Jan 31, 2016

鉱泉 アイスキャンディ

■ 何がネックか?

黄連谷は、3時間のロス後、リスクを取るには、私の寒冷下での耐性がネックだった。

登山の力というのは、例えば、3人いて、一人が歩け、一人が担げ、一人が地図読みできても、ダメだ。それでは、”3分の1人前”が3人。3人揃ってやっと一人前になってしまう。

そうではなくて、最低限のラインとして、”各自が一人前”でなくてはいけない。

で、敗退の主たる要因は、私の厳冬期の生活能力の一人前度、であった。

であれば、それは、誰かと一緒ではなく、自分で解決しなくてはならない。

■ 大雪予報 → 擬似晴天

今週末の予報は、直前までコロコロ変わった。 火曜には、

降雪量は30日朝までの24時間で最大50cmの湿った大雪

となっていた。そのため、大菩薩のような近郊の山でも、大雪下のテント泊が可能かもしれなかった。

大菩薩は気温は低いが、湿度はそれほどなく、雪は多くないので、南岸低気圧が幾度か通過後の冬の遅い時期しか、雪のある大菩薩を期待できない。近年は、温暖化の影響だろうか、雪が少ない。ので、3月ごろに行く予定にしているが、ここ5年ほども寡雪であまり実現していない。

なので、低標高の山で雪の経験を積む、という意味では、チャンスと言えるかもしれなかった。

が、あけてみると甲府は雨。標高が高いところでは雪だったのかもしれないが、気温が高かった。

30日の夜は、降雪の予報で、降雪を期待したかったが、標高が低いと雪ではなく、雨になってしまうかもしれなかった。

一方、当初の計画にあった谷川方面は、帰宅日31日の予報が午後から里雪。里雪になってしまうと、交通機関が封鎖され、帰宅が核心になってしまう。

というわけで、今回は、場所の選定がとても難しかった。

結局、標高による寒さを求めて、八ヶ岳に一人でテント泊することを目的に出かけた。

■ 急遽八つへ

決めたのが直前だったため、夜遅く仕事から帰宅後にパッキング・・・急きょ決まる山だと、いつも忘れ物が不安だ。

テントポール、冬用フライ、本体、テントシート、コンロセット、ライター、冬用のウエア一式とゴム手、冬用のシュラフのモンベルNo2とゴアのカバー、マット、像足、地図、コンパスは当然、食事は、今回は急いで決めたので、コンビニ調達。1500円くらいだった。

水は、500mlのサーモスの湯と1リットルの水道水を別にもった。結局、登山道では雪を食べ、小屋に着くまで、サーモスにも、水にも手を付けなかったので、小屋調達で良かったが、夕食と朝で、1.5リットル使い果たし、二日目の行動用の水は小屋でもらった。結局二日で2リットルでたりそうだ。

今回は、ただ降雪のある中で、テント泊するのが目的だが、ついでで、鉱泉のアイスキャンディフェスに参加。甲斐駒で誘われたからだ。

アイスキャンディフェスと言えば、以前、山岳会の先輩に誘われたが、3人でテント泊する予定だったところ、一人が抜けたため、先輩と2名になってしまい、当時はまだ男女一名でテント泊するのは非常識であるように思われたため、山行自体が流れてしまった。

あの時、一人でテント泊して、フェス参加していればよかったのかもしれない。

■ 寒冷へのビビり

冬テント泊については、これまで気持ちの上での困難が大きかった。寒冷な環境に対する恐怖心がまだ抜けない。平たく言うと、寒いのが怖い。

動いている時の寒さは怖くないのだが、動いていない間の寒さが怖い。沈殿なんて最悪だなと思う。冬のテント泊の夜は、長く寒い。

ただ今回に限っては、予想以上に寒くなく、気温が高く、雪も大して降らなかった。快適度の高い冬のテント泊だった。

去年の2月に黒百合ヒュッテでテント泊したときは、かなり寒く、風も強かった。翌日は大荒れで遭難が起きた。夜中に2度もフライシートを直しに起きた。

これまでも、複数の人数での冬山のテント泊経験はあるが、当時、ソロは初めて。その初めてのソロテント泊の方が大変で、今回は覚悟が拍子抜けするくらい、寒くなかった。

■ 行動

少し風邪気味で、喉が痛かったが、体の方は普通だったので、やはり山には行くことにして、行動の強度を下げることにした。

朝は普段通りゆっくり起きて、普段通りに朝食を食べ、支度をして出ると、8時20分ごろになった。9時半に小淵沢に着き、近所のコンビニで夕食と朝食、行動食を仕入れた。

鉢巻道路は、凍結が溶けて、雨で、普通の道路になっていた。美濃戸口には10時半に着き、支度をして、出発したのは、10時45分ごろだった。新しくできたカフェに声をかけて、無料で駐車させてもらった。

アイスキャンディフェスティバルで、かなりの混雑を覚悟したが、お天気がイマイチだったためか、駐車場は比較的ガラガラ。カフェのほうを使う人も少ないようだった。なぜだろう?

