Feb 5, 2014

奥秩父 中津川渓谷 中津川滑川

■ 年上の友人

今日は年上の山の友人とアイスクライミングに中津川に行っていました☆

彼とは今年、三つ峠天狗岩で会いました。岩の下からひょっこり現れた若い男性と年配の男性の二人組でした。 「お!こんなところにいるとはクライマーだな?!」と言われたものの・・・私はクライマーには程遠く、実は剣で落石で亡くなった知人をしのんで、三つ峠にでかけていた時でした。というのも、その亡くなった人に会った場所だったからです。

「彼うちの会の新人。うちはVIP待遇だよ~」とその天狗岩のクライミングは入ったばっかりの新人さんのトレーニング山行のようでした。

その後その方とメル友に・・・やっと私の山シーズン、冬が来たのでした☆ 

■ アイスクライミングというより、冬の沢登り

というわけで彼は私の貴重な山友達です。平日、山に行ける人は少なく、貴重な存在です。

今日はそれで アイスクライミングの”へたくそ向きルート”に一緒に行きました。

一緒に行くと言っても、実力が不均衡なパーティなので(^^;)、私が基本的に一方的にセカンド、彼がトップです・・・申し訳ないですねぇ・・・(汗)。 いずれ、水戸黄門のように助さん角さんを従えたいそうなのですが、助さん角さんレベルに達するかどうか分からない私のクライミングスキルです・・・かたじけない・・・(^^;)一応ボルジム通いも頑張っていますが、クライミングスキルは一向にアップしません(><)

私は岩はまだ一回しかしたことがないので、クライミングは今のところアイスのみです。

アイスのルートは、なかなか初心者向きがない。この中津川滑沢はへたくそ向きとありましたが、実は別の意味でベテラン向きでした・・・支点が。 

支点、八つの広河原沢のように適当な立木が近所にないのです・・・手の届く範囲に手頃な支点がないので、一回クライムダウンで解決したくらいです。

そして、このルート、滝の氷結が今日はイマイチだったこともあり、アイスクライミングという、ちょっとおしゃれでハイテクめいたクライミングではなく、どちらかというと、冬の沢登り、と表現した方が良いような泥臭い?ぶっちゃけ好事家向けなルートでした。

この沢相、どうなんだろうな~・・・沢相を語れるほど、私の沢経験は多くなく、海沢、芦川横沢、笛吹川釜の沢、以上終わり、ですが、そういうほぼ素人が見ても、逆層スラブで、倒木だらけで、支点が倒木・・・って、雪がなかったら、とても荒れているんでは・・・?

このルート、いうなれば、「腐ったアイスのクライミング」でした。まぁ今日は気温が高い日が続いていたので、アイスが緩んでいたのかもしれません。が、
 
 ・ずぶずぶのアイスで、
 ・それも沢としてはスラブが逆層に続く沢で、
 ・10cm~15cmほどの雪で覆われ、
 ・どこが水流でどこが淵なのか、見当がつかず、
 ・さらにやっかいなのは、どこが岩肌でどこが氷なのか分からず、
 ・氷だと思って叩いてみたら、岩だった・・・、
 ・雪の上を歩いていたらすってんころりん・・・岩でした・・・

なんてことがありました。 

さらに滑の上に張った10cm~20cmほどのアイスの板の下は、水流が流れており、アックスで叩くと中が空洞で太鼓のように反響するのを感じつつ、それを登るんですけど・・・登れるライン・・・穴が開いてるんですけど・・・(汗) 

というわけで、とっても大変でした。登る技術とは別の意味で(と言ってもセカンド)。

こんな物好きな沢に、ほぼ初心者を連れて行ってくれる友人はホントに奇特な方です(深謝)。

■ 好事家向けの沢

でも様々なコンディションがあるのが、山なのですから、仕方ない・・・。

けど、今回の沢は、テクニックを追求するクライマーさんには滝が寝ていて面白くないだろうし、アイスが好きな人には、氷の量が足りなくて不足だろうし、沢が好きな人はその醍醐味である沢相の豊かさとはちょっと程遠く、倒木が多く荒れているし・・・じゃ誰向けなんだ?!っていうと、好事家向け?って感じでした。スッキリとしたラインとは無縁な感じです。

