Dec 31, 2015

甲斐駒 黄連谷(敗退)

■ 降りたつことさえなかった黄連谷

今年のお正月山行は、ちょっと残念な結果に・・・。

でも、まぁ最初から、少し計画が唐突&大きすぎたと思います。実は、甲斐駒の黄連谷が予定されていました。

口にするのも畏れ多く(笑)、ここに上げるのもためらわれるのでした。

が、まぁ、”実力以上の山”だったので、潜在意識が、この山を遠ざけたのかもしれません(笑)。まさかの一般ルート敗退

なんと、甲斐駒黒戸尾根へ続く一般道を間違え、不動滝に行ってしまったのです(^^;)。 私はロープを持っていたので、同行者よりザックが重く、そもそも、同行者とは体力差もあって、私の方が歩くのが普段遅いので、「これは離されないように歩かなくては・・・」とペースを上げるのに精いっぱいで、一度歩いている黒戸尾根の分岐を見落としてしまったのです。

なかなか沢から離れず、黒戸尾根は急登で知られるところなのに、おかしいなぁと思い、一度、「これってあってる?」と同行者にも聞いてみたのですが、「明瞭だよね」という答え。しかし、小一時間すぎ、見覚えのない橋が出てきて、いよいよおかしいなぁと思い、GPSをみると・・・やっぱり。

ほとんど尾根の始点で間違ったので、間違ったポイントへ戻ると、3時間のロスでした。

黄連谷は、2泊3日のルートですが、同行者は1泊二日で予定していたこともあり、初日にできるだけ奥に入りたかったようでした。普通は、5合目か、2俣、坊主ノ滝上あたりで1泊です。ヘッデンでの下山を避けるとあと一泊。

大体トップアウトするのに8時間のルートですが、とりつきの標高が高いため、アプローチも長く、体力勝負のルート。

9時半出発でも14時には5合目に着くことができ、坊主ノ滝下でビバークできそうだったので、その提案もしてみましたが、同行者はヤル気を無くしてしまったので、素直に帰ることにしました。うーん、本日の山、3時間なり(汗)。

ダメだったら、普通に甲斐駒に登って降りてくるだけでも、同行者とは山自体が初めてだったので、ペース合わせになって良かったと思うのですが。

 ・同行者とは、ゲレンデしか知らず、まだ長時間かかる山は経験していなかった
 ・アイスはまだ一緒にやったことがなかった
 ・私自身のアイスの足慣らしが、今年はまだ済んでいなかった

ので、これは、神様が、「まだ早いよ」と言っていることだと思いました。

私自身、黄連谷の提案があったときは、「いいのか?アイス3年目で行ってしまって・・・」と思わないでもないルートだからです。

黄連谷は右と左がありますが、右は山頂直下までつながる甲斐駒のバリエーションルートとしては、とても魅力的なライン。ですが、困難度としては左より易しい。私はアイスもクラシックルート志向なので、憧れているルートでした。しかし、実力内のルートかどうか、自分自身で判定が難しい。

黄連谷は、また時期を捕まえるのが難しいルートとしても知られています。時機をはずずと雪でうまってしまうのです。そうなると雪崩の危険があります。

何年も時機をまって、やっと登る人がいるようなルート。なので、トライしようとした一回目で、登れてしまうということがないほうが良いのかもしれません。

■ 転進=クラック

まぁそんなこんなで、1泊二日の予定は、3時間で敗退したため、大快晴にもかかわらず、自宅待機となりました。

翌日の予定を最初、八ヶ岳のバリエーションのどれか(石尊稜か三叉峰ルンゼ)にしてみたのですが・・・八ツは、とても混んでいるし、あまり歩かないルートなのでそそられない・・・上、私はバリエーションのルートコレクションをするような山の選び方には、あまり興味がない・・・。 

今ある課題としては、初級の沢の広河原沢左俣(ベテランは足慣らしにソロで行くようなルート)、峰の松目沢(初心者の初リードに最適、しかるに、同レベルの人と行くルート。時機が遅いとアイスではなく、ラッセルのルートになってしまう)、がありました。

私はその先を考えてルートを選ぶタイプで、広河原沢左俣は復習山行で行きたいルート、峰の松目沢は、同期レベルとチャレンジ山行で行きたい山でした。先輩と行く場所ではないかも。

・・・というので、色々検討した結果、今日は、先輩を昇仙峡のクラックを、案内することにしました。

■ お口直し山行 3回目の昇仙峡クラック

というわけで、またクラックのマルチピッチに出かけました♪ 

今日は、長野の人も呼んで、3人。

■ 今年のお正月

今年のお正月は、このような結果になりました。

上高地では、ちょっと膝を痛めてしまいました・・・ ひざ裏が痛いのは、初めてのことです。

アスファルトを歩くと痛くなり、もう歩くこと自体を辞めなくてはいけないほどですが、今日は普通に歩けました。

平らな所を歩くと痛くなるのですが、どうしたことでしょうか・・・うーん・・・

■ 方針

色々と考えますが、実力以上のルートは、悪魔のささやき、という面もあります。また誰にでも、行って見て敗退するという道は残されていますから、実力以上のルートに行くこと自体がまずいことではないのですが、色々考えると、このような方針で行くことが安全へつながると思います。

1)山でも、クライミングでも、低いグレードから しっかりと数をこなし、経験値を高めて行く

2)技術の未熟なうちは、むやみにグレード(山)を上げない

3)自分がコントロールできる範囲をじわじわ広げ、経験を積む

4)クライミングは、登るだけでなく、しっかりと落ちる技術確保する技術も磨がく。

5)山はしっかり敗退についても学ぶ

 最も大切なのが、(危険の認識能力)と(それに対する判断力)を身につけていくこと

ということは言えることだと思います。

≪追記≫

このページは人気があるので、以下、詳細をアップします。

■ 黄連谷のこと

≪打診≫
同行者には11月あたりから「黄連谷右俣はどうか」と打診を受けていた。もちろん、黄連谷についての研究は、去年済んでおり、良く知っているルートであったので、二つ返事でOKした。

黄連谷はアイスクラミング発祥のルートだ(左俣)。私は先鋭的アルパインを目指しているのではない。が、誰にとっても普通は、山登りというのは、ピークを目指すものではないだろうか。その登路に尾根を使えば一般ルートになる。沢や岩は、多様な登り方の一つに過ぎない。私には岩はまだ手がでない。今課題にしているのは易しいルート、入門ルートやクラシックルートと言われるルートへのチャレンジだ。

≪私にとっての甲斐駒≫
甲斐駒は、買い物帰りにいつも見える。親しみを感じる山。毎日見る山。黒戸尾根は、無雪期から順繰りに登りたいと思っていたが、登山2年目にガイドさんから誘いが来た。厳冬期黒戸尾根。それはメンバー的に納得がいかず断った。が、それで歩けることは分かったので、しばらく憧れ、登山4年目、満を持して師匠との顔合わせ山行で登った。