美濃戸へ歩きはじめると、林道は凍結が緩み、もっともよい装備は長靴であると思われる様子。

大型ザックに、ハーネス、確保器、アックス2本、ヘルメット。ロープを持つかどうかで悩んだが、ロープは共同装備なので、フェス参加者には貸し出しがあるだろうと踏んだ。(が、これは後で間違いと分かった。ロープは持って行くべきだった)

歩きだす。頭上から雨が降る・・・と思ったら、樹幹の雪が解けてしずくになって落ちるらしい。が、段々降ってきたのは、本当の雨のようだった。

濡れは歓迎でないので、ザックと自分の頭にハードシェルをかぶせて歩く。ザックの中は防水してあるが、ザックも防寒用具として使うので、濡れは歓迎ではない。

ザックは、さして重くない。が、足取りは重い。うーん、予想以上に重さに対して、スピードダウン。これは、いけない。重いと、遅くなるようになってしまっているようだ。

それでも途中、何組か追い抜く。平坦な所ではスピードが全然出ず、北沢の堰堤を越えて、登山道に入ってから、多少スピードアップ。美濃戸口から鉱泉まで3時間強かかった。鉱泉到着は14時。かかりすぎだ。

■ 到着後

鉱泉のテントサイトは、どこまでが張っていいエリアなのかよく分からないが、とりあえず、樹林の中で風の来ない、良い場所に張れた。スカート付きの冬用のフライを持って行ったが、重いだけで、あまりメリットは感じられなかった。

隣の人はスコップで平地を作っていたが、鉱泉周辺の場合、雪の量もあまりないので、踏むだけで十分平らにできた。スコップは敢えて割愛して正解。

設営は、去年、フライシートが飛ばされたことを思い出し、小枝をまとめてクローブヒッチで結び、雪に埋め込んだ。埋め込む小枝があまりなく、素材集めに苦労。

テントを張り、フェスの受付を済ませると、恒例の焼肉はとっくに終わったそうで、瞬殺だったそうだ。かわりにおしるこを3杯くらい、いただいた。アイスキャンディに登る人の大行列が出来ている。遅く来たので、この日は一回も登れずじまいで終ってしまった。

考えてみると、アイスキャンディフェスに参加するのは、アイスの始め方としては、格安で良いかもしれない。

私はこのイベントを知る前に自分の意思で始めたので、最初からGoogle検索で一番にヒットする保科さんの体験講習に出かけたが、価格は17000円。鉱泉フェスだと1000円。しかも夫と二人で出かけたので2倍も掛けている(汗)。ちなみに夫は体験以来、登っていない。

19時半の猪熊さんのお天気講座まで、しばらく暇で、テントに戻り、味噌汁を飲んで塩分補給し、軽く昼寝する。

今回の夕食は、ミネストローネ風のリゾット(レトルト)と、ぶどうパン、チキン胸肉一枚。朝は、オートミールバーに、ぶどうパン、コーヒー。おやつは、お汁粉と塩羊羹。行動食はナッツ。

鉱泉で振る舞いがあると聞いていたので、多少それを期待した。最大の忘れ物は、お酒。いつも1合くらいの日本酒かワインを持って行くが、どっちも買うのを忘れてしまった。

それで、18時半からの、ホットワインの振る舞いで、6杯もホットワインをもらってしまった。ただワインはホットにすると、アルコールが飛んでしまうようで、ぜんぜん酔わない。

鉱泉では、猪熊さん、花谷さんの講演会があった。お天気は1時間、ヒマラヤキャンプの報告が30分。

今、山の世界では、50代が最後の山ヤ世代で、ガイドになっている人が大勢いるが、これが40代となると、全然ガイドがいない。今一番売れているガイドと言われているのが花谷さんだ。

山梨には、ピオレドール賞を取った人が何人も住んでいるが、山梨県民にはあまり関心を持たれていない。佐藤祐介さんも数少ない若いガイドさんで、今回は家族連れで参加されているようだった。

私が知らないだけで、たくさん著名ガイドさんらが参加しているようだった。こういうイベントは、参加費用も安い。ガイドさんについて登ることで、そのガイドさんのやり方を知ることができ、本格的な山のガイドを頼む前に、相性を試す、お試し山行とできる、もっとも安い方法かもしれないと思われた。

