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Feb 2, 2017

広河原沢右俣第三ルンゼ

■ 久しぶりのルート

今日は、久しぶりのルートに行って、心地よい疲れを感じている。脚の筋肉痛が心地よい。

いつもゲレンデばかりでいると、どうしても、物足りない気分になってしまう・・・。

ゲレンデというのは、リハーサル練習にすぎない。本番ではないからだ。

やっぱりルート、つまり山に出ると、山はいいなぁ♪と素直に思う。

ただ、山の新鮮な空気に触れると、気持ちが良い。とても、純粋な場に身を置いているからだろう。それは、街の中の作られた自然・・・公園とか・・・にはなく、やはり、山まで行かないとないもの、のようだ。

去年、毎週のように沢に行っていたときは、体力的には大変だったが、充実していた。

今回、アルパインアイスで、広河原沢に行ってみて、特に技術的に困難な部分がなかったので、夫を連れていくかもしれない。(夫はクライミングしないが)

■ 本番の面白さ

ルート、つまり、本番の面白さは、山との駆け引きにある。主たる判断要素は

 ・登山適期
 ・天候
 ・メンバーの力量
 ・ルート自体の性質
 ・目的

天候判断もそうだし、雪崩の判断、あとは、行く時期がある。今回、広河原沢三ルンゼは、時期が少し遅いかもしれない、ということは弱含みであった。

通常、広河原沢の適期は、新雪期だからだ。雪が積もると、谷筋は雪で埋まってしまう。しかし、今年は、寒さが来るのが遅く、雪も遅かった。例年より2週間遅れ、というのが私の見立てだった。

なので、適期は、12月中旬から一月中旬まで、ではあるが、1月後半でもいいのではないか?と思ったわけだった。

実際、あと1週間早かったら、今回のようなラッセルはなかったかもしれない。ラッセルがなければ、行動にスピードが出るので、大滝も見れたかもしれない。

■ 偵察山行

今回は、偵察山行、と位置付けた。

それは、三ルンゼは、通常、阿弥陀南稜までツメると、1泊二日の行程だからだ。

他の沢登りの経験から、ツメが時間を喰うもの、と知っている。また未知の下降路も時間を喰う。

前回、広河原沢左俣へ行った時も、フィナーレの大滝は見るだけにして、同沢下降にし、早く帰った。

・つめが時間を喰う
・同じルートをピストンで折り返すのがもっとも早く下山できる

私が得意なのは、こうした要素をうまく組み合わせ、企画を立てること、だ。

今回は、

 ・普段はフリーの人、アイス始めたての若い男性(農業従事者で体力あり)
 ・アイス超ベテラン、怪我から復帰したところの、ベテランクライマー
 ・40代女性、日ごろ運動習慣あり

の3名だったので、体力負担を軽くして、ルートを味わう、という目的にあったルートとして選んだのが、広河原沢では、もっとも面白いと言われる、三ルンゼだったが、面白さの最大の魅力である、大滝が見れなかったのが、ちょっと残念だった。

ゲレンデではいつもクライミング三昧しているから、登攀=ご褒美、な感じになってしまっているのだ。

転進で、クリスマスルンゼに行っても良かったのかもしれない。

まぁ、2月と言うのは、基本的には近郊のゲレンデの季節である。本来は1月にルートに行くべきなのだ(笑)。

■ 集合&アプローチ 樅の湯&舟山十字路

当初予定した先週は、悪天候。寒冷前線の通過を避けて、角木場の氷柱に転進になった。

昨日は午前中は晴れ、夕方から天候が崩れると言う予報で、予定通りの行動になった。

6時15分に樅の湯に集合した。

青ちゃんは、マイカーにオカマを掘られてしまい、車が代車で、この代車がエアコンもつかない、足回りガタガタの酷い代物で、到着時にすでに低体温症になりそうになっていた・・・(汗)

これは、できるだけ早く歩きださねばならない・・・。

かっちゃんも到着して、さっそく舟山十字路へ。舟山十字路は、小淵沢方面から行くと、『丸山の森』と書かれた別荘地の案内板で、山方面に曲がれば、一本道だが、逆から来ると、看板を見落としがちだ。

しかも、舟山十字路まで入る林道が、四駆&スタッドレス限定。ぜったい、二駆やノーマルタイヤでは無理である。

実際、轍が凍って非常に滑りやすかったので、運転手を交代。

7時、舟山十字路スタート。予定通りだ。

■ ルート

しばらくは林道を行く。やがて、阿弥陀南稜へ向かうトレースと別れる。だらだらとした、緩やかなスロープで、途中、短い下りが一か所ある。

できるだけゆっくり歩こう。アプローチで飛ばすとバテる。最初はゆっくりが良い。

さらに堰堤が出てくるが、最後の堰堤の脇にはケルンがでているが、そこはちょっと危ないので、早めに河原に降りてしまった方が良い。

2俣までは、阿弥陀中央稜や広河原沢右、左に入る人が大勢いるので、トレースはばっちりだ。

冷え込みは厳しく、手袋をしていない両手がかじかむ。歩いていると暑いが、やはり山は山だな。

二股までで2時間ほど。やっと経済速度になったみたいで、青ちゃんが、「脂肪、燃焼されているわー」と、低体温症も収まったようだ。脂肪燃焼モードに入るのに、だいぶかかったな。よほど車で冷えてしまったのだろう・・・。

二股で本谷は中央稜に右・左と分けられる。三ルンゼは右。

さらに行くと、中央稜に取り付くトレースと、その他のバリエーションへ向かうトレースとに分けられる。

少し悩んで、右を取る。今回は、人気ルートということで、トレースバッチリだろう、と概念図を持ってきているが、かっちゃん曰く、「そんなの、どこで手に入るんですか?」

え~?!登山体系に決まっているじゃないですか(笑)。 

日本登山体系は素晴らしい本だ。もう、読んでいるだけで、ワクワク、ゾワゾワしてきて、行きたいところだらけで、人生を無駄にしている場合ではない!って気分になってきてしまう・・・

ちなみに広河原沢エリアだけをとって見ても・・・ 易しい順から・・・

阿弥陀岳 御小屋尾根
阿弥陀岳 中央稜(中尾根)
阿弥陀  南稜
広河原沢 左俣
広河原沢 見晴らしルンゼ
広河原沢 右俣 
       右俣 第一ルンゼ
       右俣 第二ルンゼ
       右俣 第三ルンゼ
       右俣 無名ルンゼ
       右俣 右ルンゼ

と、まぁ、このような具合。とても1シーズンじゃ行きつくせない。

途中、氷瀑が出てきたら、登らないといけないし、稜線だと岩稜が出てくるわけで、登れないと、そこで敗退。

だから、岩とアイスをやっているんですよね。

こうしたバリエーションを始めるとき、広河原沢を攻めるには、まずは退路を確保する。つまり、中央稜と御小屋尾根を歩いておく。阿弥陀南稜と御小屋尾根でも良い。大事なことは下降に使える場所を知ることだ。

■ 踏み抜き

さて、トレースをたどると、やっと氷瀑が出てきた。

踏み抜いている青ちゃん

ハーネスをつけ、アイゼンをつけ、ダブルでアックスを持つ。

しばらく行くが、あっているか不安に・・・。前述のように、この辺はルートが多いのである。

「6m、8m、10mチョックストーン滝。全部たぶんフリーで抜けれる。」 

先頭を行くパートナーに声を掛ける。「それ、6mですかね?」「多分!」 

でも、最初に取り付いた滑滝で大きな穴を踏み抜いてしまったようだ・・・

「左から巻きましょう」と声を掛けると、しばらく考えて、「うん、巻こう」とあいなる。

左は枝沢から、細い雪崩痕が流れ込んでいたが、小さいので大丈夫だろう。

■ 雪で保温され、氷結が甘い?

この滝で凍結が甘いと言うことは・・・今年は雪で保温され、あまり氷結は良くないと言うことなのだろうか・・・。

氷瀑というのは、空気で凍るので、先に雪が降ってしまうと、流れは凍らないのである。特に水流が多い沢は・・・。だから、垂直の滝の方が凍るんだよな。

とりあえず、巻いたら、8m、10mCS滝も出てきたので、ほっと、胸をなでおろす。

今回は、記録が出ていたので、あんまり読図してきておらず、トレース頼みな感じだからだ(笑)。私もちょっと手抜きなんであった。甘えが出たかな。

■ 胎内くぐり

さて、CS滝は、胎内くぐりであった・・・。これはアルパインでしかやらないなー。記録では、くぐらず、右を行っているものもあるが、アイスと岩のミックスで、氷が薄く、叩くとアックスを痛めそうな気がする箇所だ。沢ならお助け紐くらいな登攀。

しばらく行くと第三ルンゼの出合いにつく。ここは右と覚えてきていた。


それでP3とP4の間に突き抜ける沢が第三ルンゼなんであるが、つめは二股にまた別れている。

ここで、中尾根とはサヨナラして、阿弥陀の枝尾根を左手に見ながら登るが、稜線はもうほんの少し先。

今回は、午前中素晴らしい晴れで、谷の合間に阿弥陀南陵のP3ピークが見えたときには、阿弥陀南稜、とても登りたくなった。

ワクワクモードに入るが・・・トレースがないんだなぁ。しかも雪が深い。悪いところで腰まである。

しかも、さらさらで、あまりラッセルがうまく行かない。いや~なんだか、予想以上に雪が深い。

今回は時期が遅めだから、多少雪はあるとは思っていたが・・・。

眼前に見える南稜のピークのカッコよさに励まされ、ラッセル先頭に行く・・・いや~ホント、進まないなー。

■ 谷=雪

雪の性質として、谷=雪が深い、尾根=雪が少ない ということは、真ん中は雪が深い。

実際、その辺の近所の里山なんかを歩いていても、谷筋に入れは腰ラッセル、でも尾根では積雪1センチ、なんてことはザラなのである。しかも、水量が多い沢だと、ゴロゴロした岩を踏む抜くと、水の中にドボンである。

つまり、沢は真ん中を歩くと、靴を濡らす&ラッセル大変、なので、少し斜面を行く・・・が、斜面は斜面で、雪上歩行スキルが必要になるし、高巻きすぎると、高度感が出てしまう。ちょうど良い、にくい線を行くのがスキルなのである。

青ちゃんが、ラッセルくたびれている私に代わって、先頭を行く。一旦、沢床へ出たが、ゴーロ帯が出てきたので、踏み抜きを避けて、高巻く。

いや~雪が深い。太ももまである。しかし、青ちゃん、えらいラッセル上手だー。これにはびっくり。さっきまで、なんだか、だるだるモードだったのに。

沢の斜面は、太ももまでの微妙な雪の深さ、しかも足場がない・・・雪の中の空中を踏んでいるのだ。

すこし上に草付きが出ていて、そこにアックスを指す。「草つきのほうが楽だ」と青ちゃん。

私もその意見に賛同だが、70度くらいの急斜面のトラバース・・・。かっちゃん、大丈夫?と振り返る。平気なようだ。

ああ~草付きって楽だなぁ。ホントに支持力って大事な要素だな~草付き、万歳。

ほんのちょっとの距離だが、越えるのにエライ時間がかかった・・・。

まだまだ屈曲した沢が蛇行して続く。しばらく行くと、5mくらいの滝が出てきた。これは記録で見たと思い、フリーで取り付く。

少し先に茶色く変色したバーチカルアイスが見えるが、たぶん、支沢と見送る・・・が、あっちが正解だったかもしれない・・・・と今となっては思うのだが・・・。

さて氷瀑だ。5m。これくらいなら、沢で登っているから平気だ。

だが、この滝、登攀してみたら、落ち口が凍っておらず、一歩が核心・・・。落ち口は、雪なので、マントリングするときに、アックスの支持力がない。しかも落ち口から流れている下の方にアックスを落としでもしたら、一巻の終わり・・・。


登ってみたら、残置のスリングが雪に埋もれて見えなくなっていた。残置を掘り起こして、後続のためにお助け紐を垂らしておく。一歩だけが核心だからだ。

いや~、冬の沢登りだな~。

さらに上に行くが、右手にきれいな滑滝が見える以外、大きな滝の気配がない・・・ ラッセル疲れた・・・。もう12:30. 時間切れ。

ということで、雪の急斜面で、みんなで行動食を食べた。


今日は、ここで行動は終わりだ。誰も異議を唱えないので、やりやすいなー。

前に、午後から崩れる予報の時に、11時敗退にしたら、不服が出て大変だったのだった。

今日は天候の崩れは夕方からだから、ゆとりがあるが、それでも普通に12:30敗退だ。

しかし、大きな登攀が一個もなくて、残念・・・アックスの出番、ちょっとだったし、ロープの出番がない・・・。

ホントに三ルンゼなのだろうか?