初めて登った甲斐駒は、一言で言えば、楽勝だった。しかし、あとに師匠との齟齬を残す山となってしまった。意見の相違があったのだ。

甲斐駒山行は顔合わせだったので、師匠のパーティとは別パーティという予定で、山行計画書も共有しておらず、装備も別々だった。私は念のため、8㎜×30mを入れていったが、二日目の朝、必要ないだろうと考え、師匠に「いらないですよね」と声を掛け、小屋において山頂へ行った。この一言が師匠の判断を仰いだということになって、師匠からはこの甲斐駒行は個人山行とは認められていない。

実際、登山口から下山まで、ずっと行動を共にしており、単独とは言えない。そう考えてもいない。が、師匠に連れて行ってもらったとも考えられない。いまだに私には、その区別がついておらず、甲斐駒は、普通に登って降りてしまっただけで、天候も雪の状態も良く、確保の必要がなかったためか、ベテラン山ヤの存在のありがたさを実感はできなかった。

≪アイスクライミング≫

話を戻そう。甲斐駒を登った後から、アイスクライミングを始めた。

私は雪で山を始めたので、アイスでつるべを教えてもらった。その次に岩をして、その後に沢だ。だから、つるべを覚えたのはアイスだった。アイスはなかなか機会を作ることが難しく、2年かけて、擬似リードまで。リードのお許しはまだ出ていない。その時点で止まっている。今シーズンは、まだアックスの一振りもしていない。

アイスクライミングも、登って降りるゲレンデクライミングではなく、ピークへ突き抜けることを目指すと、ルートと言うことになるが、アイスクライミングをそうした手段として捉えた、最初のアルパインアイスは、甲斐駒黄連谷左俣だ。昔は人工で登った。目的はフリーで抜けることではなく、ピークへ抜けることなので、人工は”ずる”ではない。

今アイスのフリーの世界はどうなっているのだろう?良く分からないが、ツララを登るクライミングは、ゲレンデでは、とても流行っているようであるし、大滝というようなサイズの大きなものを腕力勝負でフリーで登るのも、流行っているようではある。そのどちらも、腕力もなく、テクニカルなフリーの技(フィギュア4とか?)には魅力を感じない私には、あまり適性はないような気がする。

≪行ける山かどうか≫
黄連谷右俣は、左俣の垂直とは違い、山頂へ突き抜ける標高差1200mの長いルートだ。アイスを嫌と言うほど味わえる。お腹いっぱいルートだ。技術的にはⅣ級マイナス、ルートグレード3級上で、南沢小滝大滝が登れるようになったくらいの初心者を、先輩が連れて行くルートとしては、そう突拍子もないルートとは思えない。雪中テント泊など習得済みというのが、まぁ、当然の前提ではあるが。

アイスグレードは
 30度まで 1級
 45度まで 2級
 60度まで 3級 → アンザイレン必要
 80度まで 4級 → 大抵の初心者もトップロープなら登れる
 90度まで 5級 → アイスキャンデーとかツララ

となっており、アイスⅣ級と言うのは、要するにほとんどの人が登れるという意味だ。

≪不安≫
このルートの提案が来た時、まず最初に不安に思ったのが、今までゲレンデには一緒に行っていても、山の経験がないことだった。

これはクライミング系の同行者は誰であっても共通の悩み。前のパートナーとも、普通のテント泊ができないという問題があった。ただ今回の同行者とは、ゲレンデではあるが、テント泊は数回以上を重ねており、慣れがあった。ただ歩きが心配なだけだった。

≪時間に追われる=山との駆け引き≫

ゲレンデクライミングでは時間に追われることがない。たとえ一泊したとしても、テント泊ではなく、キャンプであり、時間的にゆとりがあるため、作法というようなものが必要ない。無雪期であっても、山であれば、出発時刻を頭に入れながらの朝食となるし、明日の朝の起床を頭に入れながらの消灯になるのだ。

雪の山であれば、濡らさないとか、手袋を無くさないとか、ギアの整頓や心配り、コッヘルを持っておくなどの”常識”が必要になる。そういったものを共有していない。普通の日帰りの山でさえ経験していないのだから、私が不安になっても仕方がないだろう。

不安に思う時、何に向かうか…それは人それぞれであると思うのだが、私の場合は、不安が募れば募るほど、ルート研究に向かう。地形図に向かい、トレーシングペーパーを重ね、等高線の数を数える。滝の記号を入れたり、傾斜何度かを入れたりすると、段々と落ち着いてくる。ルートがリアリティを持ってくるというか、行けなくても、見るだけでもいいかなと言う気になってくる。幸いに黄連谷はメジャールートなので、複数のガイドブックにルート解説がある。

≪作戦?≫

黄連谷には、どのような作戦で行くつもりだろうか?それが知りたいと思ったので、12月中旬に一度「七条小屋に宿泊するなら小屋代持ちますよ」と同行者に持ちかけてみた。普通は黄連谷は2泊3日のルートだからだ。同行者は、1泊のテント泊で行きたいという。逆に5合目まで何時間で歩けるのか聞いてきた。過去の記録によると時間をさして気にしないで歩いて、4時間20分で5合目に着いていた。こういう時記録を付けていると助かる。同行者は、4時間で歩いて欲しいのだそうだったが、ガイド本にも3~5時間で計画されていた。テント泊装備となると重くなるので、前回の小屋泊前提の装備より重くなることが予想できた。とは言っても、冬山では小屋泊でも、最低限の衣食住は担いで登っている。

今年は暖冬だ。アイスはなかなか凍らない。12月初旬の予定が中旬になり、それも流れ、予想は正月明けと言うことになって、山行の実現に、あまりリアリティが感じられなくなった。正月後ということなので、正月の休みには、自分の山の予定を入れてしまった。すると、その後で、やはり行くという連絡が来た。連休で一番冷える日がアイスには最適なのだが、その日には自分の山が入ってしまっていた。間が悪い。

アイスのルートで困るのは、適期が掴めないことだ。特に黄連谷は年を越して、クリスマス寒波で雪が降ってしまうと、雪崩の危険があることになってしまう。まぁこれは沢を登るアイスのルートは、どれもそうで、斜度によって雪崩の危険があるか、単なるラッセルのルートになるかの差だ。気温もプラスになるようなときは、氷が解け始めてきてしまい、危険で、これは下界に近い、ゲレンデは特に要注意だ。ツララなんか落ちているのを見たら、これが落ちたとき、下にいたら大変だと思う。

≪ドタバタと準備する≫

予定日が、やっと決まったが、前の日山から帰ってきて、すぐ。ドタバタすることになった。

計画書が送られてきたが、行動予定は、その計画書では分からなかった。幕場は二俣とされているようだったが、二俣はテントが張れるのだろうか。同行者はテントは重いのでツエルトで行きたいという。まぁ、私はどっちも宿泊経験があるので、いいのだが、ツエルトを張るポールがないと張れない場所だったら、困るなと思い、知っていそうな人に問い合わせをした。沢の中は、大体、立木があるものだが、黄連谷は、宿泊地の写真があまり上がっていなかった。

