■ なんだか癖になりそうな面白さ
今日は、なんだか知らないけど、すっごく面白いアイスだった・・・
一体、この小川山のアイスクライミングを何がそんなに面白くしたのだろう???
未知?雪? なんだかアイスクライミングというより、アルパインな感じだった・・・。
「アルパインっぽい」 師匠がしきりに言っていたが、それは、言われる前から感じていた・・・何かが、すごくアルパインぽかった。
なんだろう??? アタフタ感?スレスレ感?臨機応変が必要になるところ? なんだか苦労してピンチ?苦難?を無事乗り切った、というような充実感があった・・・
そもそも、頼んでいないのに登りに行っているので、ピンチを脱した、も何もない・・・が
協力してピンチを脱した感があった(笑)
高い山はどこもダメ。
しかし、3月も中旬に入りつつあり、標高の低い場所のアイスはダメ。
ということで、去年、無雪期に偵察に行ったことがあるカモシカ登山道の唐沢の滝へ・・・
ここは岩根アイスの傍なので、氷結具合が連想できる。岩根はライブカメラがあるので、岩根で凍っているなら滝もOKだろうと・・・
着いたら、晴れてきた。
日差しが心地よい。が、雲はちぎれて、動くのがとても速い。
白樺の木立がきれいで、来てよかったな~と思う。
朝、運転しながら眺める山々は、
南ア方面は完全に雪雲に隠れてダメ、
八ヶ岳方面もダメ、
富士山方面は快晴であるも風が強そう、
甲武信方面は晴れ、
だった。
ちぎれた雲がどんどん通り過ぎる。
こういう日は稜線ではなく、アイスだな~といつも思う。
条件に合わせて、自然遊びができる、ということは、やっぱり一つのスキルではないだろうか?
こういう日は何をすればいいか?は経験が教える。
やっぱり曇りの日は出かけないのではなく、山麓まででいいから行って見るべきだ。
今まで勉強になった山は、快晴の山ではなく、ちょっと条件が悪かった山が多い・・・
カモシカ登山道には新しい雪が積もっていて、登山道は踏まれた後はあるけれど、トレースはなかった。
結構、凍結して、トラバースが多い道で、ひやりとした箇所があるので、早めにアイゼンを付けた。
アイゼンは早めにつける人と、
ギリギリまで頑張る人と
いるそうだ。
1時間15分ほど歩いて、唐沢の滝、到着。
もっとかかるかもしれないと思い、ワカンを用意したくらいだったが、ちゃんと踏まれていて歩きやすくなっていたので要らなかった。
着くと、とっても明るい滝だった。南面の滝なので、もうダメかも・・・
と思っていたが、正確には東面の滝のようだ。
どこをリードするか・・・
氷がつながっているのは真ん中だけど、支点がない・・・左の灌木に行くか・・・ カンテはつながっているが露出している。露出間の無い凹角は、階段になっているみたいに思えるが、どちらも上に支点が取れるのかどうか・・・うーん。
今日は、ちょっとしたギアを持ってきていた・・・
高根山岳会の人の借り物・・・
下部の氷で試してみる
滝下の足跡は裏から回り込んで、左の灌木に視点を取ったみたいだった。
師匠がリードすると言うので、私はビレイの態勢に入る・・・ 今日はヌンチャクの向きをアイス向きに変えてきた。
アイスは右しか使わない。
氷は下部の3mは特に難しそうに見えない。
ただその上の段は見た限りでは意外に立っている。
左の凹に逃げる・・・がそれも結構大変そうだ。
リードは落ちれないが、アイスは特に落ちれない。
さらに左に行くと、スラブになっていて、雪がついていても、サラサラ雪では滑ってしまう・・・と心配に。
案の定、直上はスラブでスクリューが決まらない。
ああ~千切れ雲の流れる速度が速いなー。
左の草付は、多少のフリクションはあったみたいで、なんとか灌木まで行った。
ホッと一息。
途中ダブルのロープが交差して、指摘しようかと思うが、クライマーは集中しているだろうし、と辞める・・・あまりシビアな様子には見えなかったからだ。
ビレイしている手がかじかむ・・・。今日は気温が低いので、薄手のグローブでは、かじかむ。さらに防水機能が劣ってきているようだ。
左のラインでローワーダウンで降りると、トップロープで登る支点にはなりづらいので、支点を作ってからトラバースしてもらって、滝芯方面に振り止めスクリューを打つ。岩が出ていて、あまり滝芯には打てなかった・・・。
降りながら、支点を回収・・・ しかし、よく見ると、左に滑落痕と思しき跡がある。草付の草が全部、下方向に寝ている・・・ 誰か落ちたようだ・・・ 鹿?