広河原沢で一番面白い沢って話なのに・・・。ラッセルしかしてないぞ?

■ 下降開始

さてと下りはじめる。先ほどの5m滝で、懸垂でやっとロープの出番。5mとはいえ、ここはロープがないと、おうちに帰れない。

でっかい穴にアックス落とさないように
右手に出ていた滝は60~70度だが、弱点ではなく、強点で一番立っている滝を狙ったら、リード練習になる、と思う。

案の定 「時間も余っているし、リード練習したら」 そう、下りはたぶん、2時間程度だから、時間には、ゆとりがあるのだ。

■ リード練習

ということで、リードで取り付く。目視して、まぁスクリューは4本だろうと。

長さは、6mくらいだが、2段で立っている。1本目の後、落ち口前に必ず1本必要で、その間に何もないと言うのもなんなので、3本、終了点の立木が遠いので、途中に1本。で、4本。

かっちゃんにビレイしてもらう。かっちゃんはフリーをやっているから、ビレイは安心。

フリーをしない山岳会の人のビレイほど信用ならないものはない、と前の山岳会で学んだ。

まぁ、腐ったリンゴが一つあったからと言って、すべてのリンゴが腐っていると考えるのは、いけないのかもしれないが・・・。山岳会より、フリークライマーを信頼している(笑)。ちゃんと落下係数とか勉強してくださいよね。

さて、スクリュー打ちながらリードするが、ここは氷が滑らかでスクリューを打つ場所の見極めが、難しくないので、そう負担に感じなかった。去年、ルートでやったなぁな感じ。

充実感があったのは、右から登って左の落ち口に支点があったので、それを見て、最後のスクリューには60のスリングを付け足して、流れを浴して置いたこと。これはうまく行った♪

私は不思議なことにルートではあまり怖くないのである。まぁ、下地・・・墜落した時の激突先・・・が、雪ふわふわで、落ちたところで、怪我しそうにないっていう思いもあるが・・・。

それならフリーソロでもいいとも言え、実際、滑なんかでは、フリーでいいよね、とか言って、他のパーティがロープを出しているのにフリーソロで行ってしまって反省したことがある。ロープを出すと時間がかかるので、めんどくさくなってしまったのだった

湯川などは、落ちたら絶対痛そうで怖い(笑) 

ラッセル核心のリード

リードには困難は感じなかった。

かっちゃんもピンクポイントでリード。上の立木は、残置のスリングだけで、カラビナは回収しないといけないので、上でセカンドを確保してもらって、1ピッチだけのリード・フォローにして、二人で懸垂で降りることにした。

60mロープだったが、半分で懸垂は足りそうだったので、セカンドの私は、中間者結びにして、半分のザイルは、地面に残すと言うか、引いた状態で登る。

ロープアップの分の時間の節約だ。どうせ降ろすのだから。

上で懸垂セットして、かっちゃんに先に降りてもらう。私は体重が軽いので、大抵バックアップを回収して降りる立場。

今回はバックアップは必要ない、しっかりした残置だったから、関係ないけど、いつもの手順で降りる。

■ 下降

あとは、がんがん同沢を下降した。16時には下山していた。

帰りに堰堤で振り返ると、天候が崩れてきていて、山頂付近はガスに巻かれていた。ちょうどいい時間帯に山にいたことになる。

大滝は見れなかったけれど、ルートはいいなぁ。やっぱり。冒険する楽しみがある。

ただ、何かを目指して歩くのが好きなんだろう。なんで好きなんだろうか?途中の苦労が、苦労と感じられないから好きなのだろう。

今回は、かっちゃんが一緒に歩いてくれてうれしかった。青ちゃんはシャーないなーって感じだったけど、ラッセルつよつよ。もしかして、40代より強いのかなぁ?ちょっと知りたい(笑)。ラッセルは体力もあるが、技術なのだそうだ。

■ まとめ

核心: 舟山十字路までの林道
失敗: 予想外にラッセル大変
感動: やっぱりピークを目指すと楽しいね!
目標: やっぱ、5級リードが課題ですわ 滑滝はリードできるけど、垂直には阻まれます・・・
学び: ラッセルは技術!
発見: やっぱりルートはいいな!
考察: アイスでルートをするには、雪崩学、必要かも?

7:00   舟山十字路スタート
8:25 堰堤
9:00 三ルンゼ出合い
10:00 F1 6m
10:13 10mCS滝
11:45 終了点
12:30 下降開始
14:11 終了 リード練習など
16:00 下山完了

こういうの、みると癒される



Mar 8, 2016

八ヶ岳 峰ノ松目沢

■ 初リード

鉱泉フェスで知り合った20代大学院生の男性Oさんと、峰ノ松目沢へ。彼は初ルート。私(40代女性アイス3年目)は、初リード

冬の沢である、アイスクライミングは、比較的順調に成長し、去年は、ジョウゴ沢で、連れて行ってもらうのではない、自前で行くルートのデビューを果たした。

しかし、3月のジョウゴ沢の氷瀑は溶けかけており、アイスクライミングの必要がほとんどなく、ほとんどドライツーリングだった。結局、ロープを引いて登ることなく、全部の滝をフリーソロで抜けてしまった・・・。

なので、正式なリードはしていない。核心部のF2や大滝でも、ロープを出さなかったので、このことについては、”そんな山は教えていない”と師匠から、大変きつくお叱りを受けた。

実は、フリーソロで抜けるより、スクリューを打ってリードするほうが難しい。

それは、

 ・レスト体制をうまく作ったり、
 ・スクリューを打つのに適した氷質の面をきちんと見つけたり、
 ・落ち着いてアックステンションしたり、
 ・きちんとラッキングしてクライミングの妨げにならないようにしたり

という、もろもろの判断や技術が必要になるからだ。フリーソロは、そうした技術が欠けていることを示すのみであり、実は何の自慢にもならない。

フリーソロは、結局、セカンドで登っているのと同じことだからだ。ロープを出すべきだと言う判断が欠けている分、セカンドより悪い。リスク不感症の証である。

・・・という去年の実績だったので、今回は、曲がりなりにも、

 きちんとリード

して、大満足。後輩の確保という大役も果たせた。

■ 初ルート&大役

一方、今回、相方の0さんは、今年アイスクライミング元年。そして、アイス初ルート!アイス用クラインポン初おろしのアイスクライミングだ。

私もアイスクライミング元年に、当時、師匠だった方に、ルートに連れて行ってもらった。

同じことが後輩にできて、よかったよかった、とホッと胸を撫でおろす。

■ 同沢下降

しかし、似た者同士というか・・・言うこと&やること、似ていて参る(笑)。

師匠に連れて行ってもらった当時、トップアウトしない点に不満を持っていた。同沢下降だったからだ。

アイスとはいえ、ピークを目指すべきでしょ!という気持ちだった。それはその通りである。

ただベテランの狙いは、別にある。

山では防御の技術をきちんと身に着けてからしか、攻めの技術を教えるわけにはいかないのだ。

中級者となった今は、同沢下降は何のためだったのか分かる。敗退の技を身に着けさせるためだ。登ったところは、降りれなくてはならない。常に退路を断たないような配慮が必要だ。

というか、下りれるところしか登らないようにしないといけない。敗退する力があれば、どこへ行ってもいい。

たかだか3年前だが、初心者の私はヤル気満々だったので、トップアウトする気満々でおり、師匠が提案したルートに、トップアウトして、読図の必要な別のルートで下降する、ユニークな提案など、色々と今思えば、初心者チックな提案をしていた。

ある沢では、詰めの大滝を見たのち、ラッセルして、稜線に出る予定だったのだが、雪が多く、腰までのラッセルだった。師匠がすぐさま中止にしたのに、多少不服。もうちょっと試してみてからではだめだったのだろうか?と考えていた。

が、今回、私は、自分が少々頑張れば、トップアウトできたかもしれないところで、あまり執着せず、すぐさま同沢下降に切り替えた。もちろん、登りはピークアウトするつもりで登っているのだが。

同行者の0さんは、体力満点、伸び盛り。トップアウトしたい気持ちがあったのが見て取れたが、彼は自分では核心部を越えられない。

ので、二人の実力を平準化したところだと、峰の松目沢も、F8敗退が適当な所だった。

しかし、感心したのは、地図読みが良くできることだった。

普通、一般ルートの登山からステップアップしてアルパインへ移行する場合、地図が読めないことが多い。地図が読めないということは、まだクライミング要素が出る山ではなく、地図読みの山をしっかりやらないといけない、ということを意味する。

しかし、彼とは尾根二つ向こうを試してみましょう、など取付での会話もスムーズで、現在地も、とくにGPSへ依存せずに理解しているようだった。

イマドキの人で、GPS依存でない人、読図の基礎が分かっている人は非常に少ない。

■ ゆとりを残した山

峰ノ松目沢は、トップアウトするのに、3~4時間程度の沢なので、12時山頂とすると、8時には取り付きにいたいところだ。逆算して、6時には美濃戸口にいないといけない。

今回は、特に車で美濃戸まで入れないため、40分の林道歩きがプラス。おおよそ鉱泉まで2時間だ。(一般コースタイムは3時間) 峰ノ松目沢の取付は、鉱泉から5分程度のところ。

今回のコースタイムは

 3時起き 4:00出発
 美濃戸口 6:09
 3つ目の橋 8:16
 F1 8:49
 F8 11:00
 下降開始 12:00
 3つめの橋 13:49

 美濃戸口の滝 15:30頃
 美濃戸口 16:00頃
 樅の湯 16:20頃 待ち合わせ17:00
 甲府帰着 19:30頃

(3つ目の橋は便宜上の名で、実際の橋は3つ以上渡った。地形図で沢を確認して行く方が良いと思う)

だった。私が喘息のため、体調が悪く、アプローチの北沢で通常よりもペースが遅い。

懸案の取付での試行錯誤は、Oさんが偵察に行ってくれたり、踏み跡を作ってくれたりしたので、比較的スムーズに済んだ。F1についたら、8:49だった。あまり遅れてもいない。