装備準備が追い付かず、寒冷地仕様のガスと自分の食事を買いに慌てて出たが、コッヘルとガス、共同食は同行者が持つというので、結局いらなかった。ただ普段、会山行でも私は共同装備以外に、自分のコッヘルとガスは持ってあがっている。

ロープを私が持ち、スクリューは3本を提供、酒1リットルと朝食用の棒ラーメンを私が負担した。同行者はツエルトとコッヘルセット、夕食を担当した。

ギアは絞りに絞り、ビナ4枚、スリング4本。これは大体、沢に行くときと同じだ。沢のリードでは、これくらいで、やっている。あとはヘルメットに、アックス、アイス用のアイゼン、手袋、シュラフ。ザックは、36リットルのバリアントになんとか詰め込んだ。ロープは外付け。アバラコフのギアは、私は持って出たかったのだが、イラナイと言うので、おいて出た。敗退したいとき、困るかなと思ったんだが、立木で支点が取れるそうだ。

≪出発≫

同行者には前夜泊をこちらから提案した。早朝出発が良いと思ったからだ。我が家からなら竹宇神社は1時間だ。夜は8時消灯としたいと話しておいたが、結局、お酒も入り11時ごろの消灯となってしまった。

朝は、4時起き5時出発6時到着を提案したが、そこまで早くなくても良いと言われ、結局のところ、竹宇神社に着いたのは7時すぎだった。途中コンビニに2度も立ち寄ったためだ。同行者はルート情報のコピーを取りたいのだそうだった。コピーなら我が家でも取れたので、時間の無駄が惜しかった。

同行者が水をくみたいというので、白州道の駅に立ち寄る。結局コンビニを入れて3か所に立ち寄り、1時間の予定を大幅に過ぎて、竹宇神社に着く。元旦早々、警察官が登山者への注意喚起をしていた。遭難者が多いのだそうだ。私が山を初めてから、ずっと毎年記録更新と言っている。しかし、黄連谷に入るような登山者の事例ではなく、普通に登山をしている人の遭難増加のようだ。仕事をしていたという証拠写真を撮りたいそうだった。元旦から大変だな。同行者は甲斐駒は25年ぶりだという。

7時40分やっと支度も整った。同行者は上下でレインウエアを着ていた。私は5合目までは、そこまで必要ないと思ったので、いつものいでたちだったが、ハードシェルを脱ごうかどうか迷った。最初の休憩で脱ごうと思い、そのまま出発。神社の脇を抜け、吊り橋を渡る。尾白川は、蒼く澄んでいた。前に来た時もそうだったが、下は完全に夏道だ。

≪ルートミス≫
同行者が先行する。私のザックの方が同行者のザックより重い。ロープはルートに入ったら使うので、5合目までの辛抱だ。頑張って歩く。普段、ゲレンデでも私の方が遅いので、離されないように歩かなくては。

しかし、なかなか沢から離れない。ちょっと不安になり、「この道あってる?」と一度同行者に尋ねる。「明瞭だよね」という答え。確かにそうなんだが…。前に甲斐駒に来た時は、のっけから急登だな~という印象の登山道だったのに、アップダウンの緩やかな道で、拍子抜けなんだが…。

しばらく行くと、いよいよ見覚えのない橋が出てきた。これはやはり違うのではないかと思い、終にGPSを見る。尊敬していた先輩は、GPSはカンニングと言うので、あまり見ないようにしているのだ。しかし、こういう時は一目瞭然。説得力の点で、GPSに匹敵するものはない。完全に違う道を歩んでいた。この道は不動滝へ続く道だ。

同行者に大声で呼びかけるが、岩の裏側へ行ってしまって声が届かないのだろう、返事がない。それでも、呼び続ける。やっぱり、おかしいなと思ったんだよな~と思うが、30mほど離れて歩いていたので、話をしていないのだ。「え、間違ってる?ゴメン」。まぁ、ルートのミスは、間違いに気が付かなかった後続も同罪だ。

≪敗退決定≫
がっくりとしつつ、今来た道を戻る。ほとんど登山道の最初の分岐で間違ったので、ほぼ3時間のロスだった。しかし、5合目泊で、翌日ルートにトライでもよいと思っていたので、この時間なら5合目までは行ける。翌日は風が強い予報だったが、7合目までは樹林帯なので、上がれる。その提案をしてみたが、同行者はもうヤル気を失ってしまったようだ。まぁ、登頂可能性がないのに、寒い思いをする、ということが、めんどくさいことには違いない。しかし、同行者とは山の経験がなかったので、普通の山を経験しておくことは、今後には良いだろうと思った。

しかし、まぁ決定権は同行者にある。計画書も発案も同行者だからだ。というわけで、敗退が決定し、山を下った。

日は高くなり、竹宇神社には初詣客が出ていた。途中すれ違う人々が重装備の我々を見て、お疲れ様と言う…いや…全然疲れていないんだが…。皆の誤解が痛いな~。

さらに痛いことに、なんと同行者は業界通の為、知り合いに会ってしまう。あまりほめられたことではない敗退だったので、人知れずひっそり帰りたかったな。この日は元日の為、温泉も開いていないので、そのまま自宅に直帰。

昼前についてしまい、山で食べる予定だった棒ラーメンを調理。古いお餅だった。同行者が去年使う予定だったものらしい。越冬ビールならぬ、越夏餅。

≪転進?≫
転進先を考えるが、考えていなかったので、いまひとつ。正月の八ヶ岳は混むから嫌なのだった。

アイスのルートも、今年は八つはかなり遅く、私の課題にある、峰の松目沢は標高が低く、イマイチだろうと思われた。広河原沢も1月中旬が適期なのだ。

標高が高いところを目指すと、横岳西壁になる。石尊稜も案に出たが、雪が少ないと思われ、雪稜なのに雪がないのでは、そそられなかった。また、易しいルートなので、初心者同士の時のために取っておきたいルートでもあった。それにアイスのルートではないからギアが違う。

結局、三叉峰ルンゼに行こうという話にまとまったが、その後、散歩に出たら、私の足が痛くなってしまった。上高地で痛めた所と同じところだ。どうも平坦な所を歩くと、痛いらしい。

これでは八つの北沢が歩けまいと思い、ゲレンデに変更する。結局、長野の人と連絡がついたこともあり、昇仙峡のクラックに出かけた。これはこれで楽しかったので良かったのだが、アルパインがフリーに、それもクラックに化けた、お正月山行だった(笑)。




Mar 22, 2015

硫黄岳(ジョウゴ沢より)

 ■ 冬が終わっていた八つ

今日は念願の? ジョーゴ沢から硫黄岳に行ってきました。

このルートは約1年ほど頭にあったルートです。

色々目学門、耳学問して、わたしのレベルにあった、オーソドックスなアルパインが味わえそうなルートしてインプットしてありました。

つまり、ゲレンデではなく、登路。山へ至る道には、様々なものがあり、その一つとして沢を利用するルート。

適期は、念入りに調べて、雪で沢が埋まっていればいるほど、登路として優れている、と思っていました。八ヶ岳の岩質はもろく、それが八ヶ岳を冬壁の山にしているからです。

ただ沢筋は、雪崩れの危険があるので、あまり気温が高いと良くない。それでも豪雪地帯とは異なり、あくまで八ヶ岳の雪量です。雪は少ない。で、気温がマイナスであることを確認して行きました。

■ 弱点

一般的には、いかに易しく登るかではなく、クライミングを愉しむことを目的にする場合は、新雪期が沢を登路とするには適しています。というのは、雪崩れもないし、雪で氷瀑が隠れてしまうと、クライミングにならないからです。つまり歩けちゃう。でも、歩けちゃうほうが良い人もいるわけですね~

今日はその、にくい線を行く予定でしたが・・・なので、滝が雪でつながっているか?が大問題でしたが・・・でもつながっていなくてアイスが露出していても、ちょっとくらいだったら、リードできるし、リードしたいな~という思いもありました。

それは一緒に行った人もみんな同じで、皆、張り切りモード!