それにしても、滝つぼ付近には、特にそのような痕跡はなかったが・・・
次は私の番で、トップロープで遊ぶ。が左のくぼみのラインから滝を直上したが、以外に氷が硬い。先ほどからかじかんでいる手、アックスを振る手に、力が入らない・・・落ちるかと思った。まぁ、トップロープだけど。
落ち口に出て、ちょっと右寄りにスクリューを打ち足す。スクリューが入らない・・・アイスの上にある雪を軽く払ったくらいでは、ぜんぜんダメなのだと判明。そこでしっかり雪かきし、少し雪をアックスで搔いて穴をあらかじめ作ってから、打ち込む・・・なんとか入ったが、氷自体があまり信用できそうでないような?? それでも降り止めくらいになら、なってくれたみたいだった。
2本目、3本目、トップロープは安心で、それぞれ新しいラインに挑戦してみる。
なぜか、突然理解した・・・岩根アイスはただムーブやクライミングそのものを楽しむところで、ここ自然の滝はそうでないと。
違うラインに行けば、違うムーブになる。が、それぞれに、雪が厄介であったり、その箇所の氷の質が悪かったりした。
上の方は雪で厚く覆われ、大きな穴ぼこが空いていた。その穴から流れている水が見える。穴ぼこの縁に足を掛けて、落ち口を上り詰める。なんかアルパインだな~。なんとなく、気分はプチ黄蓮谷(笑) プチアルパイン。
雪のような、アイスのような部分はアックスが凄く刺さるが、刺さりすぎるくらいだ。雪だと支持力にはあまりならない。氷の方が安心だ。アイスは固いところ、そうでもないところ、色々あった。
凸角は、凄く氷が落ちる。まるで落とすために、叩いているようだ。そのたびに氷のかけらを浴びる。凸は露出感が怖い。凹は、行ってみたら、立っていた。が、ステミングが使えるので、レストがしやすい。
が、いくらレストしやすくても、氷が立っていると、段々握った手が開いてくる。握りすぎなのは、心理的なものもあるだろう。完全にアックスにぶら下がる状態に対して緊張をするから・・・
それぞれ満足いくラインを数本やって、ランチ休憩。最後にリードフォローをする。次の段に登って見たくなったから。
せっかくトップロープを張っているので、一人目はトップロープで、バックロープを引いて登った。そのバックロープでセカンドが登る。ビレイに使っていない1本目の末端のコブをほどいておく。
どこのラインでも登れるので、ちょっと難しいラインにトライして見る。滝口は、厚く雪が積もっていてアックスで搔いて落とさないと氷が出てこない。
ビレイ点まで最後は少しトラバース・・・トラバースなので引かれると、危ないので、あまり引かないようにしてもらう。一旦直上して、慎重にトラバース。下にスラブが出ているような気がする、いやな感じのところ。クライミングを始め、トラバースは怖いと思うようになった。
次のピッチは易しいピッチということで、私がリードしてみる。1ピン目はビレイ点から取る。ゼロピン目。次はちょっと行けば、すぐ倒木がったので倒木でタイオフで取る。
登って行くと傾斜がきつくなる。足元は雪の下がアイスだった。雪の下をちゃんと確認しないと、氷でなく、スラブだったら怖い。確認しつつ、前爪でしっかりアイスをとらえるようにする。
雪は乾いていて柔らかいが、摩擦がないほどでもない。ほどほどの雪。雪にもがきつつ登る。雪にさしたアックスは不安だ・・・ 不安をだましだまし、雪の斜面を上がると、立ったアイスが右手に出ていたので、とりあえず取れるところで取る、という方針通り、アイスでスクリューで中間支点を取る。
そして、最後は・・・見当たらない。 左に逃げると、ちっぽけなブッシュしかない。それに屈曲してロープが流れなくなるだろう。 どうしよう・・・(汗)
結局、滝のつららまで行き、丈夫なつららでアンカーを取った。一応自分の体重を掛けて大丈夫だと言うことを確認した。クローブヒッチでセルフ。でも、つららだけでは、心配なので、アックスにも保険を掛けてセルフを取る。
セカンドを確保するのは久しぶりだ。確保器だけ先にぶら下げておく。ロープアップすると、ロープが、アックスに引っかかりそうで、右のアックスは確保に使っていないから避けておく・・・
セカンドが登ってくると、やっぱり雪で大変そうだ。
登ったところから、山の景色を見るのが好き。
セカンド確保はオートロックなので、セカンドが支点を回収している間に写真を撮った。
今日は、この小川山エリアだけが暴風雪ではない。
ぽっかり日向に空いていて、日が差し、それに谷なので、風もそう感じない。
ただ気温が低く、アイスが硬い。
下を見るとこんな感じ。
樹幹に雪を抱いた針葉樹がたくさん見えた。
なんかいいな~
3ピッチ目は最初の直情がとても難しいラインになりそう。
どうしようかとしばらく思案。
つるべで上がるのもちょっと不安だった。
衝撃がつらら支点で耐えられるか?