何しろ、言い出した本人さえ、薄く張った氷の上や厚く堆積した落ち葉の上、さらにそれに折り重なる倒木の嵐・・・を歩かされるのにウンザリして、F5前で「もう帰る?」って聞いてきたくらいです(笑)

「行きましょう」と私はいったものの、まだ実力的にリードできないので、リードしてもらうわけですが、これはもう、ほんとに困りものですね・・・

実は今回は7個あるうちの滝のF7は凍結しておらず、F5が核心だったのですが、F5、意外に大変でした。 

アイスの滝って、傾斜が緩くても摩擦がないので転んだら一大事で、傾斜がゼロになるまで転がり落ちますし・・・

というわけで、

(トップが行きたくないF5)+(リードできないくせに行きたいセカンド)=(目標:このF5をリードするクライミング力)

ということで、今後の課題が明らかになりました。

実は、F5以外に長くて、セカンドでもスクリューの回収で足がパツンパツンに張りました・・・(上手な人にはラクラクなのかなぁ・・・?)

アックスを打ち込む加減をまだ体得しておらず、ガンガン打ちこんでいるせいで、刺さるんだけど、ひっこ抜くのが大変で、手間取る ⇔ 時間を食う ⇔ 足がパンプ の間を行ったり来たり・・・

スクリュー回収用のアイスクリップを早急に買わねばならない・・・と決心しました。今回は間に合わせで、苦労しました・・・スクリューの穴小さいのでクリッパーがないと回収時、両手は開けられないのでもたつきます。

それに今回は私のこの核心部のF5で一回墜ちてしまいました。スタンスが外れて。アックスは外れなかったんですが・・・。ビレイがなかったら今頃、あの世かもしれません(><) 

バーチカルの氷でもう少し基礎練習した方がいいとアドバイスを受けていたのですが、機会を逃していたのです・・・スタンスの立ちこみは課題です・・・。

F5で冷や汗をかいたせいで、F6はとっても易しく感じました・・・。 実はF6の登れるところ、穴が開いていたんですが、私の体重くらいは支えられる氷でした。といっても氷の厚みも雪をかぶっていまいち分からないんですが・・・。

F7はすっかり流れていてベルクラともいえないような滝だったし、それまでも、悪路で2人ともめんどくさい気分になっていたので、懸垂でとっとと脱出することに誰も異議なし!

記録では別のがれた沢を降りている記録がありますが、予定でも懸垂で帰る予定でした。

ロープは軽量化を図って、50mと30m。私の30mロープを持って行きました。縦走用に買ってあるダブル用のロープ。今回は懸垂下降で繋いで使いました。登りはシングル1本で足りました。

そのロープ、沢が流れているので、水に落としたくない!と思いつつも・・・そんなことは言ってられず、結局凍結した状態の『アイガー北壁系ロープ』になっていました・・・(汗) 

確保器にも雪がつまって溝が埋まり・・・もう、これ、ハイフリクションモードとか関係ないよね・・・な状態に。最後はロープがまがったまま凍り付いて固まるありさま。

帰りはアイス踏み抜きましたし、懸垂中登った滝を確認すると、どうも登りで見た滝の中ほどの穴は拡大していましたし・・・、枯れ葉と雪がアイゼン団子になってくっついてアイゼン超意味なしだし・・・

しかし、悪路ながらも楽しい旅でした。冒険って感じでした。

■ 近所の沢を歩く技術?

私にとっては、この悪い冬の沢を歩けたのだから、近所にある、2mくらいしか段差のないような沢なら、探検に行っても無事帰ってこれるんじゃないか?そんな自信を付けました。

たぶん、登れたところは降りれる。ロープの長さが足りれば。

滝も長くないなら、突破はできます。突破の困難は、やっぱり技術の稚拙さもありますが、まずは長さです。スクリューを打ったり、(あるいは打たないでさっさと登りきったり)という選択ができるほどのスキルがなく、選択肢は最大限の安全配慮となると、結果スクリューは回収しなくてはなりません。そうなると、整理整頓とか、クリッパーがあるとか、そういう色々な小技でクライミングで踏ん張っている時間を減らさないといけませんねぇ。クライミング以前の問題です。

ので・・・そのような状態でも、登るとしたら・・・懸垂下降という退路を断たない術必須。ただ今回登れたところは降りれる、と確信できました(^^)。

■ 写真

 コマドリ荘前駐車場。8時ごろ。

真正面の川を渡った先が中津川滑沢。アイス=北面の滝。

吊り橋を渡ってしまうと、沢へ取り付くのに、ロープでクライムダウンしないと降りれません。水流がさほどでもなければ、徒渉しても・・・(帰りは渡渉しました)