ところがどっこい!山はこれ以上ない易しさで、また天候も穏やかな表情で、私たちを迎えてくれたのでした・・・

天候が穏やかな時期であると言うのは狙い通りでしたが・・・氷瀑は消失・・・

北沢ルートからの赤岳方面。この時点で黒く、なんだか、嫌な予感・・・
今日のF2・・・アラ~!!

 氷ない・・・(汗) 

先週はアイスクライミングされていたのに・・・昨日もネットでチェックしましたが、新しい情報はなかったので、とりあえずF2までは行くことにしていました。こんな状態なので、草付から滝を高巻きしました。アイスアックスではなくピッケルが欲しい感じ。


先週15日のF2・・・
これも先週のF2



 F2を上がると広い河原の大展望でした。 左右に支流が流入していてそれぞれ氷瀑があるはずですが、かろうじて・・・

あかるい雪原を行く・・・ 今日はサングラスを出す日でした・・・ 左端にちょっと氷瀑が見えています。


どんどん行くとゴルジュになりますが、そのどん詰まりに、大滝があります。大滝・・・ノーザイルで登れてしまいました。 一応アイスになっていましたが、中途半端に溶けて、微妙に危なく、岩の上はブラックアイスでうっかりすると、転んでしまいそうでした。ザイルを出すと言われましたが、わたしに必要がなく、シングルアックスで登れました。


結構、急は急です。でも、気温が高い日 + 気温が低い日 = アイゼンサクサク、の法則なので、雪がアイゼンが効く雪質で、それで登れたのです。


それより大変だったのは稜線への詰め・・・尾根筋はもう地面が出ていました。雪は10:30になると柔らかくなり始め、アイゼンが効かないで、ズボッと落ち込むようになり始めていました。

それぞれズボズボ落ちるのに閉口して、尾根筋の土の上、ハイ松の上を行くことに・・・。ハイ松は無雪期は最悪の藪漕ぎですが、雪に埋もれている時は、ちょうど良いフリクションです・・ハイ松のいい香りがします。ハイ松にはちょっと申し訳ないですが・・・。


尾根の上を伝ってピークへ・・・ 春山~って感じ。暑くてタイヘン。日焼けに用心。


ハイクアップにヘトヘト・・・先週小滝でのアイスクライミングでは、全然冬だったのに・・・

こんな斜面を上り詰めます。 アイゼンは外して落石注意。

最後一か所マントリングで足の長さ足りないな~と感じましたがスリングを出してもらわず、なんとか膝をついてクリア・・・

足が長いといいな~





今登ってきた尾根・・・ 最後の詰めのルートファインディングが楽しい山でした。アイスクライミングは一回もしていない・・・ほとんど足で解決。

地図読みもしておらず、基本的にルーファイだけです。方角も目的地も、ジョウゴの底からハッキリ見えていたので・・・。ただ歩くべき場所=歩きやすい場所、が歩いてみないことには発見できなかっただけです(笑)

人はこうして、登山経験を積んで、

この時期は山はどうなっているか?とか
どんな状態のとき、どの地面があるきやすいか?とか
気温が何度くらいだと、雪がどんな状態になるか?とか
どんな装備が要りそうか?

とか、学んでいくのでしょう・・・

鉱泉ベンチで身支度していたら、大勢のアイスクライミングのお客さんを連れたガイドさんが、不思議そ~なお顔をして私たちを見ていましたが・・・

そりゃそうだ・・・(笑)

ダブルアックス、スクリュー、ハーネス、ヘルメット、チェストハーネス、スノーバー、ビーコン、ゾンデ、ショベル・・・

ダブルロープ2本

と超フル装備で行きましたから(笑)

八ヶ岳はビーコンがいる山ではないことは知ってはいましたが、雪崩の心配がゼロの山でもないです、過去に雪崩事故はあるので。

それでも今日はいらないのは知っていましたが、体験を通して知る機会を作るのも、まぁゆとりの範囲。

ロープは、マルチピッチで登るなら30mでも良いのは知っていました。

が、敗退時の転進先が南沢大滝だったので、50mを2本は最低必要で、持ってあがりました。

他のガチャ類同様、今日は完全重石・・

まあ、どの人も体力は余力があり、トレーニングも必要なので、まいっか。

私は今日は、登りでなかなか調子がでなかった・・・いつもちょっと我慢していれば、すぐ元気が出てくるのになぁ・・・暑いの苦手だからかなぁ・・・

そんなに思い当たる理由は見当たらなかったのですが、なんか調子が出ないで、ちょっと足を引っ張りました。疲れが溜まっていたのかなぁ???

かかとが痛くなったので、帰って見たら、豆が・・・(--;) 間違って夫のソックスを履いて行ってしまったのです・・・Mサイズだと靴下が寄れた部分が当たって豆を作るらしい・・・

イテテ・・・ 帰ってお風呂に入ったら沁みた・・・

両足のかかとに穴が開いていました。

それにとっても日焼けしたような?

お天気は、午後遅い時間にはすでに下り坂になっており、一番お天気が良い快晴の時間帯に稜線にいたという、絶妙のタイミング・・・

狙いどおり! 明日から、山はまた冬です。

それにしても、氷瀑ってすぐいなくなるんですね~!!