核心部のF8到着は、11時。早い。そこで、リードに試行錯誤しているうちに、11時半となったので、早めに意思決定し、同沢下降とした。核心部のF8で、景色を見ながら、のんびりランチ休憩して、12時下降開始。

下降終了が13:49.美濃戸口へ下ると、まだ15:30だったので、美濃戸口の氷瀑を見学。保科ガイドに会う。去年師匠が私のリード練習に選んでくれた場所だ。16:00美濃戸口の駐車場。

■ 当日

甲府を4時に出て、6時09分美濃戸口出発した。ちょうど夜明けとともに出発し、ヘッドライトが不要だった。7:40に北沢堰堤に着く。ここから用心した。峰ノ松目沢は取り付きが迷いやすいことで知られている。

 三つ目の橋を渡って、2つ目の沢(戻る方向)、

と覚えて行ったが、橋は3つ以上あり、地形的に、ここではないか?と思われる橋に着いたのが、8:16.景色が開け、峰ノ松目沢が展望できる場所だ。

目で見て、峰ノ松目のピークと赤岩の頭の間のコルを確認する。峰ノ松目ピークから派生する顕著な尾根がある。

その尾根で分けて、峰ノ松目沢は、南西沢と南東沢があるそうだ。通常、峰ノ松目沢とされているのは、南西沢と書いてあった・・・が、南西沢とすると、その顕著な尾根の西側となり、取り付きとしては、北沢堰堤から上がった方が合理的になる。写真では、峰ノ松目沢は、コルへ突き上げているので、その南西沢は間違いで、本物は南東沢だろうということで、意見が一致していた。

実は、その点にも感動した。たぶん、私が取付を解決しないといけないだろうと想像していたからだ。今まで一緒に行った人は、大抵は、お任せ路線で、取り付きも何もかも、私が解決し、案内しないといけなかった。つまり、私のガイド登山であった。

ここかな、と思われる橋につくと、右岸へ渡ってすぐに、後退する方向に踏み跡があった。踏み跡は、一人分。

そのトレースは無視して、自分たちの考えで取付を探す。二つ目の沢ということで、進行方向を探す。

前回、別の同行者と鉱泉に行った時に取付を偵察したが、その時は、もっと鉱泉寄りのトレースがあった。

しかし、とりついた沢は写真で見た取り付きと少し印象が違うため、反対側に二つ尾根を越えてみることにする。

・・・と、先行パーティがいた。F1、15m滑、と覚えて行った。取り付いているので、ちょっと聞いてみる。

「これ、峰ノ松目沢ですか?」「初めてきたので、分からないんです」。

我々も初めてで、ワカラナイ(笑)。

先方パーティがいたことに気をよくし、そのまま登ることにする。

F1は2段で、左の雪面から上がれば、別にロープはいらなさそうだった。もしソリ遊びがしたいなら、格好のそり遊びができそうな傾斜だ。

1段目を上がってみると、下から見たより高かったので、やっぱりロープを出した方が良かったかな?と思い、同行者に聞いてみる。「ロープ要る?」

が、”いらない”という答えなので、そのまま、右にトラバースし、2段目をすこしノーザイルでアイスクライミングして、すぐに滝上に出る。

すると、すぐにF2が見えた。 F2は、結構しっかり立った滝だった。これはロープを出して、スクリューを打ち、きちんとリード。言いつけを守る。

その後は、しばらく、”念のためロープがいる”という程度の滝が出るが、技術的に困難さを感じる滝はなく、普通にリードしていく。おそらく三級程度だろう。

F7?二股では左を取る
■ 後続の確保が問題

・・・が、ビレイが問題で、後続のビレイに良いようなビレイポイントとなる残置がとても少ない。

今までルートで見たことがあるような、リングボルトやハーケンで出来ているアンカーは、一個しかなかった。

うーんと考えて、適当な自然物がないので、スタンディングアックスビレイだな~と思うが、SABをするほど雪がない。ので、結局、肩がらみとした。

F5かF6だろうか、短いが立っている滝で、肩がらみでテンションかけかけだったが、意外に平気だった。

しかし、ビレイのスタイルの向上は課題だ。シビアな登攀で肩がらみはないだろう。

■ 難しいラインの方が安全

滝は、ひとつ大きな穴が開いているのがあった。直上が氷が厚かったが、くぼんでいるほうが登攀が楽だ。結局穴に落とさないでね、と釘を刺して、穴の上のアイスにスクリューを打つ。

でも、もし登攀に自信があれば、直上して氷の厚みを取っただろう。

登攀と安全は相矛盾するんだな~と思う。登攀が易しいと危険が大きい。だから、安全のためには自分の登攀力を上げるしかないってことなんだろうな。

10時ごろ、お腹が空いたので、休憩。振り返ると、素晴らしい阿弥陀の眺め・・・気が付くと、南アまで見えていた。

ぜんそくのためか、なんだか馬力が出ず、登攀は問題ないのだが、歩きがダメな日で、雪を歩くのがつらい。

あまり長い休憩は冷えるので、さらに進む・・・と、その先に先行パーティが見える。先行パーティはベテランと新人のセットのようで、私たち二人のような、新人二人組とは違うようだ。その割には、先行パーティに追いついているじゃないか、と気をよくする。

二股に沢が分かれるF7に来てみると、先行パーティがどうも懸垂下降しているようだ。普通に短い垂直の氷瀑(左)を越える。

落ち口では、氷が大量に落ちる。うーん・・・落ち口の氷は丸い。丸い箇所の氷はアックスを指すと割れやすい。案の定、ちょっと叩いただけで、すぐ割れる。

しかし、落ち口はマントリングと同じことで、全体重を掛けるので、バチ効きでないと嫌だ。だいぶ氷を落としてしまい、アックスで進路の氷を叩き割って石橋をたたいて渡るのではなく、叩き壊しているのではないか?くらいな勢いだった。まだアックスの効きを信頼していないから、無駄が多いってことだ。

F7滝上で先行パーティに合流。どこの山岳会かと聞くと、「うんりょう会です」との答え。ピンと来ず、”?”となり、「私たちは知り合い同士です」と、とんちんかんに答えた。聞いた手前・・・。しかし、良く考えると、あの雲稜である・・・登山大系を読む人なら、誰でも知っているってば、な感じ。 あとで、超老舗、雲稜会と岩田さんに教えてもらって分かった。すぐ分からなくて、すみません(^^;)。

で、先行Pは、二股で右俣へルートを取ってしまったのだそうだ。「二股で左、と覚えてきました」と答える。

右は段々で、左は短いが垂直、どっちを詰めても、愉しく登れそうだった。

少し行くと、すぐにF8.これは写真で見たな~と思い、ここはちゃんと峰の松目沢だと確信する。

これを見るまでは、いまひとつ、本物なのかどうか確信がなかったのだ。

■ F8 核心部

先行パーティが、もっとも長い滝芯にリードで取り付いた。アックスにリーシュが付いたクラシックスタイルの登りで、垂直のつららの集合体の氷柱であるにもかかわらず、きちんとアックスが横に2本そろった正対の登りだった。正対だと、とても腕の負担が多い。

ので、岩根アイスツリーなどの人工壁では、垂直の氷は、体のフリを使って、傾斜を殺して登る。フリが入ると、まったくムーブはフリークライミング的になる。アックスは交互に出す。足は片足切ってしまう。

そのF8の滝は、記録では5~6mと出ていたが、みたところ8mくらいはありそうだった・・・。普通に鉱泉のアイスキャンディーや岩根アイスツリーと同じ長さがありそう。

予想より長い。先行Pのリードでは、スクリューが4本刺さっていた。うーん・・・峰ノ松目沢のガイドでは、スクリューは2本で十分、と書いてあった。私たちは、余裕を見て、4本持ってきたが、あの滝をリードすれば、4本では使い切ってしまう。上でアンカー構築用に2本の予備が欲しいなぁ・・・。

ただ、このF8は、巻ける、とガイド本や記録には書いてあったのだが・・・。と、見やるが、左は急な草付の雪面で支点がなく、リードより危なさそう。

右は、弱点となる3m2段で垂直の氷があり、頑張ればリードできそうだが、足元のスタンスになる部分に氷がなく、出だしが核心になりそう。さらに右は、岩が出ていて、支点がなく、短いが、アイゼントレの成果が試されそうな、ドライツーリング系のスラブ。

とりあえず、取り付きまで行くために、急な雪の斜面を上がり、氷瀑の真下まで行って、セルフを取る。

凸凹の凸は氷が厚く、登れそうだが、凹より凸が登るのは難しい

とりあえず、ビレイヤーのアンカーを氷柱で作る。

NOという返事を期待して、「Oさん、リードどう?」と聞いてみる。期待に反し、なんと!やってみます、との答え。まだ擬似リードも、経験していないのに!

ヤル気あるなぁ!ということで、まずできるだけ、高い位置にスクリューを一本打ち、1ピン目を確実にする。彼は凹を選んだので、凹角を登ってみてもらうが、右足にスタンスがなく、厳しそう。

落ちると、ビレイしている私の真上に来てしまい、具合が悪い。無理して落ちても、ろくなことはないので、あとワンアックス、という感じではあるが、1段目に上がらないうちに降りてもらう。スクリューにはテンションかけかけだが、スクリューはびくともしない。

さて、私のリードの番だ。私の狙いは凸角。

とりあえず、落ちた場合、ビレイヤーの真上に落ちないように、ビレイポイントを後退させ、雪に埋まった枯れ木でビレイヤーのセルフにしてもらう。急な斜面で、ビレイヤーもセルフが必要だった。

が、垂直をリードするにはビレイ位置が悪いな~と思いつつ、とりあえず取り付いてみる。

うーん・・・頑張れば行けそうだが、よいスタンスがない。氷が固く、爪が刺さらない・・・と思っているうちにパンプが来そうだ・・・というので、とりついてみたものの、敗退。

技術的には、越えられそうな、2mあるかないか、の垂直の氷柱だ。

段になっているところに乗れば、その上の氷柱に、もう一本スクリューを打ち、それが打てれば落ちても安心なので、安心してリードし、トップアウトできそうだが、何しろ、ビレイとの位置関係が悪く、落ちるかもしれないリスクを取る気になれない。

まぁ、落ちても雪面に落ちて、死にはしなさそうだったのだが・・・まだ垂直で、なおかつ、つつら集合体の凸面アイスのリード練習が足りていない。ので、あっさり辞める。

下りたら、まだ11時半。ふと見やると、先行パーティのセカンドが、セカンドなのに、スクリューのぬんちゃくを引っ張って登っている。

それほど登攀力の不足した状態で、ルートに連れて来られてしまい、気の毒な気もするが、まだクライミングの基礎力自体が足りていないみたいだな~と思う。

それを思うと、同行者のOさんはすごい。まだアイスは、実質4回目なのに、登攀力的には、先行Pのセカンドより上だ、と思われた。

”強点”である、その長い氷柱は、二人とも、トップロープなら、楽勝で登れるんだが・・・。弱点の短い氷柱でも、ほんの”一歩”のリスクを取る気になれない。

自分で登る、ということは、こういうことなんだな~と思いながら、後輩になっている、Oさんには申し訳ないが、先輩がビビりだ、ということで、納得してもらい、二人で美しい赤岳、中岳、阿弥陀の稜線を眺める。阿弥陀北陵や北西稜、御小屋尾根を眺め、次のルートへの夢を膨らませる。

