしないかは自分で決めるべきであり、特に初心者では、きちんとランナウトしない間隔で登る感覚を覚えるべきで、「ランナウトしてもいいや」を受け入れるべきではない。

特にグレードを上げるときはそうだ。

私はもう普通にルートではリードできる。ルートでは、60~70度しか出てこないからだ。今年のリード経験は、

・南沢小滝 Ⅳ級- ピンクポイント 18m
・春日渓谷 Ⅳ級- マスタースタイル 10m 2段
・善五郎 Ⅳ級+20m ピンクポイント/Ⅳ級-15m マスタースタイル
・広河原沢三ルンゼ Ⅳ級- マスタースタイル

そこから、いきなり相沢大滝55m、しかも、ランナウトした状態でのピンクポイントは、取るべきステップが大きすぎる。

これから・・・
いきなりコレ?

おかしいでしょう。

安全とは小さいステップを刻むことで、無理をすることではない。

自信と言うのは小さいステップを重ねることでつくもので、一発逆転を狙って、賭けに失敗することではない。











■ランナウトすべきではない

高いことが怖い、というのは、空想上の恐怖である。ロープを毒蛇と見まがうような事であり、クライミングにおいて、高いことはリスクではない。むしろ、地面に近いほうが、地面ぶつかるため、リスクである。

一方、ランナウトが怖いというのは、実態のある恐怖である。ランナウトするということは、ロープを付けている意味がない、という意味だ。

そのため、今回の相沢大滝でのリードはなし、と決めた。初心者がリードするにあたって、ランナウトすることは、危険が大きすぎる。

■リード技術の自己判定

リードするには、守りの技術と攻めの技術がある。

もちろん、最大の守りは攻撃力だ、と考えることも可能である。

攻めの技術
1)ムーブの安定 (凸角、凹角の登り分けなど)
2)ルートグレードの理解と力量に見合ったルート選定
3)氷の見極め (氷コンディションとリスクマネジメントの関係性とプロテクション)
4)氷を落とさない登り
5)安定したアックス(効いていて、効きすぎていない)
6)リード用の登攀ラインの読み
9)6級が登れること
10)パワー (前腕の引きつけ力、体力のこと)
12)高さへの慣れ
13)ヤル気

守りの技術
7)スクリューも打ち、レスト体制
8)アックステンション
11)ビレイへの信頼

■ 圧倒的に不足する、守りの技術

前の師匠の鈴木は、初心者の時点から、リードをさせる人だった。そのため、1年目からリードしていた。

一方、所属していた山岳会では、きちんとしたビレイヤーがいなかったため、リード練習することはできなかった。なので、三級やⅣ級のルートへ行くべき時に、行けていない。
なにしろ、ゲレンデのメンバーを集めるだけで一苦労なのだ。つまり、スクリューを打ち、リードラインを読み、壊れやすい氷を読む技術を身に着けていない。こうした技術は易しい初級のルートで身につくものだからだ。

3年目も同じで業を煮やして、初心者の大学生をフォローにして、やっとこさ、ルートでの初リードを貫徹した。

今年は四年目である。すでにリード経験はあるので、相沢大滝まで無理してリードする必要はない。

登山において大事なことは、焦らず無理せず、たゆまず取り組むこと。焦りと無理は無駄である。

焦りとは、早く上達してほしいと言う思いのことを含む。一発逆転思考は、山では事故や墜死のリスクと直結する。

■できない理由をつぶす。

マーケティングは、買わない理由をつぶしていく活動だが、リードクライミングは、できない理由をつぶしていく活動だ。

特にアイスのリードクライミングは、中間支点の整備された岩登りでのリードとは異なり、プロテクションであるスクリュー設置の負担が非常に大きい。

どの程度の負担まで、負担可能か、という見極めができるまで、大きすぎるチャレンジは禁物である。

登るのはクライマーであり、落ちて死ぬのも、クライマーである。楽勝だった、というところで、アイスにおいては、氷は日々異なる。

A “picked out” WI grade six will often be a lot easier than a fresh WI 4 on a cold day, and vice versa. 

~略~ 

a route was 5.8 one day and 5.11 the next week based on number of ascents, temperature, refreezing, and how the rock formed that year.

良く登られている6級は、誰も登っていない、寒い日の4級よりも、うんと易しい。課題が、ある日は5.8で、ある日は5.11である、ということをイメージしてみて欲しい。登られた回数、気温、再凍結、その年のアイスの形状で、難易度が、ころころ変わるのである。

アイスの神様 Will Gadd のサイトより
http://willgadd.com/ice-and-rock-grades-a-review-and-perspective/

登りたくない人にリードを強いてはいけない、

ということは良く覚えているべきことだ。

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