家に帰っても凍っていたロープ |
ギアの凍結のうち、もっとも、問題になるのがロープの凍結。
■ 寝ている = ロープが凍るかも
ロープの凍結については、人工氷壁に行っている間は、あまり問題意識として上がることはないかもしれない。なぜなら、人工氷壁は垂壁以上で、寝ていないから。
ロープの凍結が問題になるのは、
寝ているアイス
の場合である。 なぜなら、アイスが寝ていれば、その氷の上にロープが乗るからだ。
つまり、4級の氷(寝ている)と5級以上(垂直)の氷では、寝ている氷の方がロープが凍結する環境にいやすい。
■ 滝の落ち口 = 寝ている
人工氷壁を卒業して、自然の滝でトップロープして遊ぶようになると、滝の落ち口というのは、必ず寝ている。
なので、落ち口でロープが氷にこすれて、のっかってしまう。
すると、どういうことになるか?氷が解けていれば、ロープが濡れ、しばらく登らないでいたりするとロープが再凍結して動かなくなってしまったりする。
もし、ロープが凍結して動かなくなれば、別のロープがない限り回収はとっても困難になる。
■ 気温高い = 凍結
一般に気温が高いと、あまり寒さを感じず快適ではあるのだが、問題は、溶けて水が流れていると、ロープが凍ること。
気温が高く、氷から水が流れているような日=ロープの凍結に要注意な日。
■ 対策1
対策は、トップロープ支点を作る時に、滝の落ち口のできるだけ近くまで、支点用のスリングを伸ばすことだ。
落ち口に垂れ下がるようにカラビナがつけば、ロープ本体は、寝ている氷に接触せずに済む。
ただし、この方法だと、一般的に滝の上の立木でトップロープ支点を取る場合、ものすごく長いスリングが必要と言うことになってしまい、あまり現実的でない。
要するに、クライミングするロープが、氷に接触しないような位置関係にすれば良いのだ。
大事なことは、
クライミングするロープ本体が、できるだけ氷に接触しないこと
だ。ロープが宙を浮いていれば、凍結の心配はあまりない。一方、ロープが氷の上をこすれているような状態だと、その接触面積分は凍結してしまう。
接触面積がたとえ1m程度でも、トップロープで遊んでいる間、ロープは行ったり来たりするので、やはり、相当な距離の分、ロープが凍ってしまう。
氷が解けて上から雨が降っているような状況の氷だと、上手にトップロープ支点を作ったとしても、ロープは凍結してしまう。
したがって、どんなに気を付けてアンカーを作っても、ある程度の凍結は避けられない。
■ 対策2
したがって、アイスクライミングでは、凍結を前提にしたロープ選択が必要だ。
具体的には、
防水コーティング加工があるロープ
を使う。
■ 対策3
しかし、このコーティングも、コーティングであるからには、こすれに弱い。こすれれば禿げてしまうのだ。したがって、
・アイスクライミングでは、アイスクライミング専用にロープを用意しましょう
・さらに防水スプレー等で、防水を強化しましょう
アイスクライミング用に買ったロープを、そうとも知らず、岩に使ってしまったため、ロープが毛羽立ってしまいました(涙)。
ロープの毛羽立ちには、雪が付きやすくなるため、先日、水が流れている南沢で使ったら、ロープの嵩が倍増!帰りのザックが馬鹿デカく・・・(笑) ロープのしなやかさがないので、畳めない!
家に帰って凍結を解凍したら、200mlくらいはありそうでした・・・200gは最低重かった計算に。
■ 考察
想像するに、旧来は、クライマーは、ピッチグレードで4級のルートから、徐々にルートグレードを上げ、結果として、徐々に傾斜が立って行き、ピッチグレードで六級を登るころには、ロープの凍結対策など、アイスクライミングのリスクマネジメントが、完成していたのではないだろうか?
それが、
易しいルートから、徐々に難しいルートへ行きなさい
山には順番がある
と言われる理由ではないのだろうか??
ところが、今だと、リスクを取り除かれた環境である、人工氷壁で、いきなり、もっとも難しい六級のアイスに取り付いてしまう。実際、私も人工氷壁で、アイスクライミングデビューしている。
すると、アイスクライミングでの安全対策が何かについては、知らないまま、このグレードは楽勝で登れるから、と言って、ルートグレードの高いルートに取り付いてしまうということが起こりがちになる。
したがって、ゲレンデは必ず必要だが、ゲレンデのみのゲレンデクライマーと登る場合は、安全対策については期待できない、と推し量るべきだろう。初心者と同じということだ。
■ まとめ
1)アイスクライミングでは、防水加工済みのロープを購入しましょう
2)毛羽立ちを避けるため、岩とは分けて、アイスクライミング専用ロープとして使いましょう
3)さらに、自宅で、毎回防水加工をして、持参しましょう
4)アンカー構築の際は、ロープと氷が擦れない位置に支点を作りましょう。
5)そのために、特別に長いスリングを持参しましょう。
6)それでも凍結が心配される場合は、ロープを2本用意しましょう
7)ゲレンデからルートへステップアップするときは、ルート独特のリスクマネジメントについて、よく話し合っておく
8)車にバケツがあるとロープが凍った場合も、車内がびしょびしょにならないで済む
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