まぁ、まずは、はじめの一歩と言うことで・・・。

つららにセルフを取り、そのセルフにザックをぶら下げ、ランチ休憩。二人とも、食料があまり足りていないようだ。

■ 懸垂下降で帰る

さて、懸垂で帰るか・・・でも、支点があんまりなかったんだよな~。登りで懸垂支点を見ながら、登ったが、あまり良い支点がなかったのだった。

登りは、カンタンな滝だらけだったが、下るとなると、やっぱり、すべての滝で懸垂下降が必要だった。クライムダウンで済んだのは、1か所だけ。

一回目の懸垂は、指三本しかない太さの枯れ木で、これは、マジでまずいと思ったので、バックアップを取り、体重の重いOさんのほうから降りてもらい、私は回収で後に降りる。他にも立木があったが、ブッシュのようになっていて、回収でノットがひっかかりそうだったのだ。

その枝が一番怖く、他は、まぁなんとか信頼できると思われた。が、懸垂は荷重がかかる方向、降りる方向が大事なので、トップは交代して、懸垂慣れしている私の方が先に降りる。

途中、立木にかかった残置スリングが、数か所。最後の残置は、しなっている枝で、私が降りたら、ミシッと言ったそうで、あの残置は、かなりマズイ残置だった。きっと初心者ルートだから、初心者が設置した残置なのだろう・・・。

奥に良い立木があったので、使えば良かったが、F1は長かったので、ザイルが届くかどうかが不安だったため、近いほうの残置スリングで懸垂したのだった。

実際、降りてみたら、その近いほうの残置で、ギリチョンだった。ギリだったので、セカンドのことが心配になり、短いほうの末端に結び目を作っておいた。

■ 回収

・・・ら、回収の時にその結び目をほどくのを忘れてロープを引いてしまい、そのノットが引っかかって回収不能になってしまった・・・。

これは、セカンドが回収に出かけてくれた。F1は、登るのはフリーソロしたほど、カンタンだったので、お任せした。

でも、回収して、また懸垂で降りないといけないので、もう一本のほうのロープも、持ってあがらなくてはならなくなった。

実は、50mシングルで、ガイドブックには書いてあったが、今回は、Oさんの自分のロープ(30m)に使い慣れてもらいたいと思い、各自が30mを1本づつ持ち寄って、2本で登っている。

滝自体は、30m1本で登れたからだ。敗退用に30m1本。すると、60mになり、ガイド本にあった50mシングル一本より、敗退するときの長さが取れ、より一層、確実なハズだった。が、2回ほど懸垂の長さはギリだった・・・。今年は雪が少ないから、滝の長さが出たのだろう。

1本で使うよりも、2本の方が、ロープワークは複雑だ。

師匠も最初の頃、私に自分のロープを持ってこさせていたし、同じことを後輩にしてあげるのが、良いと思われた。シングルがないと、どこも登れない、と思っているようだったからだ。

Oさんは、登り返しでは、アイス部分を登らないで、沢と同じように、端の方の岩の手掛かりが多いほうを登ったのが、意外だった。後で聞いたら、その方が早いと思ったのだそうだ。

沢には良く行くそうなので、さすがに登り慣れていた。私ならアイスを登るが、アイスは彼、今年、初めてだもんな。

F1からは、正規の取り付きを確認するために、普通に沢を下降する。

すると、まるで教科書のような、美しい逆ハの字のトレースが、規則的な並びでついていた。さすが雲稜と思う。

降りてみると、他の記録の写真で見た景色が出てきて、やっぱり、これであっている。

一般道へ着くと、まだ13:49だった。ゆとりだな~。やっぱり、同沢下降は早い。下りは、登りの半分だ。

トップアウトしたかったが、まぁ、それは、また今度でいいだろう。

■ おまけ

その後、順調に北沢を下り、美濃戸口の滝へ立ち寄る。

保科さんがガイド中だった。保科さんで私はアイスをスタートしたので、挨拶する。メンバーには、中年の女性もいて、アイスは、比較的女性クライマーが多いようだ。

美濃戸口の氷柱は、登るのよりも、トップロープを張るのが大変だ。

その後、美濃戸に着くと、まだ16時だった。本日の山、終了。帰りに、駐車料金を払うと、コーヒーをもらうことができた。

J&Nというカフェが美濃戸口にできたが、そちらは食事などをすると、無料。オシャレな感じの店だが、節約派は500円、払うかもしれない。頭数で割れるから(笑)。

Oさんとは、岩根2回と小滝1回の仲で、今まではOさんとの山で、温泉に入ったことがないが、今回は、ゆとり付き山行なので、樅の湯へ。

会では、かならず温泉が付いていたし、山で寒い目にあったら、温泉へ、と思うが、今回は、天候はあまりにもよく、濡れも寒さもなく、しかもルートも比較的短く、あまりたくさんは、動いていないので、温泉は、贅沢の部類だ。

甲府へ帰ると、まだ19時過ぎ。渋滞も比較的避けることができた。天候は翌日霞がかり、この日が最後の冬のピーカン日のようだった。

■ おまけ

翌日は、小瀬の人工壁。メニューは、

 ・5.8でリードフォロー&空中懸垂 役割を変えて2回

 ・回収&架け替え練習。5.8でリード後、トップロープ支点を作り、ローワーダウン、セカンドの人はトップロープ&ローワーダウンで単純に登り、最後の人が回収するという一連の流れを役割を変えて2回

 ・5.10Aの被った壁をリード練習。単純にトップロープで、クライミングムーブの習得練習

という流れで、4時間。リードデビューしてもらう。5.9でも、かぶっていれば、なかなか大変。ランチを食べて解散。

小滝や岩根に行くにも、漫然と登って降りる、を繰り返すだけではなく、何を実現したいか、リアルに課題が見えた山行だった。モチベーションを作る山。

≪課題≫

・凹凸では凸を登る
・10m程度の氷柱のリード
・アックステンションしながらのスクリュー設置

・後続の適切なビレイ方法

■ まとめ

今回は無理のない計画で良かったと思う。

帰宅して、GPSの軌跡を確認すると、あと200mあるとおもっていた、トップアウトまでの距離は、あと標高差80mしかなく、それなら、トップアウトしたらよかったな、とも思うが・・・。

これは初心者のルートデビューに最適な沢だった。

■ 記録

 実施日: 3月3日(木) 前夜泊日帰り
 メンバー: 2名  
 ギア: ダブル30m ×2 スクリュー×4 (6本がベター &ハーケン、イボイノシシ) 
 
 参考コースタイム:
 3時起き 4:00出発  美濃戸口 6:09  3つ目の橋 8:16  F1 8:49  F8 11:00
 下降開始 12:00  3つめの橋 13:49

 美濃戸口の滝 15:30頃  美濃戸口 16:00頃  
 樅の湯 16:20頃 待ち合わせ17:00  甲府帰着 19:30頃

■ ルートグレード 3級上 Ⅳ+ 日帰り

■ 参考サイト

支点と滝の姿が参考になる 三ちゃんのサイト
F8の右岸の草付を大きく巻いている記録
南西沢と南東沢が混乱していると思われる記録
雲稜会

■ 参考画像

峰ノ松目沢を望む
F1
F2上の残置
F4
F8





































F1 2段15m 滑
F2 12m 穴あき カンテ
F3~F4 35m? 長い滑
F5~6 ??
F7 二股  休憩ポイント?
F8 垂直氷柱 核心
F9 滑?
F10 5m? 

アプローチ2h ルート3~4h

■コスト

交通費 往復2000円
駐車料金 500円 (無料コーヒーサービス付)
行動食 800円
温泉 500円

F8 これくらいリードできなくては!


コルへ突き上げる沢です

Dec 31, 2015

甲斐駒 黄連谷(敗退)

■ 降りたつことさえなかった黄連谷

今年のお正月山行は、ちょっと残念な結果に・・・。

でも、まぁ最初から、少し計画が唐突&大きすぎたと思います。実は、甲斐駒の黄連谷が予定されていました。

口にするのも畏れ多く(笑)、ここに上げるのもためらわれるのでした。

が、まぁ、”実力以上の山”だったので、潜在意識が、この山を遠ざけたのかもしれません(笑)。まさかの一般ルート敗退

なんと、甲斐駒黒戸尾根へ続く一般道を間違え、不動滝に行ってしまったのです(^^;)。 私はロープを持っていたので、同行者よりザックが重く、そもそも、同行者とは体力差もあって、私の方が歩くのが普段遅いので、「これは離されないように歩かなくては・・・」とペースを上げるのに精いっぱいで、一度歩いている黒戸尾根の分岐を見落としてしまったのです。

なかなか沢から離れず、黒戸尾根は急登で知られるところなのに、おかしいなぁと思い、一度、「これってあってる?」と同行者にも聞いてみたのですが、「明瞭だよね」という答え。しかし、小一時間すぎ、見覚えのない橋が出てきて、いよいよおかしいなぁと思い、GPSをみると・・・やっぱり。

ほとんど尾根の始点で間違ったので、間違ったポイントへ戻ると、3時間のロスでした。

黄連谷は、2泊3日のルートですが、同行者は1泊二日で予定していたこともあり、初日にできるだけ奥に入りたかったようでした。普通は、5合目か、2俣、坊主ノ滝上あたりで1泊です。ヘッデンでの下山を避けるとあと一泊。

大体トップアウトするのに8時間のルートですが、とりつきの標高が高いため、アプローチも長く、体力勝負のルート。

9時半出発でも14時には5合目に着くことができ、坊主ノ滝下でビバークできそうだったので、その提案もしてみましたが、同行者はヤル気を無くしてしまったので、素直に帰ることにしました。うーん、本日の山、3時間なり(汗)。

ダメだったら、普通に甲斐駒に登って降りてくるだけでも、同行者とは山自体が初めてだったので、ペース合わせになって良かったと思うのですが。

 ・同行者とは、ゲレンデしか知らず、まだ長時間かかる山は経験していなかった
 ・アイスはまだ一緒にやったことがなかった
 ・私自身のアイスの足慣らしが、今年はまだ済んでいなかった

ので、これは、神様が、「まだ早いよ」と言っていることだと思いました。

私自身、黄連谷の提案があったときは、「いいのか?アイス3年目で行ってしまって・・・」と思わないでもないルートだからです。

黄連谷は右と左がありますが、右は山頂直下までつながる甲斐駒のバリエーションルートとしては、とても魅力的なライン。ですが、困難度としては左より易しい。私はアイスもクラシックルート志向なので、憧れているルートでした。しかし、実力内のルートかどうか、自分自身で判定が難しい。

黄連谷は、また時期を捕まえるのが難しいルートとしても知られています。時機をはずずと雪でうまってしまうのです。そうなると雪崩の危険があります。

何年も時機をまって、やっと登る人がいるようなルート。なので、トライしようとした一回目で、登れてしまうということがないほうが良いのかもしれません。

■ 転進=クラック

まぁそんなこんなで、1泊二日の予定は、3時間で敗退したため、大快晴にもかかわらず、自宅待機となりました。

翌日の予定を最初、八ヶ岳のバリエーションのどれか(石尊稜か三叉峰ルンゼ)にしてみたのですが・・・八ツは、とても混んでいるし、あまり歩かないルートなのでそそられない・・・上、私はバリエーションのルートコレクションをするような山の選び方には、あまり興味がない・・・。 

