Jan 30, 2017

メンターと登るリスク 

■ リスクマネジメントへの認識

最近、ちょっとしたことがあって、改めて、リスクマネジメントについて認識を改めている。

登山でも、クライミングでも、リスクマネジメントは、後回しにされている。

どうしてなのか?

そうしたくないと思っても、ついそうなってしまう・・・。

しかし、楽しいクライミングは、リスクマネジメントの上に成り立っている。

そもそも、登山にしてもクライミングにしても、充実感の大部分は、自分でリスクをコントロールできている、という自己認識が大部分を占める。

リスクコントロールは、登山の喜びの一部だ。例え、ゲレンデでも。例え、人工壁でも。

■ メンターと登るリスク

メンター(指導者)と登ることにはリスクがついて回る・・・のは、どうしても、相手のほうが分かっているはずだ、という気持ちがあるからだ。

例えば、湯川の白髪エリアに友人を案内した。そのとき、私は終了点に長い残置のロープがあり、それが一本しかないのを知っていた。

私が案内する側なので、長いスリングを支点用に持って行った。

こういうことをメンターと行くときにするか?というと、ほぼしない。それは甘えが出ているためだ。

■ 長いスリングが必要になるケース

実は、メンターと登った時、メンターが設置したバックアップが外れて、私の上に降ってきた。

バックアップがあるということは、どういうことだろうか?

つまり、一点で支点が取られている状態を意味する。

なので、私は一度支点の場所まで上がり、見てみた。

古い長い残置ロープ・・・支点になるしっかりした立木は遠く、ロープが擦れないためには、スリングを長く伸ばす必要がある。

その残置ロープは古かったが、その支点より上に行けば、リードクライミング状態になるし、そのためには、溶けた霜柱が立っている、ドロドロの脆い棚にマントリングで、乗越して、歩かないといけない。落もあるだろう。

・危うい場所をリードする危険
・墜落した時に衝撃荷重がロープにかかる危険
・落の危険

総合的に考えて、今回はすでに支点が作られており、その支点で今現在トップロープをする分には問題なさそうなので、バックアップはなしで大丈夫だろうと判断した。残置ロープが切れるリスクは、感じられなかった。

ベストではないが、リスクは受け入れた。

しかし、その後、友人を湯川に案内した時は、長いスリングを持参した。冗長性があったほうがよりベターだからだ。

冗長性があった方がベターなことは勉強して知っている。

■ 責任感 

この話をしたとき、バックアップが外れたことを指摘すると、メンターは、もう謝ったではないか!と言って怒り出した。

自分のミスを相手が指摘した、と感じている・・・。

それは私にとって意外な展開だった。

バックアップになっていたスリングを回収した後、再度、設置しなかったのは私自身である。

下からバックアップを再設置するように指示もなかった。

だから、支点一点で良いとの判断は、双方の合意だ。

だから責めるつもりは毛頭ない。

が、メンターの方は、責任を全うできなかったと感じている・・・。

それを責められていると感じているとすれば、私の安全の責任は、自分に負うところが大きいと感じていると言うことだ。

責任感が大きいとも言えるが、あまり後輩のクライマーとして対等な扱いを受けていないとも言える。

きっと私のことがよほど心配なのだろう・・・

もちろん、40年と4年では、10倍の経験差があるのだから、リスクを感じる力の差は大いにあるハズだ。

だから、メンターのほうがよりリスクを感知できることは当然だ。だが、だからと言って、今の時点の認識力で、リスク認識を疎かにして良いということではない。

■ 後輩を連れて行く責任

後輩を連れて行くと、責任を感じる。

だから、すべてのクライマーは、連れて行く側を、できるだけ早期に経験しないと行けない。

単独行を含め、連れて行く、案内してやる、という立場を経験しないと、連れて行く側がどのような大きな責任感を持って、連れて行っているのか、案内しているのか、理解が及ばなくなる。

案内してもらったら、代わりに案内し返す・・・そういう経験が、リスクマネジメントの力を向上させるのだ。

例え、トップロープしかしないエリアであっても、トップロープ一つきちんと張るにも、しっかりとした強固な支点を作る技術が必要になる。

例え、岩根山荘や人工壁のような、歩いて支点まで到着できるような整備された場所であっても、連れて行くとなれば、相応のリスク管理が必要になる。

それは、やはり、連れて行く側にならないと、どういうことがリスクマネジメントなのか?は分からない。

・この人のギアは確実なものなのか? 登っている途中でアイゼンが外れてしまうような人もいる。

・寒いときは指示しなくても、自分でウエアを調節してくれるのか?持ってこない人もいる。

・食べ物は言わなくても気温に合せて持ってくるのか? 寒さで食べられないようなものを持ってくる人もいる。

・この人はトップロープならビレイをしてもらってもいいのか? トップロープのビレイも初心者は怪しい

・支点を作ってもらっても大丈夫なのか? → 支点のことは全く知らない人が多い

・・・などなど。

こうしたこと・・・心配を感じられるようになるのが、リスクマネジメントの第一歩だが、安心と心配は、全く正反対であり、人間は安心していると油断をする生き物なのである。

安心している人材は、油断している人材、とも言える。

■ トラストバットチェック

このような場合に良き関係を作る考え方は何だろうか?

以前、外資で働いていたとき、考え方が違う多国籍の人たちと仕事をした。

そのような場合の基本ルールは

Trust but Check

だ。大丈夫だと思うが一応チェックする、という日本語が当てはまる。

どんなに尊敬できる相手でも、人間である限り、間違いやミス、うっかりはつきものだ。

だから、信頼するがチェックは怠らない、という姿勢が大事だ。

彼女ならチェックしてくれる、と思ってもらえること=信頼

そう言う風な信頼関係を築いて行くべきだ。

信頼関係で登れる相手がいると、クライミングは本当に楽しいものになる。


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