ちょうど3人ともアイスの足慣らしバッチリで、自信がついたときだったのになー

4時半集合、6時美濃戸 9:50鉱泉出発で、11:30トップアウトして硫黄岳山頂。下山して、鉱泉12:30.行者小屋13:48 小滝14:32。 下山15:30 と予定通り。 17:00甲府解散。

充実した山でした☆ 

ジョウゴ沢は漏斗型


Mar 14, 2015

南沢小滝

■ 和気あいあい


今日は楽しい一日でした☆

以前、クライミングに行った時のことです。

「おはようございまーす☆」と挨拶しても返事なし・・・(^^;)

完登するまで口、利かない・・・(^^;)

目も合わせない・・・

クライミング出来ないと人間じゃないんだな~と態度で示されたことがありました。

隣のパーティは知り合いだったのに、無視して登れ・・・(汗)

ただのゲレンデクライミングなのに・・・


それで、?????と”?”がエンドレスになったことがありました・・・ なんか互いに仲良くしたくないようだ・・・。




お互いをライバル視している感じでした。私は両方の会に入っていたので、非常に気まずかったので、小滝に遊びに行き、長い間油を売って戻りませんでした。和気あいあいとしていないので、全然面白くなかったのです。

打って変わって、私たちのアイスクライミングは、本当にエンジョイクライミング♪

今日は、御坂山岳会に、同時期に入会した同期、山岳総合センターでの講習会仲間2人、と4人でのクライミングでした。

皆でトップロープを張りに行きました☆ 

小滝は左側の脇が、滝口へ行く登路ですが、今日はラッセルになっていて、プチアルパイン(笑)

皆で作業を共有し、”お客さん”がいないのがいいな♪



■ 初めての人には皆、親切

私の周囲には、クライミングをするような人がいなかったので、アイスクライミングは、保科ガイドのクライミング講習会でスタートしています。

アイスを始めたのは、八ヶ岳が私たちの目標とする山だったからです。

始めてアックスをふるった時は、岩根アイスツリーでしたが、3登しかせずに腕がパンプして、帰りの車の運転を心配しなくてはならないほど・・・(笑)

何しろ、岩登りも何も知らず、いきなりバーチカル岩根なので、ぶら下がって大変でした。

初めてのアイス

人に教えるときは、上手でない人がいいので、そんな私は適任かもしれません(笑)

初年度は、本当に体験的にクライミングをしただけで、1回のみ。

翌年は、そこで知り合った人が誘ってくれたので、いきなり小滝。

その年は、右も左も分からないながらも、9回もアイスクライミングできたのは、すごく幸運に恵まれていたのですが、何かを掴んだわけではありませんでした。

しかし、

 ゲレンデクライミングとはこういうものか、とか、

 ルートに行くときはこういうものか、

ということが分かった。

これは自分がどういう山をしたいのかという方向性を決める上では、有力な情報でした。

その年はアルパイン1年生でもあったので、ロープワークをアタフタしながらも、覚える年でした。

無雪期にも色々と努力して、人工壁に通ったりしました。ただ人工壁に通っても、全然覚えたいと思っているロープワークは覚えられないし、人工壁のクライミングはツマンナイし・・・ 私のしたいこととは違う・・・という思いばかりが募る結果に。

山には行きたいけど、山に行ける日に、なんでクライミングウォール・・・?

なので、これは山に行くために仕方がない犠牲ナノダ、と考えて、自分を慰めていました・・・が、クライミングばかりだと弱くなるし・・・。何が嫌ってお金がかかることです。山でもないのに。弱くなっているのに。

そういうわけで、私はクライミングが好きなんでなくて、山が好きなんで、色々と合わないなぁ・・・ということに。

今日は、初心者で、初めてのアイス♪ と言う人もいたのですが、隣のパーティの人も協力してくれて、みなで初心者のために協力して、教えてあげるのがとっても良かったです。

私は、個人的に非常に恵まれて、ベテランに教えを受けているのですが、そうした人には、ちゃんと教わったことをペイフォーワードする義務があるような気がしています。

その意味で、最近教わったアックステンションなどを教えてあげることが出来て良かったです。

色々な意味で、楽しいクライミングってこんな感じ~って感じでした☆

今シーズン初なのにラクラク
■初心者が知らないこと

その①

初めての時は、どう登っていいのか分からない



腕が開く



疲れる

その② 

小滝はバーチカル入門



つまり難しい



擬似リード

小滝に登れなくても気にしなくていい

その③ 

小滝に登れる



クライミング力がある?



No



朝一リードできる力は ”オンサイト力”、登り方も全然違う

その④

リードでの登り方とトップロープで遊ぶときの登り方は違う

その⑤

リードでは、クライミング力以外のもろもろのことが結構大事

その⑥

アタフタした経験が自宅のコソ錬のヤル気を醸造する


大滝
”ちょっとアタフタ”が上達の近道

その⑦

クライミング < 山

というわけで、



今日は稜線上は終始吹雪いていたようなので、小滝クライミングで良かった~と言う感じでした。

練習は練習。

山は山。

どうせ練習するなら楽しく☆

今日の大滝。

三人三様 擬似リードまで行ったりした・・・

私は、昨日擬似リードしたので、今日はKさん。

同期のサクちゃんは今シーズン初のアイス&飲み会明けだったのに、全然平気にサクサク登っていた。

ので、次回は擬似リードですね~。



帰りの車窓から見えた八ヶ岳。やっぱり悪いね~

上空に寒気が入っている。

こんな日はアイスが正解。

八ヶ岳PAで、舞茸うどんと清里カレーを食べて帰りました☆

近くにいた雪標山岳会の方のサイト

Mar 13, 2015

美濃戸口の氷瀑

今日は急遽予定を変更して美濃戸口の滝にアイスクライミングに行きました。
明日もアイスクライミングの予定があるので簡単に・・・・

■ 押し付けられる価値観

私と夫は二人で登山を始めました。

世の中は中高年登山全盛であり、その中高年登山の価値観を押し付けられて、自分たちの登山を否定されてビックリしました。

例えば、2月に一般ルートの権現に通っていたら、「素人の行くところ(時期)じゃない」などです。

アイゼンも、最初はとても登山の使用に耐えるものでない、簡易的な作りのものを買わされたり・・・でもウエアばかりはお金を掛けるようにというプレッシャー・・・ 

冬手袋もまともなものは売ってもらえなかったり。

その世間のあり方が、ちょっと疑問でした・・・登山を学ぶという姿勢はなく、お金を払ったり(ツアー)、払わなかったり(山岳会)で、山に行くというのが当然の世界です。

地図も読めないし、読む気もないし、クライミングも出来ないし、訓練なんて思考になく、連れて行ってもらうのがふつうのこと、ロープワークなんて別の世界のことです。

ただ集合して、車に乗って、団体で一般道を歩くだけの話=登山、という洗脳があるのです。

それを嫌がると、非常識登山者のレッテルを貼られる・・・ってわけです。私はずいぶん長い間、どうして、オーソドックスな登山世界を学ぼうとしているだけなのに、それがむしろ否定されるのだろうか?と思っていました。


それも大変だったナーと思いますが、障害はそれだけではなかった・・・

次なるハードルは、 「フリークライミング礼賛」 だったのです・・・

クライミングは登山の基礎であることは否定できません。が、だからと言って、フリー至上主義という必要もない。

クライミングだけにのめり込んでくれると、楽ができるのは誰なのかなぁ・・・当然ガイドさんは楽ですし、ただビレイするだけで一日1万円くらいになります。

一つ目は いわゆる”中高年登山”を押し付けられ

二つ目は ”フリー”を押し付けられていたんだなぁ・・・

ってことが、今日は分かりました。

■ 寝ている滝と立っている滝

今日は美濃戸口の滝に行きました。 

「ちょっとは苦労してみせてくれよ~」

と師匠が言うくらい、アイス2連チャンだと、ラクラクに登ってしまい、どのラインもとても楽だったので、ついに擬似リードまでいってしまいました。

師匠が出してくれたトップロープゆるゆるで、懐で弛んでいたので、ノーテン。スクリュー打つときにアックステンションしました。

スクリュー打ちながら登る、完全マスタースタイルではありませんが、今冬のアイスクライミングの一つの納得と言うか、登れる実感というか、分かった感というか、そういうものがありました。