今ある課題としては、初級の沢の広河原沢左俣(ベテランは足慣らしにソロで行くようなルート)、峰の松目沢(初心者の初リードに最適、しかるに、同レベルの人と行くルート。時機が遅いとアイスではなく、ラッセルのルートになってしまう)、がありました。

私はその先を考えてルートを選ぶタイプで、広河原沢左俣は復習山行で行きたいルート、峰の松目沢は、同期レベルとチャレンジ山行で行きたい山でした。先輩と行く場所ではないかも。

・・・というので、色々検討した結果、今日は、先輩を昇仙峡のクラックを、案内することにしました。

■ お口直し山行 3回目の昇仙峡クラック

というわけで、またクラックのマルチピッチに出かけました♪ 

今日は、長野の人も呼んで、3人。

■ 今年のお正月

今年のお正月は、このような結果になりました。

上高地では、ちょっと膝を痛めてしまいました・・・ ひざ裏が痛いのは、初めてのことです。

アスファルトを歩くと痛くなり、もう歩くこと自体を辞めなくてはいけないほどですが、今日は普通に歩けました。

平らな所を歩くと痛くなるのですが、どうしたことでしょうか・・・うーん・・・

■ 方針

色々と考えますが、実力以上のルートは、悪魔のささやき、という面もあります。また誰にでも、行って見て敗退するという道は残されていますから、実力以上のルートに行くこと自体がまずいことではないのですが、色々考えると、このような方針で行くことが安全へつながると思います。

1)山でも、クライミングでも、低いグレードから しっかりと数をこなし、経験値を高めて行く

2)技術の未熟なうちは、むやみにグレード(山)を上げない

3)自分がコントロールできる範囲をじわじわ広げ、経験を積む

4)クライミングは、登るだけでなく、しっかりと落ちる技術確保する技術も磨がく。

5)山はしっかり敗退についても学ぶ

 最も大切なのが、(危険の認識能力)と(それに対する判断力)を身につけていくこと

ということは言えることだと思います。

≪追記≫

このページは人気があるので、以下、詳細をアップします。

■ 黄連谷のこと

≪打診≫
同行者には11月あたりから「黄連谷右俣はどうか」と打診を受けていた。もちろん、黄連谷についての研究は、去年済んでおり、良く知っているルートであったので、二つ返事でOKした。

黄連谷はアイスクラミング発祥のルートだ(左俣)。私は先鋭的アルパインを目指しているのではない。が、誰にとっても普通は、山登りというのは、ピークを目指すものではないだろうか。その登路に尾根を使えば一般ルートになる。沢や岩は、多様な登り方の一つに過ぎない。私には岩はまだ手がでない。今課題にしているのは易しいルート、入門ルートやクラシックルートと言われるルートへのチャレンジだ。

≪私にとっての甲斐駒≫
甲斐駒は、買い物帰りにいつも見える。親しみを感じる山。毎日見る山。黒戸尾根は、無雪期から順繰りに登りたいと思っていたが、登山2年目にガイドさんから誘いが来た。厳冬期黒戸尾根。それはメンバー的に納得がいかず断った。が、それで歩けることは分かったので、しばらく憧れ、登山4年目、満を持して師匠との顔合わせ山行で登った。

初めて登った甲斐駒は、一言で言えば、楽勝だった。しかし、あとに師匠との齟齬を残す山となってしまった。意見の相違があったのだ。

甲斐駒山行は顔合わせだったので、師匠のパーティとは別パーティという予定で、山行計画書も共有しておらず、装備も別々だった。私は念のため、8㎜×30mを入れていったが、二日目の朝、必要ないだろうと考え、師匠に「いらないですよね」と声を掛け、小屋において山頂へ行った。この一言が師匠の判断を仰いだということになって、師匠からはこの甲斐駒行は個人山行とは認められていない。

実際、登山口から下山まで、ずっと行動を共にしており、単独とは言えない。そう考えてもいない。が、師匠に連れて行ってもらったとも考えられない。いまだに私には、その区別がついておらず、甲斐駒は、普通に登って降りてしまっただけで、天候も雪の状態も良く、確保の必要がなかったためか、ベテラン山ヤの存在のありがたさを実感はできなかった。

≪アイスクライミング≫

話を戻そう。甲斐駒を登った後から、アイスクライミングを始めた。

私は雪で山を始めたので、アイスでつるべを教えてもらった。その次に岩をして、その後に沢だ。だから、つるべを覚えたのはアイスだった。アイスはなかなか機会を作ることが難しく、2年かけて、擬似リードまで。リードのお許しはまだ出ていない。その時点で止まっている。今シーズンは、まだアックスの一振りもしていない。

アイスクライミングも、登って降りるゲレンデクライミングではなく、ピークへ突き抜けることを目指すと、ルートと言うことになるが、アイスクライミングをそうした手段として捉えた、最初のアルパインアイスは、甲斐駒黄連谷左俣だ。昔は人工で登った。目的はフリーで抜けることではなく、ピークへ抜けることなので、人工は”ずる”ではない。

今アイスのフリーの世界はどうなっているのだろう?良く分からないが、ツララを登るクライミングは、ゲレンデでは、とても流行っているようであるし、大滝というようなサイズの大きなものを腕力勝負でフリーで登るのも、流行っているようではある。そのどちらも、腕力もなく、テクニカルなフリーの技(フィギュア4とか?)には魅力を感じない私には、あまり適性はないような気がする。

≪行ける山かどうか≫
黄連谷右俣は、左俣の垂直とは違い、山頂へ突き抜ける標高差1200mの長いルートだ。アイスを嫌と言うほど味わえる。お腹いっぱいルートだ。技術的にはⅣ級マイナス、ルートグレード3級上で、南沢小滝大滝が登れるようになったくらいの初心者を、先輩が連れて行くルートとしては、そう突拍子もないルートとは思えない。雪中テント泊など習得済みというのが、まぁ、当然の前提ではあるが。

アイスグレードは
 30度まで 1級
 45度まで 2級
 60度まで 3級 → アンザイレン必要
 80度まで 4級 → 大抵の初心者もトップロープなら登れる
 90度まで 5級 → アイスキャンデーとかツララ

となっており、アイスⅣ級と言うのは、要するにほとんどの人が登れるという意味だ。

≪不安≫
このルートの提案が来た時、まず最初に不安に思ったのが、今までゲレンデには一緒に行っていても、山の経験がないことだった。

これはクライミング系の同行者は誰であっても共通の悩み。前のパートナーとも、普通のテント泊ができないという問題があった。ただ今回の同行者とは、ゲレンデではあるが、テント泊は数回以上を重ねており、慣れがあった。ただ歩きが心配なだけだった。

≪時間に追われる=山との駆け引き≫

ゲレンデクライミングでは時間に追われることがない。たとえ一泊したとしても、テント泊ではなく、キャンプであり、時間的にゆとりがあるため、作法というようなものが必要ない。無雪期であっても、山であれば、出発時刻を頭に入れながらの朝食となるし、明日の朝の起床を頭に入れながらの消灯になるのだ。

雪の山であれば、濡らさないとか、手袋を無くさないとか、ギアの整頓や心配り、コッヘルを持っておくなどの”常識”が必要になる。そういったものを共有していない。普通の日帰りの山でさえ経験していないのだから、私が不安になっても仕方がないだろう。

不安に思う時、何に向かうか…それは人それぞれであると思うのだが、私の場合は、不安が募れば募るほど、ルート研究に向かう。地形図に向かい、トレーシングペーパーを重ね、等高線の数を数える。滝の記号を入れたり、傾斜何度かを入れたりすると、段々と落ち着いてくる。ルートがリアリティを持ってくるというか、行けなくても、見るだけでもいいかなと言う気になってくる。幸いに黄連谷はメジャールートなので、複数のガイドブックにルート解説がある。

≪作戦?≫

黄連谷には、どのような作戦で行くつもりだろうか?それが知りたいと思ったので、12月中旬に一度「七条小屋に宿泊するなら小屋代持ちますよ」と同行者に持ちかけてみた。普通は黄連谷は2泊3日のルートだからだ。同行者は、1泊のテント泊で行きたいという。逆に5合目まで何時間で歩けるのか聞いてきた。過去の記録によると時間をさして気にしないで歩いて、4時間20分で5合目に着いていた。こういう時記録を付けていると助かる。同行者は、4時間で歩いて欲しいのだそうだったが、ガイド本にも3~5時間で計画されていた。テント泊装備となると重くなるので、前回の小屋泊前提の装備より重くなることが予想できた。とは言っても、冬山では小屋泊でも、最低限の衣食住は担いで登っている。

今年は暖冬だ。アイスはなかなか凍らない。12月初旬の予定が中旬になり、それも流れ、予想は正月明けと言うことになって、山行の実現に、あまりリアリティが感じられなくなった。正月後ということなので、正月の休みには、自分の山の予定を入れてしまった。すると、その後で、やはり行くという連絡が来た。連休で一番冷える日がアイスには最適なのだが、その日には自分の山が入ってしまっていた。間が悪い。

アイスのルートで困るのは、適期が掴めないことだ。特に黄連谷は年を越して、クリスマス寒波で雪が降ってしまうと、雪崩の危険があることになってしまう。まぁこれは沢を登るアイスのルートは、どれもそうで、斜度によって雪崩の危険があるか、単なるラッセルのルートになるかの差だ。気温もプラスになるようなときは、氷が解け始めてきてしまい、危険で、これは下界に近い、ゲレンデは特に要注意だ。ツララなんか落ちているのを見たら、これが落ちたとき、下にいたら大変だと思う。

≪ドタバタと準備する≫

予定日が、やっと決まったが、前の日山から帰ってきて、すぐ。ドタバタすることになった。

計画書が送られてきたが、行動予定は、その計画書では分からなかった。幕場は二俣とされているようだったが、二俣はテントが張れるのだろうか。同行者はテントは重いのでツエルトで行きたいという。まぁ、私はどっちも宿泊経験があるので、いいのだが、ツエルトを張るポールがないと張れない場所だったら、困るなと思い、知っていそうな人に問い合わせをした。沢の中は、大体、立木があるものだが、黄連谷は、宿泊地の写真があまり上がっていなかった。

装備準備が追い付かず、寒冷地仕様のガスと自分の食事を買いに慌てて出たが、コッヘルとガス、共同食は同行者が持つというので、結局いらなかった。ただ普段、会山行でも私は共同装備以外に、自分のコッヘルとガスは持ってあがっている。

ロープを私が持ち、スクリューは3本を提供、酒1リットルと朝食用の棒ラーメンを私が負担した。同行者はツエルトとコッヘルセット、夕食を担当した。

ギアは絞りに絞り、ビナ4枚、スリング4本。これは大体、沢に行くときと同じだ。沢のリードでは、これくらいで、やっている。あとはヘルメットに、アックス、アイス用のアイゼン、手袋、シュラフ。ザックは、36リットルのバリアントになんとか詰め込んだ。ロープは外付け。アバラコフのギアは、私は持って出たかったのだが、イラナイと言うので、おいて出た。敗退したいとき、困るかなと思ったんだが、立木で支点が取れるそうだ。

≪出発≫

同行者には前夜泊をこちらから提案した。早朝出発が良いと思ったからだ。我が家からなら竹宇神社は1時間だ。夜は8時消灯としたいと話しておいたが、結局、お酒も入り11時ごろの消灯となってしまった。