講習が終わると、21時半で、山の夜としては遅い時間に消灯。テントに戻ると、テントにはうっすら雪が付いていた。 

シュラフにもぐりこみ、足はザックに突っ込む、いつものスタイルで就寝。ウエアは、レインウエアまですべて着て寝る。ゲイターは体の下に敷く。ニット帽をかぶり、フードをかぶって、さらにシュラフの入り口を閉める。

なかなか寝付けない。寒いのではなく、なんとなく寝付けないだけで、結局寝ていたようで、朝早く、誰かがルートをセットする声で目が覚めた。時計を見ると、まだ5時半で、集合の8時半までは、早すぎ、起きる気になれない。

一人だから朝の支度にもそうかからないので、早起きしても寒いだけなのだった。結局、待ちきれず、6時半には起き出して、7時半あたりからアイスキャンディの当たりをウロウロしていた。

だれかビレイヤーがいればいいだけなのだが、鉱泉スタッフ限定ロープは、鉱泉スタッフしかビレイできない決まりらしく、ビレイヤーがいない。そのため、自分のロープを持って行けば良かった、と思った。頼めばビレイできる人は、その辺に、いくらでもいたからだ。

結局、夜間は予報とは違い、積雪量はせいぜい3cmで、朝はピーカン。擬似晴天だそうだ。次の低気圧までの一瞬の青空のようだった。

昼までアイスキャンディに登り、4本ほど。動きを思い出す。

ビンゴ大会などを済ませて、あとは普通に北沢を下る。鉱泉フェスは、敬遠していたが、楽しく過ごせたイベントだったし、テント泊のほうは、予想よりも、もっと楽に過ごせた。去年の八ヶ岳のテント泊の方が大変だった。

下りにテント装備を背負うと、全然重くない。なんだというくらい軽い。それでも、美濃戸口の最後ののぼりでは、また肩が痛くなった。やっぱり登りのスピード、登りでの重さは、かなり課題。

大体クライミングばかりしていると、重いモノを背負わないので、背筋が弱くなるような気がする。長く歩いたり、長い登りで荷を背負うということをしなくなる・・・背負ってもせいぜい15kgくらいなので、あまり重い気がしない。

かと言って、軽くても、別にスピードがあるわけではない。

逆に下りはかなりのスピードが出そうと思わなくても出てしまうので、やっぱり心肺能力が課題のような気がする。

冬季のテント泊の経験値をあげよう!という第一歩となった山行だった。

≪まとめ≫
・交通費 120円×5 ×2 = 1200円 (リッター10km 120円)
・帰りの飲食 1500円(パスタ・コーヒー)
・鉱泉テント泊 料金 1000円/泊
・アイスキャンディ使用料 1000円/シーズン
・食費 1500円

 合計 6200円

≪反省≫

・自分のロープとトップロープセットを持って行くこと。


10:50. 意外に空いている駐車場。
 夜の講演会。猪熊さんのお天気の話。

花谷さんのヒマラヤの話。
 ヒマラヤの写真が大変美しい。

今井道子さんのヒマラヤ記も読んだが、昔の人の海外探訪記は、ウエストンが日本を好奇の目で見たように、日本人がネパールの(言うなれば後進国の)文化にカルチャーショックを受ける様子が描かれている。

実は、あまり好きなメンタリティではない。若いころ、市場調査の仕事で、タイやベトナムの僻地に会社訪問で訪ねなくてはならなく、ハイヤーと通訳を雇って現地に行く。もちろん、担当者は私一人なので、一人で渡航し、一人で雇うのだが、現地の人の基準で見ると、20代の若い娘が、車と通訳を雇うのは、どこぞの金持ちかということになる。いわば使用人と使用者の関係だ。

逆に私はアメリカでは、大学で教えている人の家庭に、子供たちの家庭教師兼ベビーシッターとして使用人側。

どちらの関係性も、私には心地よくなかった。フラットが好き。
 21:46 

戻ったらテントについた雪。
 月が出ている朝。

快晴。
 夜間の積雪量は、この程度。あら、ガッカリ。

 しかし、今日は山がいいなぁ!
 アイスキャンディは垂直面もある。

佐藤さんが登っていたライン。


 初心者用の寝ているライン。

朝は激混みだったが、すぐにみな飽きるようで、バーチカルへ。
 昼近くになると、風も出てきたようだ。
 大同心、小同心がまっしろ。

基本的に湿った雪でないと白くならないので、今日は、石尊稜は良かったと思う。

なにしろ、お正月はまったく雪も氷もなかった。
 カルボナーラ 1200円
 コーヒー 300円(セット価格)

帰りに同行者が出来て、二人で3000円分食べたので、店に義理が果たせた(笑)