「今日は調子いいね」と褒められ、「全然、形になっていないよ!」と、一ヶ月前に言われていたとは、思えない進歩。

一つ目の滝は、寝ていたんです。寝ていたら凸も凹も、登り方が板についてきました。

その後、立ったつらら、氷柱に行ったのですが、こちらは、完全にフリーの世界です。高難度フリーの世界。

みんなが私にフリーのムーブを勉強しろ、というのは、こういうやつを登ると言う話だったのね~と納得。全然ムーブが違うのです。完全に腕にぶら下がらないといけないし、垂直バーチカルなので、引きつけて登らないといけない。

ボルジムみたいなんですね。 

でも、わたし、バーチカルアイスは、一生リードしなくていいかもしれない・・・・行かないなぁ・・・バーチカルアイス。 

もちろん普通の滝でも、ちょっとだけ出てきたりしますけど、そういうのは長く大きな滝ではない・・・

長く大きなバーチカルには最初から挑まないかもしれない・・・。

中高年登山のスタイルの登山だけが登山ではないし、
フリークライミングだけがクライミングではない。

でも、世間は、たぶん金の都合でそちらに新参の登山者を仕向けようと強いている・・・

というわけで、今日は、積年の疑問?(笑)ここ2年ほどの疑問が氷解した日でした。

Mar 12, 2015

金峰渓谷 唐沢の滝

■ なんだか癖になりそうな面白さ

今日は、なんだか知らないけど、すっごく面白いアイスだった・・・

一体、この小川山のアイスクライミングを何がそんなに面白くしたのだろう???

未知?雪? なんだかアイスクライミングというより、アルパインな感じだった・・・。

「アルパインっぽい」 師匠がしきりに言っていたが、それは、言われる前から感じていた・・・何かが、すごくアルパインぽかった。

なんだろう??? アタフタ感?スレスレ感?臨機応変が必要になるところ? なんだか苦労してピンチ?苦難?を無事乗り切った、というような充実感があった・・・

そもそも、頼んでいないのに登りに行っているので、ピンチを脱した、も何もない・・・が

協力してピンチを脱した感があった(笑)

 今日はお天気が問題だった。デッカイ低気圧がいて、高気圧はほとんど停滞。

高い山はどこもダメ。

しかし、3月も中旬に入りつつあり、標高の低い場所のアイスはダメ。

ということで、去年、無雪期に偵察に行ったことがあるカモシカ登山道の唐沢の滝へ・・・

ここは岩根アイスの傍なので、氷結具合が連想できる。岩根はライブカメラがあるので、岩根で凍っているなら滝もOKだろうと・・・
 着いたら、晴れてきた。

日差しが心地よい。が、雲はちぎれて、動くのがとても速い。

白樺の木立がきれいで、来てよかったな~と思う。

朝、運転しながら眺める山々は、
 南ア方面は完全に雪雲に隠れてダメ、
 八ヶ岳方面もダメ、
 富士山方面は快晴であるも風が強そう、
 甲武信方面は晴れ、

だった。
 ちぎれた雲がどんどん通り過ぎる。

こういう日は稜線ではなく、アイスだな~といつも思う。

条件に合わせて、自然遊びができる、ということは、やっぱり一つのスキルではないだろうか?

こういう日は何をすればいいか?は経験が教える。

やっぱり曇りの日は出かけないのではなく、山麓まででいいから行って見るべきだ。

今まで勉強になった山は、快晴の山ではなく、ちょっと条件が悪かった山が多い・・・

 カモシカ登山道には新しい雪が積もっていて、登山道は踏まれた後はあるけれど、トレースはなかった。

結構、凍結して、トラバースが多い道で、ひやりとした箇所があるので、早めにアイゼンを付けた。

アイゼンは早めにつける人と、
ギリギリまで頑張る人と

いるそうだ。

1時間15分ほど歩いて、唐沢の滝、到着。

もっとかかるかもしれないと思い、ワカンを用意したくらいだったが、ちゃんと踏まれていて歩きやすくなっていたので要らなかった。

着くと、とっても明るい滝だった。南面の滝なので、もうダメかも・・・
と思っていたが、正確には東面の滝のようだ。

どこをリードするか・・・

氷がつながっているのは真ん中だけど、支点がない・・・左の灌木に行くか・・・ カンテはつながっているが露出している。露出間の無い凹角は、階段になっているみたいに思えるが、どちらも上に支点が取れるのかどうか・・・うーん。

今日は、ちょっとしたギアを持ってきていた・・・

高根山岳会の人の借り物・・・

下部の氷で試してみる

滝下の足跡は裏から回り込んで、左の灌木に視点を取ったみたいだった。

師匠がリードすると言うので、私はビレイの態勢に入る・・・ 今日はヌンチャクの向きをアイス向きに変えてきた。

アイスは右しか使わない。


 氷は下部の3mは特に難しそうに見えない。

ただその上の段は見た限りでは意外に立っている。

左の凹に逃げる・・・がそれも結構大変そうだ。

リードは落ちれないが、アイスは特に落ちれない。

さらに左に行くと、スラブになっていて、雪がついていても、サラサラ雪では滑ってしまう・・・と心配に。

案の定、直上はスラブでスクリューが決まらない。

ああ~千切れ雲の流れる速度が速いなー。

左の草付は、多少のフリクションはあったみたいで、なんとか灌木まで行った。

ホッと一息。

途中ダブルのロープが交差して、指摘しようかと思うが、クライマーは集中しているだろうし、と辞める・・・あまりシビアな様子には見えなかったからだ。

ビレイしている手がかじかむ・・・。今日は気温が低いので、薄手のグローブでは、かじかむ。さらに防水機能が劣ってきているようだ。

左のラインでローワーダウンで降りると、トップロープで登る支点にはなりづらいので、支点を作ってからトラバースしてもらって、滝芯方面に振り止めスクリューを打つ。岩が出ていて、あまり滝芯には打てなかった・・・。

降りながら、支点を回収・・・ しかし、よく見ると、左に滑落痕と思しき跡がある。草付の草が全部、下方向に寝ている・・・ 誰か落ちたようだ・・・ 鹿? 