朝は、4時起き5時出発6時到着を提案したが、そこまで早くなくても良いと言われ、結局のところ、竹宇神社に着いたのは7時すぎだった。途中コンビニに2度も立ち寄ったためだ。同行者はルート情報のコピーを取りたいのだそうだった。コピーなら我が家でも取れたので、時間の無駄が惜しかった。

同行者が水をくみたいというので、白州道の駅に立ち寄る。結局コンビニを入れて3か所に立ち寄り、1時間の予定を大幅に過ぎて、竹宇神社に着く。元旦早々、警察官が登山者への注意喚起をしていた。遭難者が多いのだそうだ。私が山を初めてから、ずっと毎年記録更新と言っている。しかし、黄連谷に入るような登山者の事例ではなく、普通に登山をしている人の遭難増加のようだ。仕事をしていたという証拠写真を撮りたいそうだった。元旦から大変だな。同行者は甲斐駒は25年ぶりだという。

7時40分やっと支度も整った。同行者は上下でレインウエアを着ていた。私は5合目までは、そこまで必要ないと思ったので、いつものいでたちだったが、ハードシェルを脱ごうかどうか迷った。最初の休憩で脱ごうと思い、そのまま出発。神社の脇を抜け、吊り橋を渡る。尾白川は、蒼く澄んでいた。前に来た時もそうだったが、下は完全に夏道だ。

≪ルートミス≫
同行者が先行する。私のザックの方が同行者のザックより重い。ロープはルートに入ったら使うので、5合目までの辛抱だ。頑張って歩く。普段、ゲレンデでも私の方が遅いので、離されないように歩かなくては。

しかし、なかなか沢から離れない。ちょっと不安になり、「この道あってる?」と一度同行者に尋ねる。「明瞭だよね」という答え。確かにそうなんだが…。前に甲斐駒に来た時は、のっけから急登だな~という印象の登山道だったのに、アップダウンの緩やかな道で、拍子抜けなんだが…。

しばらく行くと、いよいよ見覚えのない橋が出てきた。これはやはり違うのではないかと思い、終にGPSを見る。尊敬していた先輩は、GPSはカンニングと言うので、あまり見ないようにしているのだ。しかし、こういう時は一目瞭然。説得力の点で、GPSに匹敵するものはない。完全に違う道を歩んでいた。この道は不動滝へ続く道だ。

同行者に大声で呼びかけるが、岩の裏側へ行ってしまって声が届かないのだろう、返事がない。それでも、呼び続ける。やっぱり、おかしいなと思ったんだよな~と思うが、30mほど離れて歩いていたので、話をしていないのだ。「え、間違ってる?ゴメン」。まぁ、ルートのミスは、間違いに気が付かなかった後続も同罪だ。

≪敗退決定≫
がっくりとしつつ、今来た道を戻る。ほとんど登山道の最初の分岐で間違ったので、ほぼ3時間のロスだった。しかし、5合目泊で、翌日ルートにトライでもよいと思っていたので、この時間なら5合目までは行ける。翌日は風が強い予報だったが、7合目までは樹林帯なので、上がれる。その提案をしてみたが、同行者はもうヤル気を失ってしまったようだ。まぁ、登頂可能性がないのに、寒い思いをする、ということが、めんどくさいことには違いない。しかし、同行者とは山の経験がなかったので、普通の山を経験しておくことは、今後には良いだろうと思った。

しかし、まぁ決定権は同行者にある。計画書も発案も同行者だからだ。というわけで、敗退が決定し、山を下った。

日は高くなり、竹宇神社には初詣客が出ていた。途中すれ違う人々が重装備の我々を見て、お疲れ様と言う…いや…全然疲れていないんだが…。皆の誤解が痛いな~。

さらに痛いことに、なんと同行者は業界通の為、知り合いに会ってしまう。あまりほめられたことではない敗退だったので、人知れずひっそり帰りたかったな。この日は元日の為、温泉も開いていないので、そのまま自宅に直帰。

昼前についてしまい、山で食べる予定だった棒ラーメンを調理。古いお餅だった。同行者が去年使う予定だったものらしい。越冬ビールならぬ、越夏餅。

≪転進?≫
転進先を考えるが、考えていなかったので、いまひとつ。正月の八ヶ岳は混むから嫌なのだった。

アイスのルートも、今年は八つはかなり遅く、私の課題にある、峰の松目沢は標高が低く、イマイチだろうと思われた。広河原沢も1月中旬が適期なのだ。

標高が高いところを目指すと、横岳西壁になる。石尊稜も案に出たが、雪が少ないと思われ、雪稜なのに雪がないのでは、そそられなかった。また、易しいルートなので、初心者同士の時のために取っておきたいルートでもあった。それにアイスのルートではないからギアが違う。

結局、三叉峰ルンゼに行こうという話にまとまったが、その後、散歩に出たら、私の足が痛くなってしまった。上高地で痛めた所と同じところだ。どうも平坦な所を歩くと、痛いらしい。

これでは八つの北沢が歩けまいと思い、ゲレンデに変更する。結局、長野の人と連絡がついたこともあり、昇仙峡のクラックに出かけた。これはこれで楽しかったので良かったのだが、アルパインがフリーに、それもクラックに化けた、お正月山行だった(笑)。




Mar 22, 2015

硫黄岳(ジョウゴ沢より)

 ■ 冬が終わっていた八つ

今日は念願の? ジョーゴ沢から硫黄岳に行ってきました。

このルートは約1年ほど頭にあったルートです。

色々目学門、耳学問して、わたしのレベルにあった、オーソドックスなアルパインが味わえそうなルートしてインプットしてありました。

つまり、ゲレンデではなく、登路。山へ至る道には、様々なものがあり、その一つとして沢を利用するルート。

適期は、念入りに調べて、雪で沢が埋まっていればいるほど、登路として優れている、と思っていました。八ヶ岳の岩質はもろく、それが八ヶ岳を冬壁の山にしているからです。

ただ沢筋は、雪崩れの危険があるので、あまり気温が高いと良くない。それでも豪雪地帯とは異なり、あくまで八ヶ岳の雪量です。雪は少ない。で、気温がマイナスであることを確認して行きました。

■ 弱点

一般的には、いかに易しく登るかではなく、クライミングを愉しむことを目的にする場合は、新雪期が沢を登路とするには適しています。というのは、雪崩れもないし、雪で氷瀑が隠れてしまうと、クライミングにならないからです。つまり歩けちゃう。でも、歩けちゃうほうが良い人もいるわけですね~

今日はその、にくい線を行く予定でしたが・・・なので、滝が雪でつながっているか?が大問題でしたが・・・でもつながっていなくてアイスが露出していても、ちょっとくらいだったら、リードできるし、リードしたいな~という思いもありました。

それは一緒に行った人もみんな同じで、皆、張り切りモード!

ところがどっこい!山はこれ以上ない易しさで、また天候も穏やかな表情で、私たちを迎えてくれたのでした・・・

天候が穏やかな時期であると言うのは狙い通りでしたが・・・氷瀑は消失・・・

北沢ルートからの赤岳方面。この時点で黒く、なんだか、嫌な予感・・・
今日のF2・・・アラ~!!

 氷ない・・・(汗) 

先週はアイスクライミングされていたのに・・・昨日もネットでチェックしましたが、新しい情報はなかったので、とりあえずF2までは行くことにしていました。こんな状態なので、草付から滝を高巻きしました。アイスアックスではなくピッケルが欲しい感じ。


先週15日のF2・・・
これも先週のF2



 F2を上がると広い河原の大展望でした。 左右に支流が流入していてそれぞれ氷瀑があるはずですが、かろうじて・・・

あかるい雪原を行く・・・ 今日はサングラスを出す日でした・・・ 左端にちょっと氷瀑が見えています。


どんどん行くとゴルジュになりますが、そのどん詰まりに、大滝があります。大滝・・・ノーザイルで登れてしまいました。 一応アイスになっていましたが、中途半端に溶けて、微妙に危なく、岩の上はブラックアイスでうっかりすると、転んでしまいそうでした。ザイルを出すと言われましたが、わたしに必要がなく、シングルアックスで登れました。


結構、急は急です。でも、気温が高い日 + 気温が低い日 = アイゼンサクサク、の法則なので、雪がアイゼンが効く雪質で、それで登れたのです。


それより大変だったのは稜線への詰め・・・尾根筋はもう地面が出ていました。雪は10:30になると柔らかくなり始め、アイゼンが効かないで、ズボッと落ち込むようになり始めていました。

それぞれズボズボ落ちるのに閉口して、尾根筋の土の上、ハイ松の上を行くことに・・・。ハイ松は無雪期は最悪の藪漕ぎですが、雪に埋もれている時は、ちょうど良いフリクションです・・ハイ松のいい香りがします。ハイ松にはちょっと申し訳ないですが・・・。


尾根の上を伝ってピークへ・・・ 春山~って感じ。暑くてタイヘン。日焼けに用心。


ハイクアップにヘトヘト・・・先週小滝でのアイスクライミングでは、全然冬だったのに・・・

こんな斜面を上り詰めます。 アイゼンは外して落石注意。

最後一か所マントリングで足の長さ足りないな~と感じましたがスリングを出してもらわず、なんとか膝をついてクリア・・・

足が長いといいな~





今登ってきた尾根・・・ 最後の詰めのルートファインディングが楽しい山でした。アイスクライミングは一回もしていない・・・ほとんど足で解決。

地図読みもしておらず、基本的にルーファイだけです。方角も目的地も、ジョウゴの底からハッキリ見えていたので・・・。ただ歩くべき場所=歩きやすい場所、が歩いてみないことには発見できなかっただけです(笑)

人はこうして、登山経験を積んで、

この時期は山はどうなっているか?とか
どんな状態のとき、どの地面があるきやすいか?とか
気温が何度くらいだと、雪がどんな状態になるか?とか
どんな装備が要りそうか?

とか、学んでいくのでしょう・・・

鉱泉ベンチで身支度していたら、大勢のアイスクライミングのお客さんを連れたガイドさんが、不思議そ~なお顔をして私たちを見ていましたが・・・

そりゃそうだ・・・(笑)

ダブルアックス、スクリュー、ハーネス、ヘルメット、チェストハーネス、スノーバー、ビーコン、ゾンデ、ショベル・・・

ダブルロープ2本

と超フル装備で行きましたから(笑)

八ヶ岳はビーコンがいる山ではないことは知ってはいましたが、雪崩の心配がゼロの山でもないです、過去に雪崩事故はあるので。

それでも今日はいらないのは知っていましたが、体験を通して知る機会を作るのも、まぁゆとりの範囲。

ロープは、マルチピッチで登るなら30mでも良いのは知っていました。

が、敗退時の転進先が南沢大滝だったので、50mを2本は最低必要で、持ってあがりました。

他のガチャ類同様、今日は完全重石・・

まあ、どの人も体力は余力があり、トレーニングも必要なので、まいっか。

私は今日は、登りでなかなか調子がでなかった・・・いつもちょっと我慢していれば、すぐ元気が出てくるのになぁ・・・暑いの苦手だからかなぁ・・・

そんなに思い当たる理由は見当たらなかったのですが、なんか調子が出ないで、ちょっと足を引っ張りました。疲れが溜まっていたのかなぁ???