ということで、一度トラバースして、滝の脇の灌木に逃げた。
左側に露出感の少ない短めのブルーアイスがあったけれど、残念ながら丈夫でつながっていない。
2段目の滝に登るのは
途中であきらめて、とりあえず、懸垂で降りてみる。
ちょっとしたマルチピッチで遊んでいるだけだけど、自然の中の条件で、どう安全を確保しながら遊ぶか・・・
そういう風に頭を働かせながら、遊ぶのが楽しい。
滝に登る楽しさはその次で、こう支点を作ったらいいのではないか?
ああしたらよいのではないか?などなど、どうしたら、良いかを解決案を考えるのが楽しいのだ。今あるスキルで。
ロープがこすれた跡 |
トラバースした地点から、ロープの流れが良いような場所に支点がないか、目を凝らすと、師匠が凍りついた倒木を見つけてくれた。
セカンドでトラバース中の私が今度は、その凍りついた倒木の懸垂支点工作。強度を確認し、雪を少し掘り下げてみる。とりあえず倒木にセルフ。
自分をセルフ・・・っておかしい日本語だ(笑)
自分をビレイ、と言いたかったのだが、セルフ取ってって通じてしまうので、セルフセルフといつも言っている。何はなくともセルフ、は最初の山ヤの教えだ。
自分をビレイしている末端の解除して、倒木に通し、ロープを手繰り寄せる。セカンドとトップが入れ替わった格好になり、セカンドを確保。これは倒木があるので、折り返しビレイにしてみた。
セカンド到着。セルフを取ってもらい、2本のロープを連結してもらう。どちら引きか確認。 引くほうのロープを分かっていないといけない。
懸垂はトップで降りた。 ただ、トップなのにバックアップを取らないで降りたら、やっていてやっぱりバックアップがあるほうが安心だなと思った。降りていったらアイスではなく、スラブの箇所があったし、ギアに色々引っかかり気味で、アックスの向きが悪かったりで、先に降りる方はやっぱりなんだかんだとスムーズと言う訳にはいかない。
到着して、セカンドが降りてくるのを待つ。 末端を持っていてあげても良い。 アイスでは上から色々なモノが降ってくる。降ってくるものを上手にかわすのも一つだ。
状況全体を見て、何がベストか、その都度判断する、それが楽しいんだな~となんだか納得。
ただクライミングだけの岩根アイスも別の退屈とは思わないけれど、こっちのほうが数倍楽しい。
別に上に行きたいわけではなく、上というのはただ結果みたいな感じだ。登れるから登って行く。取れるところで支点を取る。その連続をしていたら、ただ結構上だった。そういう感じ。
だから、都度都度、危険は冒していない。「うん、大丈夫」をつないで行ったら、「あら?もう上?」そういう感じなのだ。どこにも、スリルはない。危険の二の字はない。
もちろん、自然の中だから、絶対安全もないのだが、だからと言って、危険に近づいて行っているわけではない。
そういえば、手袋、今日はテムレスを使ってみた・・・保温性はないので、 毛糸の手袋を下に入れた。 ちゃんとアックス振れた。
帰りに取った唐沢の滝は意外に立派だった。 ロープは50mは一杯一杯。左の灌木は、懸垂で降りれるちょうどの高さ。
下山してもまだ山はほがらか、誰もいない小川山は静かで癖になりそう。
私はあんまり人が多い山はそもそも好きでないのだから・・・
今日はやってみたら、立っていなければ寝ていればリードできそうと思った。立っていると凸でも凹でも、やっぱりまだ危ないかな。60~70度の傾斜の滝でも部分的に立っているから、そういうところでやっぱりたくさん経験を積むことが、上達の早道と思った。
バーチカルだけを登っていても上達はするけれど、楽しい上達の仕方ではないかもしれない。
楽しく登っているうちに気が付いたら、登れるようになっていたという棚からぼた餅系を目指したい。
帰りの車窓から、八ヶ岳を見ると雪雲に飲み込まれていた。稜線は今日は大荒れだろう。山は全然見えない。
こういう日も遊ぶためにアイスクライミングをやっていて良かった☆
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