それにしても、滝つぼ付近には、特にそのような痕跡はなかったが・・・

次は私の番で、トップロープで遊ぶ。が左のくぼみのラインから滝を直上したが、以外に氷が硬い。先ほどからかじかんでいる手、アックスを振る手に、力が入らない・・・落ちるかと思った。まぁ、トップロープだけど。

落ち口に出て、ちょっと右寄りにスクリューを打ち足す。スクリューが入らない・・・アイスの上にある雪を軽く払ったくらいでは、ぜんぜんダメなのだと判明。そこでしっかり雪かきし、少し雪をアックスで搔いて穴をあらかじめ作ってから、打ち込む・・・なんとか入ったが、氷自体があまり信用できそうでないような?? それでも降り止めくらいになら、なってくれたみたいだった。

2本目、3本目、トップロープは安心で、それぞれ新しいラインに挑戦してみる。 

なぜか、突然理解した・・・岩根アイスはただムーブやクライミングそのものを楽しむところで、ここ自然の滝はそうでないと。

違うラインに行けば、違うムーブになる。が、それぞれに、雪が厄介であったり、その箇所の氷の質が悪かったりした。

上の方は雪で厚く覆われ、大きな穴ぼこが空いていた。その穴から流れている水が見える。穴ぼこの縁に足を掛けて、落ち口を上り詰める。なんかアルパインだな~。なんとなく、気分はプチ黄蓮谷(笑) プチアルパイン。

雪のような、アイスのような部分はアックスが凄く刺さるが、刺さりすぎるくらいだ。雪だと支持力にはあまりならない。氷の方が安心だ。アイスは固いところ、そうでもないところ、色々あった。

凸角は、凄く氷が落ちる。まるで落とすために、叩いているようだ。そのたびに氷のかけらを浴びる。凸は露出感が怖い。凹は、行ってみたら、立っていた。が、ステミングが使えるので、レストがしやすい。

が、いくらレストしやすくても、氷が立っていると、段々握った手が開いてくる。握りすぎなのは、心理的なものもあるだろう。完全にアックスにぶら下がる状態に対して緊張をするから・・・

それぞれ満足いくラインを数本やって、ランチ休憩。最後にリードフォローをする。次の段に登って見たくなったから。

せっかくトップロープを張っているので、一人目はトップロープで、バックロープを引いて登った。そのバックロープでセカンドが登る。ビレイに使っていない1本目の末端のコブをほどいておく。

どこのラインでも登れるので、ちょっと難しいラインにトライして見る。滝口は、厚く雪が積もっていてアックスで搔いて落とさないと氷が出てこない。

ビレイ点まで最後は少しトラバース・・・トラバースなので引かれると、危ないので、あまり引かないようにしてもらう。一旦直上して、慎重にトラバース。下にスラブが出ているような気がする、いやな感じのところ。クライミングを始め、トラバースは怖いと思うようになった。

次のピッチは易しいピッチということで、私がリードしてみる。1ピン目はビレイ点から取る。ゼロピン目。次はちょっと行けば、すぐ倒木がったので倒木でタイオフで取る。 

登って行くと傾斜がきつくなる。足元は雪の下がアイスだった。雪の下をちゃんと確認しないと、氷でなく、スラブだったら怖い。確認しつつ、前爪でしっかりアイスをとらえるようにする。

雪は乾いていて柔らかいが、摩擦がないほどでもない。ほどほどの雪。雪にもがきつつ登る。雪にさしたアックスは不安だ・・・ 不安をだましだまし、雪の斜面を上がると、立ったアイスが右手に出ていたので、とりあえず取れるところで取る、という方針通り、アイスでスクリューで中間支点を取る。 

そして、最後は・・・見当たらない。 左に逃げると、ちっぽけなブッシュしかない。それに屈曲してロープが流れなくなるだろう。 どうしよう・・・(汗)

結局、滝のつららまで行き、丈夫なつららでアンカーを取った。一応自分の体重を掛けて大丈夫だと言うことを確認した。クローブヒッチでセルフ。でも、つららだけでは、心配なので、アックスにも保険を掛けてセルフを取る。

セカンドを確保するのは久しぶりだ。確保器だけ先にぶら下げておく。ロープアップすると、ロープが、アックスに引っかかりそうで、右のアックスは確保に使っていないから避けておく・・・

セカンドが登ってくると、やっぱり雪で大変そうだ。

 登ったところから、山の景色を見るのが好き。

セカンド確保はオートロックなので、セカンドが支点を回収している間に写真を撮った。

今日は、この小川山エリアだけが暴風雪ではない。

ぽっかり日向に空いていて、日が差し、それに谷なので、風もそう感じない。

ただ気温が低く、アイスが硬い。
 下を見るとこんな感じ。

樹幹に雪を抱いた針葉樹がたくさん見えた。

なんかいいな~

 3ピッチ目は最初の直情がとても難しいラインになりそう。

どうしようかとしばらく思案。

つるべで上がるのもちょっと不安だった。

衝撃がつらら支点で耐えられるか?

ということで、一度トラバースして、滝の脇の灌木に逃げた。

左側に露出感の少ない短めのブルーアイスがあったけれど、残念ながら丈夫でつながっていない。
2段目の滝に登るのは
途中であきらめて、とりあえず、懸垂で降りてみる。

ちょっとしたマルチピッチで遊んでいるだけだけど、自然の中の条件で、どう安全を確保しながら遊ぶか・・・

そういう風に頭を働かせながら、遊ぶのが楽しい。

滝に登る楽しさはその次で、こう支点を作ったらいいのではないか?
ああしたらよいのではないか?などなど、どうしたら、良いかを解決案を考えるのが楽しいのだ。今あるスキルで。

ロープがこすれた跡
ちょっとこれ以上、上は今のビレイ点からは無理が多そうだったので、懸垂で降りる。

トラバースした地点から、ロープの流れが良いような場所に支点がないか、目を凝らすと、師匠が凍りついた倒木を見つけてくれた。

セカンドでトラバース中の私が今度は、その凍りついた倒木の懸垂支点工作。強度を確認し、雪を少し掘り下げてみる。とりあえず倒木にセルフ。

自分をセルフ・・・っておかしい日本語だ(笑)

自分をビレイ、と言いたかったのだが、セルフ取ってって通じてしまうので、セルフセルフといつも言っている。何はなくともセルフ、は最初の山ヤの教えだ。

自分をビレイしている末端の解除して、倒木に通し、ロープを手繰り寄せる。セカンドとトップが入れ替わった格好になり、セカンドを確保。これは倒木があるので、折り返しビレイにしてみた。
セカンド到着。セルフを取ってもらい、2本のロープを連結してもらう。どちら引きか確認。 引くほうのロープを分かっていないといけない。

懸垂はトップで降りた。 ただ、トップなのにバックアップを取らないで降りたら、やっていてやっぱりバックアップがあるほうが安心だなと思った。降りていったらアイスではなく、スラブの箇所があったし、ギアに色々引っかかり気味で、アックスの向きが悪かったりで、先に降りる方はやっぱりなんだかんだとスムーズと言う訳にはいかない。