トイレは暖房付。














F1から穴が開いていて、気分は↓・・・

私は登り始めで少々苦戦。ロープを出します。

 途中区間・・・とっても荒れています。
 歩きづらくごちゃごちゃしています・・・
 岩の下には空洞・・・
落ち葉で見えなかったり・・・

色々罠が隠されている感じです。
 とりあえず、ずんずん行きますが・・・

中途半端な凍結で歩きづらく、八つの広河原沢は整地されているようにさえ思えます・・・

ご覧のように支点に乏しい・・・

先に滝が見えています。
 残置ハーケンとスリング。これだけに預けるわけには・・・
 ここもとっても悪かった・・・・この岩の下は滝つぼで、水たまり。

私はこの左の岩の側をへつろうとして、ボルジムの課題を思い出しました。

ここは懸垂下降で降りるときも悪いところでした・・・
 いや~向こう側は大快晴の青空なんですが、なんで薄暗い谷間にいるんだろう・・・?

今日のような日は尾根でショーな日でした(汗)。

でも尾根では、友人をお誘いできるようなすごい山私は知りません。
 これはもう、F7です。

F5、F6忙しかったので写真が取れていません。

水が流れていました・・・(汗)
 今日の勉強、懸垂の支点。 

その1は倒木・・・
 F5です。いや~。

下でリードをビレイするときも、スクリューでアンカーを取った。

穴の際、右側を登りました。

長かった。
 このように流れている状態で、とっても悪い。岩が逆相なので、アイゼン無力だし、雪しか積もっていない岩の上は滑ります。

今回は二人とも仲良く2回ずつズッコケました。
 大変勉強になった懸垂支点。

ハーケン1個では、バックアップがないので、降りてきた懸垂下降のロープをバックアップにしています。

これは目からウロコの技でした。なるほど~。

私のロープですが、あと少しで足りないので、スリングで長さを出しています・・・
 今降りてきたところ・・・を振り返る・・・

うーん、この氷の薄さ!

 しつこいようですが、
尾根は大快晴です(汗)

このような悪い沢に、このような良い日に入るのは、好事家以外いないでしょう・・・
もう、どんどん懸垂。

何度もやって慣れてきた。私は懸垂下降ならせっともできますが、やってもらって悪かったです(というか、初心者のセットで降りるほうが勇気ある決断かぁ・・・)

ずっとセカンドです。

2時には元のコマドリ荘に着きました☆

いや~ホント、悪い沢でしたねぇ・・・

けど、面白かった☆

こうすればいいのか~というのが面白かったのかな。
 よく山岳映画などで崩れそうなスノーブリッジ渡るのがありますが、下に流れている滑が見えているアイスの上を歩くのも似ている感じ・・・落ち葉の堆積部分は下、水たまりです・・・

 これは岩の支点。バックアップも岩。

登りではこの箇所はセカンドを確保しましたが、一応、な感じです。私が先行出来るところなので・・・

ここはF1から少し先へ上がったところ。
 F1の支点・・・もう何が何だか分からないような残置スリングの山・・・

そういえば、私も残置、別の場所で貢献しました。
 降りたら快晴・・・なんでこんなところでごちゃごちゃ遊んでいたのでしょう?!な快晴が・・・(汗)
 吊り橋を渡ったらこうなっています。
 立ち入り禁止の看板が沢の入り口の目印です。

迷いようがないくらい明確です。
 うーん、青空が・・・
アックスもアイゼンも雪と凍結ですごいことになりました・・・


帰りは山梨市駅でほうとうを食べて、帰りましたとさ。

このルート、ロープは50m×2、片方30mだとギリギリ。 

F1~F7までありますが、ロープがいるのは、F1、F5、F6、F7?



帰ったら夫が風邪で寝込んでいました。私は一日で回復した風邪なのにうつった彼は重症です・・・(汗)

悪いな~一人で楽しんで・・・








■ 追記 (2014.02.06)

3年前に友人が行った時は、”癒し系アイス”だったのだそうです! 

こんなにコンディションで違うんですね~! でも、私には近場の沢を歩ける自信につながる良い経験でした☆

3年前の滑沢 癒し系