■ 人的ミス
人的ミスはクライミング中の大きなリスクのひとつだ。それらは、人的ミスなので、気を付けることで減らせるミス。しかし、人は誰でもミスをする。
・人はミスをする生き物
・安全管理について包括的説明がほとんど世間に出回っていない
・安全管理は状況依存
・ミスの教訓が生かされない
という事情がある。ミスの教訓が生かされているのは…と考えると…
■ベテランの挙動
結局、ベテランの挙動、行動においてしか、ミスの教訓は生かされていない。
…が、ベテランがやっていることを新人が盗むことは、よほど優秀でない限り、難しい。
一般に、(知見が狭い側)が(知見が広い側)に合せるのは、大変なのだ。一般的には、親が子供の面倒を見るように、知見が広い側が狭い側に合せるのが普通だが、山の世界は、そうはなっていない。視野の狭い側が、教えてもらうことを期待はできず、基本的には、盗んで覚えることが期待されている。
新人と言うのは、何が分かっていないのか分かっていない状態なので、そういう成り立ちになっていないことが、経験を積んでいる途中の状態で、ミスで死んでしまう人が多い事情につながっていると思われる。
■ ロープ
ロープはできるだけ、シンプルな構成にする。2本を連結するより、1本の長いロープを使う方がシンプルとなり、人的ミスの起こりうる余地がより少なくなる。
ただし、一本のロープで登っている場合、1本が切れたら、一巻の終わりだが、2本とも同時に切れることは考えづらい。
ツインロープのシステムがより安全性に優れる、と考えられる理由だ。
■ ロープ切断
ロープの切断が大きなリスクになるのは、
・トップロープクライミングで、自分のアックスでロープを切ってしまう。
・リードクライミングで、自分のアイゼンでロープを切ってしまう。
の2点だ。そのため、日ごろからロープを丁寧に扱う習慣をつけよう。
■ 易しい場所で難しいことをしておく
2本を連結して使うのは、より難しい使い方だが、一般的により易しい箇所で難しいことをして、難しいケースに備える。
例えば、短く易しい登攀が続く何回も続くようなルートで、2本連結で使う練習をするなど…。ロープワークには慣れが必要で、慣れを得るのに必要なことが、回数なのである。
■ 量的変化が質的変化を導く
慣れに必要なことは、回数である。つまり、量をこなすことが必要だ。
量的な変化が質的な変化につながる。これは、クライミングのピラミッド構造と同じことだ。10本同じ課題やルートを登ると、より上の難しい課題ルートに行くゆとりが生まれる。
これはルートも同じで、安易に難易度をあげないことが山で死なないためには必要だ。私は、雪は7年、読図は3年、沢2年、ロープワークは4年、クライミングは3年、フリーは1年やってから、阿弥陀北稜に行った。単独でも危険を感じることはなかった。
■心・技・体・知・経のバランスを取る
心=山に対する情熱
技=技術
体=体力
知=知識
経=経験
のバランスが岳人としての、山ヤとしての実力の総合である。ので、体力だけが優れていても、雪崩れの知識がなければ、今にも雪崩れそうなルンゼに、そうとも知らず入ってしまう。通常ロープを出すべき、とされている箇所で、いちかばちかのギャンブルをしなくてはならなくなる。心だけが先走り、他が追い付いていないと、実力以上の山に行って遭難してしまう。
登山は座学が占める割合も多い。体力だけでは回避できない問題も多い。性格的な問題もあり、危険の認知はできないタイプの人もいる。ただでさえ危険なことをしているのに、危険を認知しなければ、山はより危険なものになってしまう。
心がなければ、ち密な計画は立てないだろうし、山の本で勉強する気もしないだろう。
ロープワークのコソ錬をするのは、心だろうか?技術だろうか?コソ錬するから、技術がつくのだが、心がないとコソ錬しない。
・・・ということで、すべてのバランスが取れて、なおかつ、焦らずゆっくり着実に前進する必要がある。
(継続予定)
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