到着して、セカンドが降りてくるのを待つ。 末端を持っていてあげても良い。 アイスでは上から色々なモノが降ってくる。降ってくるものを上手にかわすのも一つだ。

状況全体を見て、何がベストか、その都度判断する、それが楽しいんだな~となんだか納得。

ただクライミングだけの岩根アイスも別の退屈とは思わないけれど、こっちのほうが数倍楽しい。

別に上に行きたいわけではなく、上というのはただ結果みたいな感じだ。登れるから登って行く。取れるところで支点を取る。その連続をしていたら、ただ結構上だった。そういう感じ。

だから、都度都度、危険は冒していない。「うん、大丈夫」をつないで行ったら、「あら?もう上?」そういう感じなのだ。どこにも、スリルはない。危険の二の字はない。

もちろん、自然の中だから、絶対安全もないのだが、だからと言って、危険に近づいて行っているわけではない。

そういえば、手袋、今日はテムレスを使ってみた・・・保温性はないので、 毛糸の手袋を下に入れた。 ちゃんとアックス振れた。

帰りに取った唐沢の滝は意外に立派だった。 ロープは50mは一杯一杯。左の灌木は、懸垂で降りれるちょうどの高さ。



下山してもまだ山はほがらか、誰もいない小川山は静かで癖になりそう。

私はあんまり人が多い山はそもそも好きでないのだから・・・ 

今日はやってみたら、立っていなければ寝ていればリードできそうと思った。立っていると凸でも凹でも、やっぱりまだ危ないかな。60~70度の傾斜の滝でも部分的に立っているから、そういうところでやっぱりたくさん経験を積むことが、上達の早道と思った。

バーチカルだけを登っていても上達はするけれど、楽しい上達の仕方ではないかもしれない。

楽しく登っているうちに気が付いたら、登れるようになっていたという棚からぼた餅系を目指したい。




帰りの車窓から、八ヶ岳を見ると雪雲に飲み込まれていた。稜線は今日は大荒れだろう。山は全然見えない。

こういう日も遊ぶためにアイスクライミングをやっていて良かった☆

Mar 3, 2015

芦安 カモシカルンゼ

■ 芦安のアイス 上荒井沢

2012年2月の様子
今日は午前中が良いと言うので、ちょこっとアイスに行ってきました☆

上荒井沢です。

いわゆる芦安のアイスと言うのは上荒井沢を言っていたんですね~。

北岳に行くアプローチの芦安、その手前のエリアです。

ここは私たち夫婦がごひいきにしている、源泉かけ流しの温泉、桃の木温泉の上流にあります。

以前(2012年2月)、夫とカチコチに凍りついた堰堤で遊び、その時は、アイスクライミングなど想像だにしていませんでした。

が、その時の様子を今になって思い返すと、様子がアイスが氷結する状況にぴったりに思えました。

去年は偵察に行きたいと思って、結局、行かなかった・・・



それで、去年から気になっていた芦安のアイス・・・

今年はアイスはイマヒトツ充実しておらず…と言う感じでしたが、初めて行く場所が、湯川渓谷と並んで、二つ増えました♪ 

黒平のアイスもいいのかなぁ・・・。でも、もう溶けたかなぁ・・・。








■ アプローチについて

7:40、桃の木温泉の上の林道に入り、100mくらい先の、広くなった箇所に駐車。堰堤の工事車両が入っているようで平坦ですが、そこから上は林道が崩壊しているので、あまりおススメではありません。

堰堤の上から、イデノ沢、勅使川、上荒井沢、を分けます。一番左手が上荒井沢なのですが、『チャレンジ!アイスクライミング』にあるアプローチには林道が出ていますが、この林道、現在は崩落していて、その崩落を拾ったり、河原に降りて歩いたりして、上荒井沢を遡行します。

地図を見て上荒井沢を遡行するほうが、ない林道を当てにするより間違いが少ないです。途中、徒渉3~4回。  
トリコルネ
カモシカルンゼ


昨日は雨だったらしく、林道上は、冷凍庫の霜のようにコチンコチンに固まったアイスが滑りやすく、意外にアプローチは歩きづらかった・・・。崩落しているので景色は荒涼としています。

マシラ

カモシカルンゼの隣の沢

1時間ほど行くと、トリコルネが見え、そのすぐ先にカモシカルンゼ、さらに先にマシラ(ミザル、キカザル)があります。

今日は偵察だったので、3つの滝を見て、マシラはほとんど解けており、トリコルネは黒ずんで落石が多そうだし、アンカーになりそうなものもなかったので、パスして、凍結の良いカモシカルンゼで遊びました。

 ・滝の根元に石ころが溜まっている ⇒ 落石多数
 ・崩壊中の沢にあるアイス ⇒ 落石注意

■ カモシカルンゼ

最初は、隣の沢をカモシカルンゼかと思い、氷結の無さにがっかりしたのだが、ひとつ隣にちゃんとありました。下部のマスが目印。 こうした氷瀑は、どれも似ているので、あらかじめ目印を考えて行くのがポイントです。

見た目はちょっと大変そうに見えたのですが、F1は50mでロープいっぱい、下部は30mで、60度くらいで、近づいたら、登れそうに見えた!だけでなく、登ってみたら、アイスが柔らかくてアックスが刺しやすく、まったく困難を感じずに登れた・・・あれ?どうなっているの??


先日の南沢小滝で喪失した自信を再度、復活(笑)

やっぱり冷えて固いとアイスは大変になりますね。柔らかいアイスはその代り、スクリューが効きづらいので落ちれない。

今日はスクリューを打ったり、アックステンション、アバラコフを練習しました。

ただ上部からの落氷は結構多く、ビレイ中、あってよかったバイザーって感じです。

確保は、左側の灌木でとりましたが、残置スリングが氷に埋まって悪かったそうです。それに直径5cmほどで細くて頼りないので、トップロープ後の懸垂は、アバラコフで降りました。


また今日は平日だったので、誰も来ないと思っていたら、あと1パーティ来ました。


 アックステンションして、支点の撮影。

柔らかい=アイスが信用ならんので、支点は3点から取り、さらにバックアップが灌木。
 アックステンション中・・・

出来たらすごい楽な技でした。休める~

でも、真下にアックスを引かないと危ないですね。

ギアは今日は

軽量シングル 50m & 30m。

二本連結してトップロープ。

コブが来たときどうするか?

プルージックで荷重を移し換えて、確保器を入れ替えます。

準備したけど、必要なくてよかった~。


アイスもぐずぐずだし、ラクラクに登れるし、早めに切り上げて、芦安の山岳館で本を見て、帰りました☆

楽しいアイスの一日でした☆



≪備忘メモ≫

・芦安アイスは氷瀑が大きいので、ダブルロープ
・スクリュー8本

≪滝の名≫
・トリコルネ 35m Ⅳ~Ⅴ級
・カモシカルンゼ Ⅳ級~ F1~F4まである F1 50m不足気味、F2 8mⅣ-、F3 5mⅢ、F420m

・マシラ  ミエザルⅢ、キカザル15m、イワザル、30m 50度 上部80度、Ⅳ級~Ⅴ級-

・ビギナーズ 30m Ⅲ級

・奥御勅使川のゲレンデ F1 10m、F2 6m、75~80度、堰堤5m 80度