かかとが痛くなったので、帰って見たら、豆が・・・(--;) 間違って夫のソックスを履いて行ってしまったのです・・・Mサイズだと靴下が寄れた部分が当たって豆を作るらしい・・・

イテテ・・・ 帰ってお風呂に入ったら沁みた・・・

両足のかかとに穴が開いていました。

それにとっても日焼けしたような?

お天気は、午後遅い時間にはすでに下り坂になっており、一番お天気が良い快晴の時間帯に稜線にいたという、絶妙のタイミング・・・

狙いどおり! 明日から、山はまた冬です。

それにしても、氷瀑ってすぐいなくなるんですね~!!

ちょうど3人ともアイスの足慣らしバッチリで、自信がついたときだったのになー

4時半集合、6時美濃戸 9:50鉱泉出発で、11:30トップアウトして硫黄岳山頂。下山して、鉱泉12:30.行者小屋13:48 小滝14:32。 下山15:30 と予定通り。 17:00甲府解散。

充実した山でした☆ 

ジョウゴ沢は漏斗型


Jan 28, 2015

金峰山 金石沢 F1

■ 師匠おでまし

今日は師匠と金石沢F1へアイスクライミングに行っていました。リード練習です。

師匠には、「あの~、アイス、リード練習したいんですが、ガイドに頼むとコレコレかかるし、会には先輩も忙しそうで練習頼みにくいし、小屋泊一泊分くらい持ちますんで、いっちょ、お願いできないですかね~」な感じで、お願いしていました。

なにしろ、去年は、私にとってはアイスクライミング初年度。

”とてもとても、わたくしめなんぞ、リードなんてできるレベルじゃありません(涙)”
という段階なのに、

「さ~、リードするんだ!リードしろ~!!」

と、リード強制オーラ全開だったわけですから、立場逆転です。弟子の成長に、もろ手で喜んでくれると思いきや・・・返事はそっけない。 

「段々のできている南沢小滝が登れたくらいじゃね~」

まぁ、正直その通りなので、返す言葉もありません。私も「異様に簡単だったなー小滝」と思いましたもん。 (12月小滝の記録

客観的に、一般的なフリークライミングの常識で考えた場合、私のクライミング力は、アイス&フリー含め、まだまだ初心者の域をでていません。2点支持はまだ身に着けている途中です。

でも、岩根山荘とか、バーチカルアイスで、アイスクライミングの基本ムーブを身に着けるところに行きたい!と言うと、「・・・」と渋るし。人工壁に行くのもいい顔しません。かといって、どこにも行かないとクライミング力は着かないしなぁ。

ゲレンデ練習程度を一緒に練習する相手がいなくて困っているんですよね。正確に言うと、ゲレンデ練習に休日を使いたい!というほど、クライミングに熱心な相手がいないってわけです。

ちなみに、アイスも基本はバーチカルで、腕力を使わず、ごまかさず登れるようになることが大事です。

師匠は一体、何が言いたいんだ? と 私の中では ??????・・・・・・・・と ”?”マークがエンドレスに付く感じでした。

■ ロマン?

ところが、金石沢F1の写真を報告したところ、「行って見よう」という話に・・・

これは、実は別の伏線もあったかもしれませんが・・・ 金石沢F1は、一月初めに普通に藪山山行に行った時に氷結が見事だった滝でした。

ただ短い滝なので、アイスクライミングの登り甲斐としてはあまりなく、記録はありません。

ので、師匠は、記録がない山が好き、なのかもしれません。

ダメ元で・・・ということで行って見ました。



■ ルートミス&猛ラッセル・・・

久しぶりに会う師匠ですが、いつも前夜泊です。悪いなぁというので、一緒に行くときは、温ったかおにぎりと熱いコーヒーを差し入れしています。が、今日は私は家にコーヒーは置き忘れて出てしまいました。7時半待ち合わせ、8:30登山口。

金石沢では、なんとまさかのルートミス! 3つ堰堤を越えますが、一番奥の堰堤が最初の核心部になっています。巻道が急で、とってもアブナイ・・・前回とは違うところを通ったので、なんとなく、左手の支流を選んで進んでしまい、ほとんど沢のスタート地点で、ルートミスです。

1時間もかからずにF1が出てくるはずなのに、もう1時間以上も進んでいるのに、ぜんぜんF1が出てきません・・・

しかも、雪が一番悪い状態で、猛ラッセル・・・昨日の雨で緩み、グサグサなのに、中身はふかふかで、踏み抜き、ぜんぜん前進できません。 切ないのは、20mくらい上の稜線には雪がないのに・・・です。

私は今日はラクラクだと思ったので、ザックをわざと重くして行っていたのですが、ロープも自分のが入っていてガチャもあるし、結構重かったので、だいぶ汗かきました。最近、会山行でもラクラクの時は、ザックに水のボトルを入れて歩くことにしています。女山も2リットル入れて行きました。

「その角を曲がったらすぐ滝です」を3度くらい繰り返し、疲れて休憩。「滝、ほんとに1410なの~?」

その時GPSをみると、ちょっと現在地がおかしかった。のですが、正常性バイアスが働き、「あれ、起動が遅いのかな?」と。

さらに少し行くと、稜線が近くなり、明らかに、これはおかしい・・・師匠が指摘し始め、私も明らかに稜線が近いので、これは・・・と思い返しました。あらためてGPSを見ると、最初の支沢に入っている!ので、がっくりと肩をおろし、スタートに戻りました。 

間違った地点に戻って、11:00. 1時間以上かけて登ったところが下山はラクラクで20分くらいでした(汗)

改めて正しく遡行すると、あっという間に滝に付きました。11:30。

なぜルートミスをしたのか?というと、今回は右岸から巻いたからです。前回は左岸から巻きました。右岸で巻くと、2股が見えないので、支流に入ってしまったんですね。本流と支流の水量の差が見えないのです。つぎに出てくる地形をきちんと予測して行けばよかっただけなので、初歩的ミス。


■ アイスボルダ―

滝を見るなり 「思ったより小さいね~」 「スクリューは効かないね」

今日は、F1大滝は中で水流がバンバン流れているのが分かりました・・・滝つぼにも下手に立てば、踏み抜いてドボンしそうです。

とりあえず、当初の予定通り、トップロープを張って懸垂で降りて、登ることに。リード練習は無しです。

ところが、トップロープを張るために、滝上に登ってみると、北面にみごとに固く氷結した、5mくらいの段々になっている滝がありました。言うなれば、氷のボルダ―って感じ。 師匠、俄然やる気に。

「ここでリードしよう!」 とりあえずフィフィのセット法を確認。 それから5mボルダ―アイスでリード。スクリューはトップロープ目的だったので、2本しか持ってきていませんでした。各自1本。

まぁ小さいボルダ―アイスなので、スクリューを2本うち、トップアウト。

立木で支点を取ると、「フォローを確保して」とのお達しなので、支点を作ってセカンド確保。

ちっちゃなリードフォローです。 灌木で支点を取りましたが、まずリードフォローをする気でも、リードする気でもなかったので、ギアが足りない!

不足したギアで支点を作る練習になりました。

立木は太目と細めのミックスした立木でしたが、まずはどれを選ぶか?です。太めの灌木にスリングをダブルにして掛け、数が限られている環付ビナはここが一番重要なところなので、それでパワーポイントし、クローブヒッチ。その同じビナにセカンドの確保器を掛け、セカンド確保。

自分のセルフも同じ支点のスリングにとっていましたが、ふと魔がさして、別の細い木にセルフを取り直しました。

なんというか、師匠がどう言うか聞いてみたかったんです。「支点、こうなりましたが、どうですか?」と聞くと、「太い木、1本で安心だから、セルフはこっちでいい」、と私と同じ考えなので、安心しました。

その後二人で懸垂しておりました。 このアイスボルダ―は、氷が固く氷結していて、なかなか良いアイスでした。

■ 大滝

その後、15mのロープで、大きな固定分散を作って、トップロープ支点を作りました。

どの立木を選ぶか、大きな固定分散の作り方が勉強になりました。

立木にスリングを掛け、末端エイトノットでロープを連結。連結は環付ビナか、ビナ2枚を交互に。
これを2点作り、パワーポイントもバイトのエイトノットにする。そこはトップロープのパワーポイントになるので、環付ビナ2枚を使いました。

要するに大きな固定分散です。

そこから、懸垂下降して、一人目が降り、私はローワーダウンで下してもらいました。途中で、クライミングアップに変更です。つまり滝つぼには全然降り立っていません(笑)

それを2回ほど繰り返して(ほとんど写真のため)、私がトップアウトしたら、もう一度師匠をアップするために、セカンドを確保して、今日はおしまいです。

いや~面白かった☆ 

正直、ベテランのスキルがないと、こういう遊び方はできないと思いました。初心者はゲレンデでトップロープ支点作るだけでも、結構、怪しげな橋を渡っています。

支点についての勉強をしたいと思っていたので、勉強になってよかった。どんな怪しげな滝でも、同じやり方で遊べると思いました。クライミングしているところが見えなくてもいいのであれば、上で確保してもいいので、滝つぼに立てなくても、クライミングもビレイもできます。

こんな滝つぼが見れました。水じゃんじゃん流れているし、落ちたらやだな~。

しかし、師匠が私に伝えたかった、

ロマン

って何なんでしょう?

私的には、

小さくても自分の山

というモットーが貫徹出来て良かったです☆

こんな滝、しょぼくてヤル気にならない

と言う人が大多数だと思いますが、

アイスって取り付いたら取り付いたで、結構楽しめます。

今日はスタンスの氷柱が壊れて、一回墜ちました(^^;)

14:30下山完了。

温泉は、草津温泉。

帰りにエルクによって、フィフィを貸してもらいました。 沢に残置してしまったのです・・・ 何にも買わないで帰ってスイマセン。

≪今日の学び≫
・雨後のふかふか雪はラッセル大変
・ロープを使った固定分散
・懸垂&ローワーダウンで登るアイスクライミング







Feb 5, 2014

奥秩父 中津川渓谷 中津川滑川

■ 年上の友人

今日は年上の山の友人とアイスクライミングに中津川に行っていました☆

彼とは今年、三つ峠天狗岩で会いました。岩の下からひょっこり現れた若い男性と年配の男性の二人組でした。 「お!こんなところにいるとはクライマーだな?!」と言われたものの・・・私はクライマーには程遠く、実は剣で落石で亡くなった知人をしのんで、三つ峠にでかけていた時でした。というのも、その亡くなった人に会った場所だったからです。

「彼うちの会の新人。うちはVIP待遇だよ~」とその天狗岩のクライミングは入ったばっかりの新人さんのトレーニング山行のようでした。

その後その方とメル友に・・・やっと私の山シーズン、冬が来たのでした☆ 

■ アイスクライミングというより、冬の沢登り

というわけで彼は私の貴重な山友達です。平日、山に行ける人は少なく、貴重な存在です。

今日はそれで アイスクライミングの”へたくそ向きルート”に一緒に行きました。

一緒に行くと言っても、実力が不均衡なパーティなので(^^;)、私が基本的に一方的にセカンド、彼がトップです・・・申し訳ないですねぇ・・・(汗)。 いずれ、水戸黄門のように助さん角さんを従えたいそうなのですが、助さん角さんレベルに達するかどうか分からない私のクライミングスキルです・・・かたじけない・・・(^^;)一応ボルジム通いも頑張っていますが、クライミングスキルは一向にアップしません(><)

私は岩はまだ一回しかしたことがないので、クライミングは今のところアイスのみです。

アイスのルートは、なかなか初心者向きがない。この中津川滑沢はへたくそ向きとありましたが、実は別の意味でベテラン向きでした・・・支点が。 

支点、八つの広河原沢のように適当な立木が近所にないのです・・・手の届く範囲に手頃な支点がないので、一回クライムダウンで解決したくらいです。

そして、このルート、滝の氷結が今日はイマイチだったこともあり、アイスクライミングという、ちょっとおしゃれでハイテクめいたクライミングではなく、どちらかというと、冬の沢登り、と表現した方が良いような泥臭い?ぶっちゃけ好事家向けなルートでした。

この沢相、どうなんだろうな~・・・沢相を語れるほど、私の沢経験は多くなく、海沢、芦川横沢、笛吹川釜の沢、以上終わり、ですが、そういうほぼ素人が見ても、逆層スラブで、倒木だらけで、支点が倒木・・・って、雪がなかったら、とても荒れているんでは・・・?

