トップロープの張り方の注意点

■ トップロープ支点

トップロープ支点も色々ある。

例1)何もない場合

 強固な支点2個に、自前スリングと自前カラビナを掛ける。
 回収: 懸垂下降で降りる

 必要なギア: スリング2本、環付きカラビナ2枚、下降器

例2)残置スリングのみある場合

 残置スリングにカラビナを掛け、スリングでバックアップを取る。
 回収: カラビナを回収し、懸垂下降で降りる

 必要なギア: スリング1本、環付ビナ2枚、下降器

例3)残置スリングと開く残置カラビナ1枚がある場合

 残置スリングに自前ビナをかけ、バックアップを取る。
 回収: ローワーダウンで残置ビナが使える

 必要なギア: スリング1、環付ビナ1枚

例4) 残置支点はあるが、カラビナが開かない場合

 残置スリングに自前のカラビナを掛け、バックアップを取る。
 回収: ローワーダウンは、通し八の字で、結び替えをする

 必要なギア: スリング1、環付ビナ2枚

例5) しっかりした残置があり、一回のリードで終わりの場合

 その残置にロープを掛ける。バックアップは取らない。
 回収: 懸垂で降りる、もしくは、ローワーダウンに残置を使い、ランニングを回収しながら下降し、ロープは引きぬく

 必要なギア: なし、もしくは下降器

問題は、人工壁や人工氷壁は、支点が整備されており、ほとんど何の支点の勉強にもならない点です。

懸垂下降がマスターできていないとクリーンアップ(回収)もできないことになります。

■ しっかりした立木

今回相沢の大氷柱では、終了点は左上のしっかりした立木でしたが、立木というのは、下部がドライ気味になっていることが多いです。なので、終了点間際で墜落の可能性が大きくなります。

■ 一人が担当すること

歩いてトップロープを張りに行ける氷瀑でも、足場が悪いことが多いので、

 トップロープの工作は、一人が担当する、

が基本です。リスクに不必要に多人数が晒される必要はありません。まぁ、落ちるなら一人が落ちた方が、二人が落ちるよりマシ、という意味です(^^;)

■ 位置関係

また、位置関係も問題です。

例えば、三ルンゼでも、相沢大氷柱でも、右から登り、左端のしっかりとした立木に支点を取りました。

右から登って、左ということは屈曲します。

 屈曲=スリングを伸ばす

こうした点は、登攀ラインの真上に支点が整備されていることが普通の人工壁や人工氷壁などでは、学ぶことができません。

■ フラれ止め位置

屈曲していると、フラれ止めも必要になります。下から支持してやらないと、上からでは分かりにくいことの方が多いです。

■ ローワーダウンの位置

登攀ラインとは異なり、完全に垂直のラインになります。そのラインがかぶっている場合は、空中に宙づり。

アイスで危険なのは、つららがある場合です。つららをローワーダウン中に落とさないように工夫します。

もし、ロープが引っかかって落ちそうであれば、あらかじめ落とします。そうでないと、ローワーダウン中に上からツララが突き刺さることになります。

さらに空中の部分は、速やかにローワーダウン、します。

 ・ローワーダウンは垂直ラインで登攀ラインとは違う
 ・つららに注意する
 ・あらかじめ落とす
 ・もしくは落とさないように通過
 ・危険個所は速やかに通過する





No comments:

Post a Comment