このルート、いうなれば、「腐ったアイスのクライミング」でした。まぁ今日は気温が高い日が続いていたので、アイスが緩んでいたのかもしれません。が、
 
 ・ずぶずぶのアイスで、
 ・それも沢としてはスラブが逆層に続く沢で、
 ・10cm~15cmほどの雪で覆われ、
 ・どこが水流でどこが淵なのか、見当がつかず、
 ・さらにやっかいなのは、どこが岩肌でどこが氷なのか分からず、
 ・氷だと思って叩いてみたら、岩だった・・・、
 ・雪の上を歩いていたらすってんころりん・・・岩でした・・・

なんてことがありました。 

さらに滑の上に張った10cm~20cmほどのアイスの板の下は、水流が流れており、アックスで叩くと中が空洞で太鼓のように反響するのを感じつつ、それを登るんですけど・・・登れるライン・・・穴が開いてるんですけど・・・(汗) 

というわけで、とっても大変でした。登る技術とは別の意味で(と言ってもセカンド)。

こんな物好きな沢に、ほぼ初心者を連れて行ってくれる友人はホントに奇特な方です(深謝)。

■ 好事家向けの沢

でも様々なコンディションがあるのが、山なのですから、仕方ない・・・。

けど、今回の沢は、テクニックを追求するクライマーさんには滝が寝ていて面白くないだろうし、アイスが好きな人には、氷の量が足りなくて不足だろうし、沢が好きな人はその醍醐味である沢相の豊かさとはちょっと程遠く、倒木が多く荒れているし・・・じゃ誰向けなんだ?!っていうと、好事家向け?って感じでした。スッキリとしたラインとは無縁な感じです。

何しろ、言い出した本人さえ、薄く張った氷の上や厚く堆積した落ち葉の上、さらにそれに折り重なる倒木の嵐・・・を歩かされるのにウンザリして、F5前で「もう帰る?」って聞いてきたくらいです(笑)

「行きましょう」と私はいったものの、まだ実力的にリードできないので、リードしてもらうわけですが、これはもう、ほんとに困りものですね・・・

実は今回は7個あるうちの滝のF7は凍結しておらず、F5が核心だったのですが、F5、意外に大変でした。 

アイスの滝って、傾斜が緩くても摩擦がないので転んだら一大事で、傾斜がゼロになるまで転がり落ちますし・・・

というわけで、

(トップが行きたくないF5)+(リードできないくせに行きたいセカンド)=(目標:このF5をリードするクライミング力)

ということで、今後の課題が明らかになりました。

実は、F5以外に長くて、セカンドでもスクリューの回収で足がパツンパツンに張りました・・・(上手な人にはラクラクなのかなぁ・・・?)

アックスを打ち込む加減をまだ体得しておらず、ガンガン打ちこんでいるせいで、刺さるんだけど、ひっこ抜くのが大変で、手間取る ⇔ 時間を食う ⇔ 足がパンプ の間を行ったり来たり・・・

スクリュー回収用のアイスクリップを早急に買わねばならない・・・と決心しました。今回は間に合わせで、苦労しました・・・スクリューの穴小さいのでクリッパーがないと回収時、両手は開けられないのでもたつきます。

それに今回は私のこの核心部のF5で一回墜ちてしまいました。スタンスが外れて。アックスは外れなかったんですが・・・。ビレイがなかったら今頃、あの世かもしれません(><) 

バーチカルの氷でもう少し基礎練習した方がいいとアドバイスを受けていたのですが、機会を逃していたのです・・・スタンスの立ちこみは課題です・・・。

F5で冷や汗をかいたせいで、F6はとっても易しく感じました・・・。 実はF6の登れるところ、穴が開いていたんですが、私の体重くらいは支えられる氷でした。といっても氷の厚みも雪をかぶっていまいち分からないんですが・・・。

F7はすっかり流れていてベルクラともいえないような滝だったし、それまでも、悪路で2人ともめんどくさい気分になっていたので、懸垂でとっとと脱出することに誰も異議なし!

記録では別のがれた沢を降りている記録がありますが、予定でも懸垂で帰る予定でした。

ロープは軽量化を図って、50mと30m。私の30mロープを持って行きました。縦走用に買ってあるダブル用のロープ。今回は懸垂下降で繋いで使いました。登りはシングル1本で足りました。

そのロープ、沢が流れているので、水に落としたくない!と思いつつも・・・そんなことは言ってられず、結局凍結した状態の『アイガー北壁系ロープ』になっていました・・・(汗) 

確保器にも雪がつまって溝が埋まり・・・もう、これ、ハイフリクションモードとか関係ないよね・・・な状態に。最後はロープがまがったまま凍り付いて固まるありさま。

帰りはアイス踏み抜きましたし、懸垂中登った滝を確認すると、どうも登りで見た滝の中ほどの穴は拡大していましたし・・・、枯れ葉と雪がアイゼン団子になってくっついてアイゼン超意味なしだし・・・

しかし、悪路ながらも楽しい旅でした。冒険って感じでした。

■ 近所の沢を歩く技術?

私にとっては、この悪い冬の沢を歩けたのだから、近所にある、2mくらいしか段差のないような沢なら、探検に行っても無事帰ってこれるんじゃないか?そんな自信を付けました。

たぶん、登れたところは降りれる。ロープの長さが足りれば。

滝も長くないなら、突破はできます。突破の困難は、やっぱり技術の稚拙さもありますが、まずは長さです。スクリューを打ったり、(あるいは打たないでさっさと登りきったり)という選択ができるほどのスキルがなく、選択肢は最大限の安全配慮となると、結果スクリューは回収しなくてはなりません。そうなると、整理整頓とか、クリッパーがあるとか、そういう色々な小技でクライミングで踏ん張っている時間を減らさないといけませんねぇ。クライミング以前の問題です。

ので・・・そのような状態でも、登るとしたら・・・懸垂下降という退路を断たない術必須。ただ今回登れたところは降りれる、と確信できました(^^)。

■ 写真

 コマドリ荘前駐車場。8時ごろ。

真正面の川を渡った先が中津川滑沢。アイス=北面の滝。

吊り橋を渡ってしまうと、沢へ取り付くのに、ロープでクライムダウンしないと降りれません。水流がさほどでもなければ、徒渉しても・・・(帰りは渡渉しました)

トイレは暖房付。














F1から穴が開いていて、気分は↓・・・

私は登り始めで少々苦戦。ロープを出します。

 途中区間・・・とっても荒れています。
 歩きづらくごちゃごちゃしています・・・
 岩の下には空洞・・・
落ち葉で見えなかったり・・・

色々罠が隠されている感じです。
 とりあえず、ずんずん行きますが・・・

中途半端な凍結で歩きづらく、八つの広河原沢は整地されているようにさえ思えます・・・

ご覧のように支点に乏しい・・・

先に滝が見えています。
 残置ハーケンとスリング。これだけに預けるわけには・・・
 ここもとっても悪かった・・・・この岩の下は滝つぼで、水たまり。

私はこの左の岩の側をへつろうとして、ボルジムの課題を思い出しました。

ここは懸垂下降で降りるときも悪いところでした・・・
 いや~向こう側は大快晴の青空なんですが、なんで薄暗い谷間にいるんだろう・・・?

今日のような日は尾根でショーな日でした(汗)。

でも尾根では、友人をお誘いできるようなすごい山私は知りません。
 これはもう、F7です。

F5、F6忙しかったので写真が取れていません。

水が流れていました・・・(汗)
 今日の勉強、懸垂の支点。 

その1は倒木・・・
 F5です。いや~。

下でリードをビレイするときも、スクリューでアンカーを取った。

穴の際、右側を登りました。

長かった。
 このように流れている状態で、とっても悪い。岩が逆相なので、アイゼン無力だし、雪しか積もっていない岩の上は滑ります。

今回は二人とも仲良く2回ずつズッコケました。
 大変勉強になった懸垂支点。

ハーケン1個では、バックアップがないので、降りてきた懸垂下降のロープをバックアップにしています。

これは目からウロコの技でした。なるほど~。

私のロープですが、あと少しで足りないので、スリングで長さを出しています・・・
 今降りてきたところ・・・を振り返る・・・

うーん、この氷の薄さ!

 しつこいようですが、
尾根は大快晴です(汗)

このような悪い沢に、このような良い日に入るのは、好事家以外いないでしょう・・・
もう、どんどん懸垂。

何度もやって慣れてきた。私は懸垂下降ならせっともできますが、やってもらって悪かったです(というか、初心者のセットで降りるほうが勇気ある決断かぁ・・・)

ずっとセカンドです。

2時には元のコマドリ荘に着きました☆

いや~ホント、悪い沢でしたねぇ・・・

けど、面白かった☆

こうすればいいのか~というのが面白かったのかな。
 よく山岳映画などで崩れそうなスノーブリッジ渡るのがありますが、下に流れている滑が見えているアイスの上を歩くのも似ている感じ・・・落ち葉の堆積部分は下、水たまりです・・・

 これは岩の支点。バックアップも岩。

登りではこの箇所はセカンドを確保しましたが、一応、な感じです。私が先行出来るところなので・・・

ここはF1から少し先へ上がったところ。
 F1の支点・・・もう何が何だか分からないような残置スリングの山・・・

そういえば、私も残置、別の場所で貢献しました。
 降りたら快晴・・・なんでこんなところでごちゃごちゃ遊んでいたのでしょう?!な快晴が・・・(汗)
 吊り橋を渡ったらこうなっています。
 立ち入り禁止の看板が沢の入り口の目印です。

迷いようがないくらい明確です。
 うーん、青空が・・・
アックスもアイゼンも雪と凍結ですごいことになりました・・・


帰りは山梨市駅でほうとうを食べて、帰りましたとさ。

このルート、ロープは50m×2、片方30mだとギリギリ。 

F1~F7までありますが、ロープがいるのは、F1、F5、F6、F7?



帰ったら夫が風邪で寝込んでいました。私は一日で回復した風邪なのにうつった彼は重症です・・・(汗)

悪いな~一人で楽しんで・・・








■ 追記 (2014.02.06)

3年前に友人が行った時は、”癒し系アイス”だったのだそうです! 

こんなにコンディションで違うんですね~! でも、私には近場の沢を歩ける自信につながる良い経験でした☆

3年前の滑沢 癒し系